韓国、大手庶民金融機関に流動性リスクの指摘・・当局に対応を注文する声も

韓国の大手庶民金融(第2金融圏)、というか政府が直接管理する金融機関『セマウル金庫』に、流動性リスクが指摘されました。まず、本件、まだ何か具体的で大きな動きが起きているわけではありません。たとえば今現在バンク・ラン(大規模の預金引き出し事態)が起きているとか、そういうわけではありません。ただ、かなり具体的な指摘が出ており、そもそも、問題を提起したのは、金融関連資料を分析した専門家たちです。ただの噂ではない気がして、エントリーします。第2金融圏というのは、仕事の内容は普通の銀行(第1金融圏)とほぼ同じですが、金利は高いもののローンのハードルが低く、一般的には庶民金融とされます。貯蓄銀行などが代表的です。

最近、PFなどで、第2金融圏関連でいいニュースがありません。そもそも、リーマン事態以来、PFに熱心なのはほとんどが第2で、第1はPFにあまり手を出さなくなりました。朴正煕大統領の頃、大々的に行われた社会改善キャンペーンである「セマウル(新しい町)運動」。セマウル金庫も、地域の「助け合い」のために設立されたと言われています。いまは普通の第2金融圏ですが。行政安全部という政府機関が管理監督しているだけに、かなりの大手で、全国すべての自治体に支店を持っている第2金融圏はセマウル金庫だけだと言われています。

 

また、第2にしては珍しく、チェックカード(デビットカードのようなもの)がVISAカードと提携していたり、海外からも引き出しが可能だったりと、第2では最大手だと見てもいいじゃないでしょうか。で、そのセマウル金庫に、流動性リスクが指摘されています。主な理由は、やはり、プロジェクトファイナンス(PF)です。ザファクトなど複数のメディアの記事によると、セマウル金庫の「建設・不動産業企業ローン残高」は、今年1月時点で56兆4000億ウォン。 2019年に比べて2倍以上増えました。しかし、延滞もまた2019年7000億ウォンから、今年1月には5兆2000億ウォンで、なんと7倍以上も増加しました。延滞率は9.23%となります。国会議員だけでなく、金融関係者たちからも「これはなんとかしないと」という話が出ています。金融当局はまだ何の問題もないとしていますが、さすがにこんなデータが公開されたこともあって、記事によると、一部からは慎重に『バンクランなどの事態も想定すべきでは』という声も出ている、とのこと。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・不動産プロジェクトファイナンシング(PF)リスクと米国シリコンバレー銀行(SVB)事態などが重なり、セマウル金庫の健全性に対する懸念が提起されている。セマウル金庫側は、流動性とPF共に安定的に管理していると話した。ただし、顧客の懸念が完全に解消されたわけではなく、政府と金融当局の対応が必要だという声が出ている・・・・10日、金融関係者たちによると、最近セマウル金庫のPFに関する懸念が相次いで提起された。行政安全部が共に民主党のオ・ヨンファン議員室に提出した資料によると、セマウル金庫の建設・不動産業企業の貸出残高は今年1月に56兆4000億ウォン規模に集計された。 2019年末の27兆2000億ウォンに比べ、倍以上急増した。延滞は7000億ウォンから5兆2000億ウォン規模で、7倍以上増加した。延滞率は2.49%から9.23%に急騰した・・

・・(※当局は問題ないと、多くの安全装置のもとに管理できていると説明したが)このような説明にも、セマウル金庫に対するおもわしくない意見は多い。最近、米SVB事態などもあって、セマウル金庫の「バンクラン」の可能性を懸念する声も一部から出ている。バンクランとは、金融会社が顧客の預金、積金を守れないという不安から発生する大規模な引き出し事態を意味する・・・・金融当局も状況を「注視」するという立場だだか、一部ではセマウル金庫も金融監督院の管理を受けなければならないという主張が出ている。現在、セマウル金庫の管理・監督権限は、金融当局ではなく行政安全部にある。セマウル金庫を除く相互金融の場合、信用事業については金融委員会と金融監督院が監督している(ザファクト)・・>>

 

最後の部分ですが、行政安全部が信用事業(カード、信用ローンなど)に対する部門まで担当しているので、どうしても金融当局に比べると、人力も足りないけど、専門性も足りない、とのことです。金融当局がやっているところもいろいろ大変だとは聞きますが。今日エントリーした2つの内容は、つながっています。一つ前のエントリー(ダデマリーンシティ)でも、記事の引用部分にセマウル金庫が出てきます。回収できるのかい、と。というか、中央銀行の金利現状維持ともつながっていますけど。はてさて。

 

 

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