韓国銀行が、今日(16日)の海外経済動向発表の際、半導体、バッテリーなどで再び目立ってきた日本の動きに関して言及し、もっと技術力強化など、対応を拡大すべきだと指摘しました。本件、ラピダス設立の頃は一部保守メディアだけが報じるくらいでしたが、それから、特派員や現地のイベントなどに参加した人たちを中心に他のメディアにも広がり、ついに中央銀行からも関連指摘が出てくるようになりました。本件をもっとも集中的に報じてきた朝鮮日報は、「もともと1990年代に半導体の中心は日本・米国・ヨーロッパだった」としながら、「その日本、米国、EUが協力を強化し、補助金においては事実上の同盟を組んでいる」と報じました。
いままで日本とEUは、それぞれが米国と補助金・サプライチェーン再編において情報を共有していました。そこで、日本とEUが同じ内容の共同声明を発表したことで、日本、米国、EUによる3角協力が完成することになる、としています。補助金同盟というのもその趣旨でしょうけど、それよりはサプライチェーン関連情報のほうがもっと大事ではないのか・・な気もします。また、記事は、「なぜ自由貿易を守ろうとしないのか」という韓国半導体業界関係者の話を伝えながら、最近の動きに不満を表していますが、いままでの韓国半導体業界の動きを見ると、「中国でもっと売りたい」と言ってることにしか見えません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日本と欧州連合(EU)が、半導体同盟を強化し始めた。日経・ロイターらによると今月初め、日本とEUは半導体産業支援補助金の分配基準と支給内容、補助金支給効果など半導体政策情報を交流するという内容の共同声明を発表した。日本は最近2年間、半導体補助金18兆ウォンを用意し、ヨーロッパは2030年までに61兆ウォンの補助金を編成するが、重複投資を防ぎ、両政府がワンチームのように半導体企業・人材を育成するということだ。欧州経済政策を総括するティエリー・ブルトンEU執行委員は「欧州と日本は半導体サプライチェーンを共に管理し、半導体研究員も交流する」とし「ヨーロッパ内で活動する日本半導体会社を支援することも検討する」と明らかにした・・
・・半導体産業復興のための「米国-日本-ヨーロッパ」の三角同盟が本格化している。EUと日本はそれぞれ米国と半導体補助金とサプライチェーン関連情報を共有していたが、EUと日本まで同盟を結んだのだ。日経は「1990年代の世界半導体生産の中心は米国・日本・ヨーロッパだったが、2000年代以降韓国・台湾・中国に中心が移動した」とし「新型コロナ、中国による台湾関連シナリオなどに備え、安全な半導体サプライチェーンを構築し、戦略物資化された半導体の中心に返り咲くということだ」と分析した・・
・・半導体業界では、「グローバル自由貿易秩序が完全に崩れた」という話が出ている。前には、国家が直接的に自国あるいは自国に投資した企業を支援すれば、「自由貿易秩序」を理由に対抗措置をされたりしたが、半導体サプライチェーンの重要性が浮き彫りになり、このような原則が消えたというのだ。2003年韓国もSKハイニックスの危機の際、産業銀行の公的資金を投入したという理由で米国・EU・日本から20~50%に達する相関関税を課されたことがある。しかし今では、誰も数兆ウォンずつ支給される半導体補助金を置いて「WTO(世界貿易機関)に問題提起する」とは言わない。エコノミストは「米国の半導体支援法は保護貿易主義への回帰を意味する」とし「ある国が(自由貿易)規則を守らないと、また他の国も守らなくなるので、何もしないでいる者が最も多くを失うことになるだろう」と 分析した(朝鮮日報)・・>>
なんでもかんでも同盟と書けばいいわけではない・・な気もしますが、意味としては確かに『味方だかんな』という内容には間違いありません。個人的に、「重複投資を防ぐ」という部分にピンときました。実際にどこまでやるのかは分かりませんが、『こっち側』感が半端ない表現です。ちなみに、韓国の「半導体競争力強化」記事を読んでみると、ほぼ全てが国内で、国内企業でなんとかするという内容です。「技術力の超格差」という言葉が、ほぼ例外なく出てきます。圧倒的な技術力で何とかするから、というものですが、はてさて。
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