本ブログではユン政権初期からずっと書いてきましたが、韓国メディアは『ユン政権は完全に米国側に舵をきった』ということになっています。ムンたんムンたんと比べると、ユンたんユンたんは確かにそう動いていると見えるでしょう。でも、主に中国関連で、私にはどうしても舵をきった流れには見えません。しかし、これもまた随分前から書いてきましたが、韓国メディアは、「経済安保」を、単に「経済と安保」としか思っていません。経済と安保の一体化だとは思っていないわけです。よって、米国側に舵をきったけど、中国との経済関係はちゃんと管理しないといけない、という高難度モードを注文してきました。
それら、「それでも、それでも中国」派のメディアは、最近になって「米国は、もう中国と対立する路線をやめると言っている。ユン政権だけが何も考えず米国側に舵をきってしまった。もうすぐ梯子を外されるぞ」とする主張を始めました。その根拠となるのが、「米国は『デカップリング』ではなく『デリスキング』という用語を使うようになった」です。でも、また一部・・主にローカルやネットメディアなどから、「いやいや、デリスキングは対立路線をやめるという話ではない」とする指摘も出てくるようになりました。今日は、珍しく、大手のSBSが、「デリスキングという言葉は、そういう意味ではない。世界はもう変わった。経済と安保は別々のものではない」という記事を載せました。デリスキングとは、強いて言うなら、『公正に対立しよう』という意味でしかない、と。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・(※見出し)「ディリスキング」は戦おうという意味だ。ただし、公正に。中国は不公正行為をしながら米国の開放性を利用して得をしてきた、というのが米国首脳部の認識だ。対中技術輸出関連措置は、狭い範囲で明確な目標を前提にするが、それによる経済的ダメージも甘受するというのが米国の方針だ。世界は変わり、安全保障と経済は別々ではなくなった。米国は安全保障を経済より上に置き、対中競争を設計する。韓国も、『足を伸ばす前に寝所を確認する(※安心していい場所なのか、事前の確認が必要だという慣用表現表現)』必要がある。
最近、米国の高位公職者たちが相次いで中国を訪問した・・・・ 彼らは中国側に宥和的ジェスチャーをしたり、そう解釈される(本当にそうなのかは考える必要があるが)発言をしたりした。人々の目にはこう見えているようだ。「なんだ、完全にサプライチェーンを再編すると大声で言ておいて、もう余裕がなくなったのか。アメリカから和解の手を差しのべたのではないか」、と。このような疑問は、一部の人々には次のような疑問につながる可能性もある。「米国がこうしているのに、韓国だけ中国と対立して、あとで梯子を外されるのではないか?・・
・・ 結論から、少し単純化して言えば、「そうではありません」。これは、まだまだ戦おうという意味だ。ただし、どのようにするのかルールを具体化するためで、その過程で必要な対話、「ルール・ミーティング」をしよう、ということだ。ボクシングで喩えると、事前に殴ってはならない部位を決めておこう、というものだ。デカップリングは、商品の原料及び部品調達、組立生産、販売に至る全過程を米国とEUと友好国家の間で解決することだ・・・・イエレン財務長官が7月上旬、中国を訪問して「中国とデカップリングするというわけではない」と言ったのは、そういう意味だ。
この発言の後半(※『サプライチェーンを多変化し、国家安保のための確実な措置を取ろうとしているのだ』)、だから主要サプライチェーンを中国に過度に依存しないように多様化し、国家安全保障のために必要な技術が中国に渡らないように保護する措置をとることを、「デリスキング」という。リスク(危険)をなくすという意味だ・・・・(※米国側は)中国の競争力を抑えるために同盟国と一緒に行うと強調するが、 同盟が共にしなければ成功できないという当たり前の話であると同時に、同盟国と言っても、米国企業が動けない間、中国と商売してお金を稼ぐと考えてはいけないという意味でもある。韓国が特に重く考えなければならないのがここだ(SBS)・・>>
結局、例のマイクロン社のこともありますが、半導体中国工場の話に合流する形になる・・そんな気もします。デリスキングがどうとかで中国寄りにするのやめさなし、と。引用部分にはないものの記事にも書いてありますが、実際、イエレン長官の訪中のあと、一部メディアが『期待』していたような『そうですねもうなかよくしましょうねー(無意味に海辺を走りながら)はははーははははー」な展開はありませんでした。長官が帰ってから、中国側は『(水泳大会で)米国は最新水着を、中国は旧式水着だけを着ろと言っているようなものだ』と話しました。記者さんはこの発言など、共通して『米国が望んでいるのは、技術力で米国が勝ること』としています。それが、米国の「公正なデリスキング」なのでしょう。周辺国からすると、大きなチャンスであり、同時にリスクでもあります。サブタイトルは「怪国大再編」でどうでしょうか。
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