ポーランドへの武器輸出、韓国で言う「防産輸出」は、しばらくの間、各メディアの「優秀さ」関連記事で大きな比重を占めてきました。なにかあれば「ポーランド防産輸出でもわかるように~」というフレーズが出てきたりしました。半導体の次を担うとか、そんな記事も見た記憶があります。しかし、一つ前のエントリーでも取り上げましたが、地上波放送SBSを中心に、いままで知られていなかった内容も報じられ、別の見方が提起されるようになりました。ある意味、UAE原発輸出のときと似たような展開です。
一つ前のエントリーのソース記事よりは数日前の記事(9日のもので、例の2兆円についてはまだ確認が取れていないとする文章です)ですが、SBSの国防専門記者が、国家的に見るとむしろマイナスになるし、当初の目標とも異なる方向に進むだろう、と主張しています。いままでの韓国メディアの報道からは、考えられない主張です。目標というのは、「ポーランドへの防産輸出は、EU側への防産輸出のための足場作りになる」というものでしたが、実はポーランドに有利すぎる内容で契約をしたことで、国家レベルでみるとマイナスにしかならない、これではただの『ポジュギ(たくさん与えるだけで実益が無いという意味、ばらまき)』にすぎない、というのです。ポジュギーランド・・すみません。 以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・輸出成功という歓呼とは逆の側面もあります。輸出入銀行がポーランド政府に融資や保証など12兆ウォンの金融支援を提供します。ここにとどまらず、現在交渉が進行中の二次輸出にも金融支援が続きます。その規模は20兆ウォンになると言います。ポーランドは1、2次にわたって計30兆ウォンの貸出と保証を確保するわけです。ポーランド輸出には金融支援の他に、現地生産と技術移転条件も付いています。ポーランドは私たちの輸出入銀行のお金を借りて工場を建てて、受けた技術で武器を作って、中部ヨーロッパに輸出するつもりです。国防部と防事庁は「ポーランドが防産輸出の欧州橋頭堡になるだろう」と期待していますが、金融支援と現地生産、技術移転など輸入国の特恵を勘案すれば、ポーランド輸出の真の意味は異なる見方をしなければなりません・・
・・記者は昨日(※8日)国防部定例ブリーフィングで、「技術移転、現地生産、金融支援などをセットを全部与えては、国家的にはマイナスです」、「私たちが貸したお金でポーランドは工場を建てて、設備を作り、移転された技術でK2、K9を作った後、ルーマニア、スロバキアに売るでしょう」と指摘しました。ジョンハギュ国防部広報担当者は「どういう意味か十分に知っている」、「そんな部分も十分に考慮して最適な交渉案を出すように努力中である」と答えました。今回のポーランド輸出は、ポーランドが中央ヨーロッパの防産強国に浮上する機会となるでしょう。ポーランドを国産武器の欧州輸出橋頭堡にするという私たちの希望は、きえつつあります。
少し冷静に、ポーランド輸出問題を見て、遅れたものの、残りの交渉でもより合理的な結果を引き出す必要があります。しかし、交渉の見通しはそれほど明るくありません。「ポーランドが現地生産ライセンス権を望んでいる」、「一次輸出代金の残金に対する追加融資まで要求する」という言葉が業界から出ています・・・・ アメリカ、イギリス、フランスに比べると国力も国防科学力も及ばない私たちにとって、武器市場のハードルは高いです。ポーランド輸出に金融支援、技術移転、現地生産などの条件を付けたのは、それを克服するための努力の一環ではあるでしょう。しかし、過度のポジュギではないのか、振り返る必要があります(SBS)・・>>
はてさて、ここにきて「そういう要求は受け入れられない」とし、輸出できなかったと発表できるのでしょうか。ユン大統領の大冒険は続きます。 明日は1日休みます。次の更新は、16日(金曜)の11時ころになります。
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