韓国エコノミスト「やっとアベノミクスが日本経済に広がった。米国金利引き上げでもっとも得をしたのは円貨資産だ」

本エントリーは、通貨安を無条件で容認すべきだという趣旨のものではありません。なにごとも、「急に動く」ものには注意が必要ですから。この点、前置きさせてください。さて、韓国メディアは、基本的に日本経済のことを『良く』報じることをタブー視しています。為替レートだけ見ても、円高なら円高で、円安なら円安で、日本の国力は低下した、とします。分析として人それぞれ別の意見を出すのはいいけど、私にはそれらが「分析として正しい」側面より、「道徳的に正しい」側面を重視したものにしか見えません。

そういえば去年にも、円安で「日本で金融危機」という報道が溢れましたが、韓国日報の特派員が「日本で話題になっているのは物価だけで、金融がどうとかの話は話題にもならない」と強烈なカウンターアタック記事を載せたりもしました(2022年10月のエントリー)。そんな中、ほんの少しの、ほんの一部の経済専門家たちが、いまの「BuyJAPAN」、すなわち日本への投資などが増えている現象は、「中期的、長期的に見ても、問題ないと思われる」、「米国金利引き上げでもっとも得をしたのは、実は日本の資産である」などの見解を出しています。といっても基本的には保守側で、本エントリーは週刊東亜の記事です。なんと、そこには、「今のBuyJAPANの始まりは、アベノミクスだった」とし、アベノミクスを肯定的に評価する内容もあります。普通は、こんなことは韓国メディアで滅多に見られるものではありません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「米国金利引き上げでもっとも得をした円貨資産、日本経済の中・長期展望は明るい(題)」・・・・問題を解決するために登場したのがアベノミックスだ。安倍晋三元日本首相はなにより人々の心理を変えなければならないと判断した。つまり政府と中央銀行が「インフレが発生するまで」通貨緩和政策を行うと宣言し、これを最後まで推進すれば、結局は消費と投資が生きると判断したのだ。もちろん最初からアベノミックスが成功を収めたわけではない。無制限に近い通貨供給拡大政策が施行された後、円/ドル為替レートが80円から100円水準まで動いたが、人々の消費と投資は動かなかった。為替レートの動きで海外から輸入される製品の価格が上がったにもかかわらず、人々は「物価が上がるはずがない」と、デフレ時代の生活パターンを維持したわけだ・・

 

・・ところが、2021年を過ぎて、状況が変わった。 何よりも米国の金利引き上げが始まり、円安がさらに激化し、これを契機に低評価された日本資産を買い入れようとするグローバル投資資金が集まった。それだけでない。円安の中で日本企業の実績が史上最高水準に達したのも「BuyJAPAN」の雰囲気を造成した。このテーマには、一つの疑問が生じる。今、日本株や不動産を買っても大丈夫だろうか。筆者(※ホンチュノク・プリズム投資諮問代表)は、すぐにはどうであれ、中・長期の見通しは明るいと思う。米国の金利引き上げが今年下半期から止まる可能性が大きいうえ、アベノミックス効果が日本経済に少しずつ広がる兆候が見られるためだ。したがって、グローバル分散投資レベルでは、円資産投資は十分に魅力的であると判断できる(週刊東亜)・・>>

 

記事は、円安も(他のメディアの主張とは異なり)政策によるもので、当然の結果だとしています。「米国ニューヨークと日本東京に支社を持つグローバル銀行『A』があるとしよう。日本で0.05%でお金を借りて、米マネーマーケットファンド(MMF)運用利回りが5.25%だとすると、A銀行は東京から円でお金を借りた後、ドルに両替してニューヨークMMFに入れておくだけでも年5.20%の利子所得を上げることができる」、と。他の銀行や年金基金もこの流れに飛び込むと、外国為替市場で持続的に円売り・ドル買いが続くと、ドル140~150円の円安になるのは当然の結果だ、というのです。

別ソースですが中央日報も、ファイナンシャル・タイムズの記事を引用し、「なんだかんだで日本は各部門で通貨安のメリットが多く、政府も積極的に介入する気配がない」としています。介入の前に市場参加者に時勢(相場)を聞く、いわゆる「Rate check」がまだ来ていない、と。この記事も後で紹介するかもしれませんが(未定です)、日本はかなり好条件で物価上昇を待ちながら通貨安を維持、中国は景気浮揚のために仕方なく通貨安を容認しているとしながら、これは韓国経済にも大きな影響を及ぼすだろう、としています。

 

 

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