大手メディア「中国に対し、日本・台湾のように米国と足並みを完全に揃えることはできない」

何度か書いたことがありますが、韓国ではユン大統領は「もう完全に米国側に舵をきった」ということになっています。今回の日本関連外交も、そういう路線の一環だとする話もよく出てきます。日米韓協力という言葉もあるから、そういう側面もゼロだとはいえないかもしれません。でも、あれは『既存の条約』たる存在が核心だったので、なにかが壮大にズレているとしか思えません。そもそも、ユン政権でも『経済安保』を経済と安保に別々に考えるスタンスは変わっていないので、米国側に舵をきったようには見えません。でも、そういうことになっていて、異論はそう多くありません。

そんな中、またもや「私たちは、日本・台湾のように、米国の対中路線と完全に足並みを揃えることはできない」という記事がありました。聯合ニュース、北京特派員の記事です。記事は、「北朝鮮問題があるから」、というのを理由にしています。安保に関して、日本・台湾は中国を牽制しようとしているけど、韓国の場合、それより北朝鮮があるので、取るべき路線が異なる、というのです。ちなみに、記事は8日のものですが、13日、北朝鮮のミサイルでJアラートが鳴り響きました。これだけでも記事の核心内容が・・なんというか、「どっかの第2金融圏プロジェクトファイナンス状態」な気がします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※対中路線において)日本と台湾の道は「牽制」中心だ。 その背後には、米国との一体化を追求しての安全保障という目標が定められている・・・・北京で話した中国の人たちは、韓国の対中政策も日本の道に近づいているという認識を持っていた。ますます米国のインド・太平洋戦略に深く参加して中国を牽制する道を行くだろうというのが、中国の考えなのだ・・・・そんな中国の視線に、私たちはためらいなく「そうです」と答えるのが最善だろうか。

中国に対する日本の経済的依存度は、私たちより小さい。日本の人たちが中国に対して感じている安全保障リスクのレベルは、私たちのそれとは、比較することすら難しい。わたしたちが北朝鮮核について考えているのと似ている。来月、ユン・ソクヨル大統領就任1周年を控え、対中政策について悩む時が来た。韓米同盟・韓米日共助強化の中でも、現実に合った選別的対中国牽制と共助の道を行くことについて、本格的に考えてみて、その結果をもとに韓中関係でできる範囲内での協力は充実させていく必要がある。そのために最も優先的に必要なのは中国に対する研究とコミュニケーションではないだろうか(聯合ニュース)・・>>

 

ユン政権就任から、各メディアは「私たちには~~があるので、中国との関係において日本・台湾のように米国と完全に路線を一致させることはできない」という記事を載せています。~~の部分に入るのはいくつかパターンがありますが、どれも、経済と安保を別々に考えることだけは共通します。もっとも有名なのが、安米経中、安保は米国にまかせて経済は中国にまかせるという考え方です。経済関連で中国の影響が強いので、分からなくもないですが、中国の経済的影響を受けない国ってそう無いでしょう。日本を初め、多くの国も同じですが、それでも相応のダメージを受け入れて、今の路線を取っています。でも、ユン政権は、半導体メーカーの中国工場関連でも分かるように、どうしても『両方』取ろうとするスタンスが強すぎます。

「実は、なにもする必要はありません」という意見も結構出ています。半導体でもバッテリーでも、米国も中国も韓国の高い技術力を必要とするので、これといって組分けに積極的に参加する必要はない、とする主張です。中には、「安米経中(安保は米国、経済は中国)」というより、、「名米実中(米国には名分だけ合わせて、実利は中国から得る)」でいいのではないか、という主張もあります。私個人の感覚的な話ではありますが、日本・オランダが米国の半導体装備の対中輸出措置に合意したと報じられるようになってから、こういう流れは強くなりました。

 

そして、『北朝鮮問題があるから、日本や台湾のように米国と完全に足並みを揃えることはできない』という主張です。先の聯合ニュースの記事にも、この見解が強く表れています。ある意味、ユン政権の対米外交路線のバリエーションだと見ることもできるでしょう。「北朝鮮問題で(文政権より)積極的に協力するから、対中関連では例外を認めてほしい」というのが、ユン政権の対米路線の基本パターンです。すべてに共通するのは、物事を『立体』ではなく、それぞれの『点』としか見ていない点(笑)です。中国と北朝鮮は別々、ロシアと中国は別々。経済と安保は別々。だから韓国と『西側』は別々。どこにつながっている舵をどうきれば、こんなことになるのでしょうか。

 

 

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