フォトレジスト世界1位JSR、日本政府系ファンドにより国策会社化・・日本より韓国で大きな話題に

フォトレジスト世界1位のJSRが、産業革新投資機構(JIC)のTOBにより、国策企業となりました。半導体関連のサプライチェーン再編に関する措置です。私の気のせいかもしれませんが、本件、日本より韓国で大きく取り上げられています。本件について、ネットメディア「時事今日、時事ON」、朝鮮日報の記事から関連内容を紹介します。共通するのは、緊張感を持て、という内容です。特に朝鮮日報によると、「サプライチェーンそのものを揺らすこともできる企業を、日本政府が国有化した」、「半導体素材業界において、日本政府の影響力がさらに強くなるという意味だ」、とのことでして。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・特にJSRは、全世界で5ナノ以下の先端半導体生産に使用される極紫外線(EUV)用フォトレジストを供給できる、数少ない企業だ。さらに、その競合他社も東京応化工業、住友化学、信越化学など、ほとんど日本企業だ。JSRを事実上国有化した日本政府がフォトレジストの輸出で何かの措置を行った場合、グローバル先端半導体サプライチェーンそのものが揺れる可能性もあるということだ。サムスン電子とTSMCも例外ではない。半導体業界の関係者は「JICのJSR買収は、グローバル半導体素材市場で日本政府の影響力がそれだけ強くなるという意味だ」と話す・・

 

・・国内の半導体企業関係者は、「韓国と台湾を中心に生産拠点が再編される中でも、日本の素材・装備業は30年間技術力を高め、着実にサプライチェーンで重要な位置を守ってきた」とし、「装備だけを置いてみると米国とオランダ、 素材の場合にはドイツも強国だが、すべてを備えた国家は日本だけだ」と述べた。野村証券によると日本企業の半導体装備・素材グローバルシェアは塗布装置90%、シリコンウエハ60%、フォトレジスト70%に達する(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・(※JSRの件で)半導体大企業まで買収して国有化に乗り出した日本は、来る2030年「電気自動車」と「量子コンピュータ」の実装に不可欠な光電融合技術の開発と後工程の投資・支援を強化しつつある。次世代ロジック半導体開発において、後工程を欠かせない。先端技術の尺度を決めていた前工程が技術的限界にぶつかり、先端パッケージングによる後工程が注目されているからだ。二次電池と太陽電池を融合した光電融合技術も電気自動車・自律走行車の重要要素の一つとして脚光を浴びている。

荻野洋平・経済産業省通常情報政策局デバイス・半導体戦略実装は、5月31日から6月2日まで日本東京で開催された「電子機器トータルソリューション展」で、「TSMCの工場建設やラピダスなど前工程についての話が主に盛り上がっているが、政府が支援するプロジェクト数は後工程の方が多く、支援時期も早かった」と説明した。荻野室長は「半導体業界でどの国が主導権を握るかというのは、重要な問題だ。 日本が強みを持っている「光電融合技術」と「光チップセット」が今後の半導体産業ゲームチェンジャーになると期待する」と伝えた(時事今日時事ON)・・>>

 

個人的に、記事内容で、「前工程の話が話題になっているが、実は政府が支援するプロジェクト数は後工程の方が多く、支援時期も早かった」というのが印象的でした。確かに、前工程ばかり話題になっていますので。他にも、KBSからハンギョレ新聞まで、同じ趣旨の記事を出しています。朝鮮日報とハンギョレの記事内容がここまで似ているのは、前例が無いかもしれません(笑)。一部のメディアは、日本が半導体素材を戦略物質化するつもりだ・・と報じていますが、それはそうでしょう。経済安保という言葉を知らないのでしょうか。戦略物質化するのはあたりまえの流れでしょう。KOTRA(貿易振興公社)によると、今回のJSRの件は「入札を経ずに、JICがJSRと相対交渉する異例の買収だ。経済安全保障のためにも、海外ファンドよりも国内ファンドによる買収提案を優先した」、とのことです。半導体の国際競争力を強化したい日本政府も、政府系ファンドであるJICの買収を支持した、とも。

 

 

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