遅くなりましたが、ただいま帰ってきました。本当にありがとうございます。家族への報告、銀行の仕事など、全てうまくいきました。銀行の仕事(日本への送金)は、「1回の訪問で出来たケースは初めて見た(書類の用意などの問題で)」と言われたりしました。本当に、神様には感謝の言葉もございません。本当は明日から更新再開する予定でしたが、明日の朝にちゃんと起きられる自信がなくて、寝る前に一つ書いておきたいと思います。
ええと、今回の訪韓・・4年ぶりというのもありますが、本当にただならぬ違和感の連続でした。3つぐらい書きたいことがありますが、今日はその一つ、グック(グッパなど、いろんな材料を煮て汁を出す料理)関連のことを取り上げたいと思います。結論から簡単に書きますと、汁がうすすぎます。別に濃ければいいというわけでもないからバランスが重要ではないのか・・と思うこともできますし、たしかにその通りですが、グックなどの濃さを韓国では「ジン(津)さ」と言いますが、ある程度のジンさが確保できていないと、グック料理は全然美味しくありません。
私見ではありますが、私は前からブログや拙著などに、「韓国料理は、材料を煮て汁を出すことこそが根幹」と書いてきました。身分の高い人たちは良い材料から出る汁を食べることで、その材料の『良い成分』を摂取できると思っていました。でも、下の人たちはそうでもありません。いったん煮て汁を出して、残った材料に、また水をいれて、また煮る・・そうやって出来上がったものを食べるしかありませんでした。このような事実により、韓国では身分(または序列関連のなにか)をグックにたとえた表現が残っています。ちゃんと材料を煮て出来たグックなどを、ジングックと言います。先のジン(津)+グックだろうと思われますが、実は辞書によっては漢字表記が無いものもあり、語源は不確かです。材料をすべて使ったという意味で『全(ジョン)』がジンになったという話もありますし、材料を再利用せず初めて作ったという意味で『前(ジョン)』がジンになったという話もあります。私は、個人的に『真(ジン)』ではないのか、とも思っていますが・・根拠はありません。
そして、ジンでないものは、最近はほとんど使わない言葉ですが、「フックク(훗국、後グック)」と言います。水を加えて、後から出てきたもの、という意味ですね。「ジングックは自分で食べて、フッククは他人に食べろと言う」という諺(自分のことしか考えないという意味)もあります。同じく、最近はほとんど耳にしなくなりましたが。他にも、「フックク(後グック)を食べる」が「手下のもの」「雑魚または末端」という意味で使われることもあります。また、後グックを作るときに入れる水を「ゲックムル(객물、客水)」ともいいます。これも諸説ありですが、多分、主がいいものを食べて、客には後グックを出すから、こんな呼び方になったのではないか、そんな気もします。というか、「客」の字が入るこんな単語が存在するということ自体、結構驚きです。単語があるということは、結構頻繁に行われていたという意味にもありますので。
本題が遅くなりましたが、今回、「どうせならグック料理(※日本ではあまり食べまでん)を食べようかな」と思って、いくつかの店に入ってみましたが、ぜんぶ後グック(笑)でした。1ヶ所は、交通的にかなり重要なポイントにあり、外国人観光客も多い店なのに、うすい、うすい。これで1200円(1万2千ウォン)かよ、とびっくりしました。数ヶ月前ですが、日本で食べた800円のグッパのほうがずっっと『ジン』でした。困ったものですね。4年前までも、こんなことが無かったわけではありませんが、ここまで連続でやられたのは初めてです。単に「店ガチャ」の問題ではないのか・・そう思うことも出来ます。でも、グックは『ジン』さを減らせば、量をそのままにしても事実上の制作費ダウンになります。そういう理由もあるのでしょう。ちなみに、姉の家で食べた姉の手料理は、何の問題もありませんでした。
はてさて、4年の間、『ジン』さがどっか消えてしまったのか。それとも、もとからこうだったのに私が気づかないでいただけなのか。単にグックなど汁料理から離れて、料理の味付けそのものを『ジン』さという側面から考えてみると、私の味覚が4年の間、日本の各店の『ジングック』さに慣れてしまったのかもしれません。実際、ついさっき、家の近くまで帰ってきて、いつもの店で夕食を取りました。いつもの店、いつもの味が、ずっと贅沢に感じられました。ジンさとはおもてなしである・・と言うのは、考えすぎでしょうか。明日、もう一回だけ韓国旅行ネタ書いて、月曜から通常更新(1日2回目、クモリ多め)再開致します。ありがとうございます。
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