文在寅政権が進めていた「ソブジャン(素材、部品、装備)国産化」の件。一部のメディアがこの件について「国産化に成功したという発表は多かったけど、日本からの輸入はむしろ増えている」という趣旨を報じていて、特に朝鮮日報が力を注いでいます(文政権のことだから、というのもあるでしょう)。昨日も関連記事があって・・大まかな内容は今までと同じですが、「去年、フッ化水素の8割を中国から輸入した」という内容がありました。
直接的に書いてあるわけではありませんが、記事は文政権が「自立」を強調していたことを取り上げており、これが自立の結果なのか、という趣旨も垣間見えてきます。また、本ブログでも2021年12月に紹介したことがありますが、「ベルギーからフォトレジストを迂回輸入していたけど、実はそれが日本産の迂回輸入だった」という話について、ちょっとした追加情報も書いてあるので、エントリーしたいと思います。どうやら、コストが数倍に跳ね上がっていたようで・・ 以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※2019年)当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「ソブジャン(素材・部品・装備)自立」を宣言した。以後4年間、一部素材を国産化する成果もあったが、むしろ日本からの輸入額は大きく増え、貿易赤字は深化し、一部素材は日本の代わりに中国依存度が強化されたことが分かった。高純度フッ化水素は、一部国内企業が国産化に成功した。フォトレジストもサムスン電子と東津セミケムなどがEUV露光工程に使用できるフォトレジストを開発した。しかし、国産化は依然として微々たる程度だ。昨年、産業通商資源部は国内半導体機器の国産化率が20%、素材は50%にとどまったと見た。2017年の18.2%、50.3%とこれといって差がない。
25日、本紙(※朝鮮日報6月26日)が最近4年間政府貿易統計を分析した結果、昨年日本から輸入した素材部品装備は2018年よりもむしろ増加し、貿易収支赤字も深化している。2018年に381億ドルだった韓国の日本からの素材部品装備輸入額は、2019に329億ドルだったが、翌年に340億ドルに反騰した。昨年は395億ドルで、最大を記録した。これに伴い、対日素部装貿易赤字は2019年186億9000万ドルから昨年249億3000万ドルに増加した。ただし、輸入国の分散には一部成功し、フッ化水素の場合、2018年41.9%に達した日本からの輸入の割合が、昨年には7.7%になった。代わりに、この穴を埋めたのは中国だ。昨年、韓国のフッ化水素の中国からの輸入割合は80%に達する(朝鮮日報)・・>>
さて、フォトレジストのことですが・・2021年、文大統領は「日本からのフォトレジスト輸入が半分になった」と話しました。「素材部品装備産業懇談会」でのことです。詳しくは当時にもエントリーしましたので、そちらを参考にしてください。2019年7月以降、韓国のベルギー産フォトレジスト輸入額が10倍も増えたのは事実ですし、日本からの輸入が50%以上下がったというのが韓国政府の説明で、これも事実ではあります。しかし、この「ベルギー産」というのが、日本のJSRの子会社からフォトレジストを買い入れているもの。結局、韓国は日本産をベルギー迂回で輸入していたにすぎないわけです。この件で、先の朝鮮日報の記事で指摘がありました。あたりまえですが迂回することでコストも上昇し、「フォトレジストの場合、国内企業は日本産の代わりにベルギーの日本合弁法人を通じて迂回調達を始めたものの、ベルギー産の素材輸入単価は日本産の5.4倍に達した」、とのことです。 今日、次の更新がいつもより遅れます。17~18時頃になる・・と思いますが、ちょっと不確かです。
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