5月の新生児の数が1万8988人だったことで、韓国では出生率、少子化関連記事が増えました。5月基準では今までで最少、とのことでして。2022年は年間で26万人台でした。しかし、増えたと言っても・・不動産投資(家計債務による金融関連)から兵役まで、各分野からの指摘の多さに比べると、記事そのものが少なすぎる気もします。別に報じないでいる、というわけではありませんが。そんな中、朝鮮日報が、「問題はいろいろあるだろうけど、地方に名門大学があるのがカギの一つ」としながら、日本の事例を紹介しました。12日のものですが、<<~>>で引用してみます。
<<・・昨年日本の合計出生率は1.26人だが、韓国は0.78人だ。多くの国が出生率問題を抱えていて、日本もそうだが、私たちからすると、日本は遠いところにある。韓国は2001年の出生率が1.30人で日本(1.33人)より低くなり、20年以上一度も追いつけられなかった。出生率1.0人を超えたのかいつだったかもちゃんと思い出せない。こんな出生率の差はどこから来るのだろうか。韓国に住む日本人専門家に会って、普段気になったこの問題を聞いてみた。彼は意外なことに、「日本はそれでも地方大学が耐えているからだ」と話した。日本には地方ごとに名門大学があり、東京に押し寄せる理由が少ない方で、それが重要な要因の一つだということだ・・
・・彼の話を聞いて今年のQS大学評価を見ると、日本の私立名門である京王大、早稲田大学の前に、京都大、大阪大、東北大、名古屋大、九州大、北海道大など地方大学が6つもあった。そのすぐ後にも筑波大、広島大、神戸大などがある。このような大学があって、地方で勉強のできる生徒たちが無理して東京に上がろうとせず、日本企業も新入社員を採用するとき、地方大学出身を適切に配慮することなどが、一定の低出生対策になっているということだ・・
・・私たちの場合はどうか。 2023年度全国188の大学のうち、定時(※普通にセンター試験による生徒募集)競争率が3対1を下回る大学が合計68カ所(35.2%)だった。定時は3回支援できるため、競争率が3対1より低いと『人数未達』とみなす。このうち86%(59カ所)が地方大学だった。最後の砦とされる地方拠点国立大学も揺らいでいる。釜山大、慶北大、忠南大、全南大、全北大なども、2月になると新入生を追加募集するのに忙しい・・・・人口専門家のジョヨンテ ソウル大学保健大学院教授は「超・低出生が発生した根本的な原因は、ソウルと首都圏への巨大な集中」とし「膨大な集中が物理的な密度だけでなく、若い層の競争心理、不安感まで高めて出生率を落としている」と話した。教授は首都圏集中を解かないと、いくら住居・教育・保育問題など個別問題に集中しても、低出生問題を解決するのは難しいだろうと話した(朝鮮日報)・・>>
韓国では、全体人口のうち半分を超える50.3%(2605万人)が首都圏に住んでいます。首都圏と言ってもソウル、京畿道、仁川のことで、日本ほど広い範囲を意味するものでもありません。去年12月のノーカットニュース(CBS)の記事によると、首都圏集中はイギリスが12.5%、フランスが18%、高いとされる日本でも28%だそうです。記事時点(2022年7月~9月データ)で、そのソウルの出生率は0.59人でした。単純に面積だけ見ると、東京都が面積2,194 km²で人口1396万人、ソウル特別市が面積605.02㎢で人口は945万人。ずっと1000万人を超えていましたが、さすがに京畿道のほうへ『にげる』人が増えて、2016年あたりから1000万人を下回っています。
最後に、これは経験談ですが・・各種インフラがソウルに集中しているというより、地方都市にこれといって「何もない」のも問題でしょう。関連した内容にいつも紹介するデータですが、2018年1月31日の「毎日経済」によると、観光事業について『安い買い物だけでは限界があるし、外国人観光客の78%がソウルしか訪れない』と指摘しています(2017年データ)。済州島に訪れる人が20%なので、98%はソウルか済州島かになります。この前、新潟の柏崎市で花火大会を見て、帰りに軽井沢の商店街を歩きましたが、旅行してみるとよく分かります。ランキングより、『その場所だけのもの(肯定的な意味で)』があるのかどうか。そういうのが重要ではないでしょうか。もっとも重要なのは、その場所に住む人たちが「なんだかんだで、ここにいてよかった」と思えるかどうか、でしょうけど。
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