最近、債務関連のニュースがまた増えてきました。それもそのはず、朝鮮日報(3日)曰く、「大量破産の兆しはすでに現れている」、とのことでして。それは、ま、たしかにすでに出ています。個人回生(個人破産の一種)や債務調整申請が急増していて、金融会社の延滞率も第2、第3金融圏を中心に急騰。第3金融圏の場合は(集計できる範囲内で)すでに延滞率は11%を超えていて、第2金融圏の貯蓄銀行でも、返済が3カ月以上延滞した「事実上回収不能債権」のローンが全体融資の5%を超えている、とも。脆弱借主と分類される自営業者だけでも債務は104兆ウォン、などなど。本ブログで3日に紹介した「175万人が、所得より元利金返済額のほうが大きい(DSR100%以上)」などのデータも、よく引用されています。
それでもまだ何とかして借りて返して、そうしているところを見ると、自転車操業スキルの高さに驚かざるを得ない毎日ではあります。そして、そんな中、しばらく関連ニュースが出ないと思っていましたが、プロジェクトファイナンス(PF)危機説に関するニュースも、また出てくるようになりました。「マンション団地作るよ!というプロジェクトだけで資金を集めるPF。いままでも何度も問題視されてきました。内容はともかく、『また危機説かよ』としか思えません。いったい、どれだけもろいのでしょうか。韓国経済などによると、今回は、施行社の8割は年内に倒れるだろう、との話が公然と出回っている、と。本ブログとしては目新しい内容でもありませんが、いままでと異なる内容があるなら、「政府が、金融機関に、PFローンをしないように圧迫をかけている」というところでしょうか。つぶしにかかった(!)のか、それとも何か別の考えがあるのか、そこまでは分かりませんが。
外国では、政府や自治体保証が無いとほとんど成立しないというPF。しかし、韓国のマンション団地工事で、PFは「とても賢いこと」とされてきました。確認されているPFローン規模は約130兆ウォン。2013年には約30兆ウォンだった、という話もあります。そうやって作られたマンションの値上がりまで考えると、表面的な経済成長に大いに役立ったことでしょう。何度か同じ文章を書いた記憶がありますが、施行社と施工社は意味が異なります。施行社は、プロジェクトファイナンス(PF)を総括、運用する会社のことで、施工社は建設会社のことです。施工社の場合はマンション団地などを作って代金を受け取ればいいけど、余程の大手でもないかぎり、実際はそうでもありません。
施行社がPFのための資金を用意するのはほとんどがローンですので、施工社は、そのための協力(ローンの保証など)を求められます。仕事を任せるから、保証人(社)になってくれ、と。最初はブリッジローンで借りて、後でPF用のローンに乗り換える形が多いと言われていますが・・施行社が、その乗り換えができなくなって、ブリッジローンの高い金利に耐えるしかなくなっている、というのが今回の8割説の基本パターンです。
記事によると、首都圏に本社を置くA社の場合、首都圏郊外で進行中のプロジェクトファイナンシング(PF)資金が不足し、保有した他の資産を担保としてローンを受けました。事業費の約40%をPFで充当しないとならない、と。でも、高金利なのはもちろんのこと、しかも「PFローンは貸し出さないように」という金融当局の圧迫が大きくなっていて、一部の第2金融圏部でもないと借りることができず、金利が15~19%まで上がる、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。引用してそのまま終わりにしたいと思います。
<<・・財務構造が弱い、順位10位圏の外にある建設会社、また首都圏外郭事業のPFローンは、事実上、機能しなくなったというのが業界の説明だ。金融当局が、大型施工会社が参加しない、または保証機関の保証がないPFローンはできないように管理している。過度に高い住宅都市保証公社(HUG)などの保証機関基準も問題だ・・・・政府は「不動産市場をソフトランディングさせなければならない」と、昨年末からPF対策を出している。しかし、対策が「可能性のあるところを助ける」のではなく、「金融会社の確定損失を先延ばしすること」に注力しているという指摘が出ている。
事業性のある開発事業を支援するとし、HUGと住宅金融公社の保証限度を増やしたものの、リスク管理基準はより厳しく変えたのが代表的だ・・・・開発業者は、通常、本PFローンを受けて、高金利で調達したブリッジローンを償還する。ブリッジローン状態から本PFに進めないでいる事業場が急増している。ある開発業者代表は、「金融費用を支えられない施行会社10社のうち8社は年内に倒れるだろう、という言葉が公然と流れている」とした(韓国経済)・・>>
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