最近、半導体関連で「日米韓協力」という言葉が目立つようになりました。基本的にはサムスンが日本に研究施設などを作ることだと思われますが、ソース記事によると、いわゆるソブジャン(素材ソジェ、部品ブプム、装備ジャンビ)関連予算が、3分の1になった、とのことでして。記事は、最近の外交方向性からして、これは素材部品装備に強い日本との協力を前提にしたものだとしています。今までのソブジャン関連でこれといった実績が無かっただけ、と言ってしまえばそれだけですが、ユン政権が日本との協力を強調することで、『いまからでも日米半導体協力に加わりたい』としていることは間違いないでしょう。とにかく、例の国産化ショーは終わったと見ていいじゃないでしょうか。
この動きについて、複数のメディアは、日米の半導体協力に加わるより、『米中の間で、外交力でなんとかすればいい』という分析を出しています。遠回りに書いてあるものが多くて伝わりづらい記事が多かったですが、ビジネスポストが、わかりやすい(褒めているわけではありませんが)記事を載せました。日米半導体協力で、日本が半導体製造能力まで手に入れれば、韓国は「代替可能な存在」になる、いわばオワコン化するというのです。書き方はそれぞれですが、他の複数のメディアの記事からも垣間見ることができる内容だったりします。どういうことなのか、以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国は、やる気になれば、韓国半導体産業に莫大な影響力を行使できる。中国を相手にした半導体装備の輸出制限政策で、韓国のサムスン電子とSKハイニックスに例外(※1年猶予)が無いなら、両社はそのままダメージを受けるしかない。サムスン電子は中国でNANDの40%ほどを、SKハイニックスはDRAMの40%とNANDの20%を生産している。また、米国は『チップス法』のガードレール条項を利用して、米国に工場を建てるサムスン電子とSKハイニックスを支援する代わりに、両社の中国工場の増設を制限することもできる。米国が今後、サプライチェーンの重心をどの国にするかによって、半導体産業の構図は大きく変わることができるのだ。しかし、米国はまだ半導体製造能力を備えていない。日本も半導体製造能力を確保できないでいる。
いくら米国が半導体産業に大きな影響力を行使できるとしても、自国産業を考慮して、製造力量が強い韓国半導体産業を、中国牽制のために強く制限する可能性は、今は大きくないのだ。このような状況で、韓国政府は、日本と半導体素材・部品・装備で協力を強化しようとする動きを見せている。ユン大統領が直接、韓日経済人会の代表団に半導体ソブジャン分野協力を要請した。また、両国政府レベルで半導体ソブジャン関連共同研究と技術協力も推進する。
一方、中小ベンチャー企業部所管の素材・部品・装備と関連した今年の予算は、3分の1以上削減した。 我が国の2022年基準のソブジャン自立率が30%にとどまる点を考慮し、日本と協力して半導体製造分野の効率性を高めようとする措置だと思われる。こうした政府政策は、(※引用部分にはありませんが、記事は米中対立によって自由貿易時代は事実上終わったとしています)自由貿易時代に似合う方式にすぎない、という見方が多い。今は、互いに協力して生産性を高める時期ではなく、国家間の政治的関係によって経済が左右される時代だ・・
・・韓日外交関係が最近一定部分回復したと言うが、日本はいつ再び韓国の半導体産業をねらってくるかわからない。さらに、米国が中国を牽制するために行っている自国中心グローバル半導体サプライチェーンの再編で、核心パートナーとして日本と手を取り合おうとする動きを見せている。こんな状況で、大いに日本に期待するのは思わしくないという観測も提起される。日本が半導体製造能力を取り戻せば、韓国はいくらでも代替することができるが、製造能力の強化に必要な素材部品装備の自立を推進せず、日本と組むのは、リスクが高すぎるというのだ。
米国は、自国のために、日本の半導体生産が軌道に乗ると、中国の影響から自由ではない韓国の半導体産業をすてることができる。それにもかかわらず、米国と日本の間の半導体協力の下部構造に韓国が入ると、強大国の隙間で韓国の半導体産業が生き残る道を自ら手放す事になるかもしれない(ビジネスポスト)・・>>
さきも「実績が無かっただけでは」と書きましたが、他に何かできる政策があるのでしょうか。記事は、「中国ともっと協力を」と書きたかったのかもしれませんが、3つ前のエントリー(北京特派員~)でも取り上げた通り、中国市場も容易ではありません。国産化も、これといって実績無しでした。記事が「下部構造に入る」としている道、ユン政権としては、「もしそうなっても、いまは他の道が見当たらない」と思ったのではないでしょうか。 今日の更新はこれだけです。次の更新は、8日(木曜)11時頃になります。
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