巷で話題(?)の「100年前のこと」大統領発言については、一つ前の臨時更新をお読みください。本エントリーは、二つ前の件、マイクロン社関連の内容になります。二つ前といっても昨日のことですが、訪米準備中のユン大統領に、米国側は「もし中国がマイクロン社に何かの措置を取って、同社の半導体生産が減った場合、サムスン電子やSKハイニックスがその不足分の穴埋めをしないようにしてほしい」、と要求しました。一部では、サムスン電子、SKハイニックスの中国工場への、半導体関連装備輸出(搬入)の1年猶予とこの件を繋げる見解もあります。その猶予期間を延長する条件で、ユン大統領が米国の話に乗った、というのです。まだ予想ではありますが。
そんな中、韓国の各メディアの記事を読んでみると、大まかに二つの主張が共通しています。一つは、企業活動にまでこんな要求をするとは、という批判論調。もう一つは、『米中どちらかを選ぶ決断が必要なのか』というものです。いまになってそれを言うか・・としか思えません。京郷新聞は記事の題に「もし事実なら、米中のどちらかを選択することになる」としていますし、中央日報も「米中の間にはさまれた」と、実に い・ま・さ・らな記事を載せています。事実でないなら、選択する必要はないとでも言いたいのでしょうか。以下、本エントリーでは京郷新聞の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・米国の対中半導体措置に関して、中国は米国マイクロン社のメモリ製品のセキュリティ審査に乗り出した。そんな中、サムスン電子など国内企業が米中半導体対立にまきこまれる立場に置かれた。中国がマイクロンのメモリー販売になにかの措置を施した場合、サムスン電子・SKハイニックスのメモリーがその穴埋めをしないよう、米国が韓国政府に要請したというファイナンシャルタイムズの報道と関連、国内半導体業界は「ありえない話が出た」とした・・(※中国は、マイクロン社の半導体生産に関する措置を行う可能性が十分にある、という内容の後に)・・中国政府がマイクロンをターゲットにしたのは、マイクロンのDRAMがなくても、サムスン電子とSKハイニックスを通じて供給されると判断したためだと見られる。半導体業界でも、マイクロン社関連でサムスン電子とSKが利益を得るという分析が主流だった・・
・・だが、今回のFTの報道が事実なら、中国は予定したシナリオ通りに進めなくなる。サムスンとSKがマイクロン供給分を埋めない場合、中国のスマートフォンメーカーはDRAMを入手できず、製品供給がうまくできなくなる・・・・米中の半導体対立の中に、サムスン電子とSKハイニックスなど国内企業も米国と中国のうちどちらかを選ばなければならない分かれ道に置かれた。スマートフォン・PCなど一般的に使用される製品に入るメモリ製品の供給を、中国市場に限って制限するのは名分もないし、中国を選ばなかったという意味にもなる。
さらに、中国電子業界のメモリ需給難のため、スマートフォンなど電子機器の供給不足・価格上昇が続くと、世界市場が混乱する可能性もある。国内企業が米国の要請に応じるのは容易ではない。米国は先端半導体装置に対する中国への輸出関連措置で、サムスン電子とSKハイニックスの中国工場は1年間の猶予措置を得ている。中国工場を続けるしかないサムスンとSKとしては、今年再び猶予措置を受けなければならない。他の企業関係者は「サムスン電子とSKハイニックスは、米国の手のひらの上にあるようなものだ」と話した。専門家たちは、中国がマイクロン社に何かの措置を出さないよう、米国がFTを利用して先に「牽制球」を飛ばしたと分析している(京郷新聞)・・>>
そこで「ああ、世界市場が心配だ」を理由にしても、あまり説得力がない気もしますが。同紙の別記事によると、外交部(外務省)にこの件について問い合わせたところ、『確認できる内容が無い』と答えました。ホワイトハウスはこの件で、具体的には話さず、「米国と韓国が、先端技術の経済安保に関する大きな進展を成し遂げた」と発表しています。この発言がマイクロン社関連のことなら、すでに合意できている、ということでしょうか。しかし、多くのメディアに『訪米準備中に』と書いてあるし、本当にすごいタイミングですね。確かに、いまのユン大統領としては、訪米直前なら合意またはそれに準ずる何かをするしかないのでは。
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