「そんなこと言っていません」な件が一つはあるのでは・・と思っていましたが、こんなに早く出てくるとは、さすがに驚きです。本ブログではグループAのことが話題(?)ですが、ユン大統領の訪米・外交関連で韓国側でもっとも話題になっている案件は、別にあります。公式に出てくる話としては「事実上の核共有に成功したこと」、いわゆるワシントン宣言で、公式ではない(民間専門家など)話としては、「サムスン電子・SKハイニックス中国工場への装備搬入(輸出)の1年猶予が得られなかったこと」です。後者はまた今度ということにして、前者の場合は、日本メディアの報道にはあまり出てこない用語です。それもそのはず、米国側の発表には、核共有に関する内容はありません。
「拡大抑止」を強化するという内容は入っていますし、それを「既存方針の強い再確認」という見方をすればそれでいい気もしますが、ユン大統領としては何か大きな成果が欲しかったのでしょう。本ブログでも何度か取り上げましたが、ユン大統領は在韓米軍の戦術核兵器再配備、核共有、さらには自力による核保有まで、大統領候補だった頃から何度も発言してきました。今回、それを成し遂げたことにしたかったのでしょう。でも、大統領室がこの件を発表しながら「事実上の核共有」「核共有だと感じられるだろう(直訳です)」としたことからも分かりますが、核の傘や拡大抑止に関する内容はありますが、共有等に関する内容はありません。それでも、各メディアはもちろん、与党、大統領室も、「事実上の核共有!」と何度も公式ブリーフィングなどで言及しました。
このことに、米国としてはかなりの負担を感じたのでしょう。まだ尹大統領が訪米中の27日(現地時間)、ワシントン国務省で開かれた米韓首脳会談関連の各メディア特派員懇談会で、 エド・ケーガン米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)東アジア・オセアニア担当選任局長は「韓国政府はワシントン宣言を『事実上の核共有』と説明しているが、それに同意しますか」という質問を受け、「はっきり言いたいと思う。私たちはワシントン宣言を『事実上の核共有』とは見ていない」、「大統領室が核共有をどのように定義しているのかまで私が言うことではないが、私たちの定義では、それは核共有ではない」と答えました。大手メディアがいっせいに報じています。なにせ、大統領室の発表とは逆の内容で、尹大統領がまだ訪米中であることを考えると、かなり強い発言ですから。すると、大統領室は「確かに、核共有ではありません」「その分強い安保協力という意味でした」とスタンスを変えました。KBSはこの件を、「いわば、核共有というのは『比喩でした』と話しているわけです」と、多少あきれた論調で報じています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・大統領室は「事実上、核を共有すると感じられるだろう」と意味を与えましたが、アメリカでは全く異なる話が出てきました。「共有するわけではない」と言いきったのです。米国の核資産で韓国に対する北朝鮮核リスクに対応するレベルをさらに高め、情報や戦略もより多く議論する、それらが、韓米首脳が発表したワシントン宣言の主な内容です。大統領室は昨日(27日)その効果をこう説明しました。【キムテヒョ/国家安全保障第1次長/27日:「私たち国民が事実上、米国と核を共有しながら過ごす、そう感じることになると思います」】。その一日後の今日、アメリカのホワイトハウスのハイレベル当局者が、この発言に対する立場を出しました。
エド・ケイガン米ホワイトハウス国家安保会選任局長は、ワシントン宣言を「事実上核共有」と説明した韓国側発言に同意するかという質問に、米国はそう見ていないと答えました。米国で「核共有」という言葉は、核統制、つまり誰が使用権限を持つのかということだが、ワシントン宣言にはそんなことはないというのです。使用権は米国大統領だけにあり、共有は不可能だという立場が強く、米国は「核共有」という表現が出てきたことに強い反応を見せたのです。昨日、韓米首脳会談でも同じ趣旨の言葉がありました。【ジョー・バイデン/アメリカ大統領:「私は核兵器を使用できる唯一の権限を持っています」】・・
・・ホワイトハウスは、ワシントン宣言が朝鮮半島に核兵器を投入する意味ではないとも、繰り返し強調しました。アメリカと立場が異なると思われることを意識したか、大統領室は急いで火消しに乗り出しました。確かにアメリカと核を共有するのではない、と言いました。国民が安保を不安に思わない、安全な国になるという趣旨を説明するための発言だった、と言いました。いわば、比喩的表現だった、というのです(KBS)・・>>
今日も更新はこれだけです。ゴールデンウィーク連休中は1~2回更新モードになります・・が、連休というのもありますが、ちょっと個人的にいろいろ準備することもありますので。そして、ゴールデンウィークが終わったら・・いろいろ、皆様に「発表」しないといけないことが溜まっております。それから約1週間、お休みをいただくことになりますが、それもまた後でちゃんと告知致します。
おかげさまで、新刊が発売中です!今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます!
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・準新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。