いままでも2~3回取り上げましたが、18日に予定されている日米韓首脳会談関連です。少なくとも今までニュースになっている案件のうち、北朝鮮関連以外では、「日本と米国は同意し、韓国政府だけ反対・または慎重モード」ばかりです。本ブログで取り上げた案件だけ見てみても、米国は「日本と韓国が有事の際にお互い協議(consult)する義務を持つ」という趣旨を共同声明に入れようとしています。しかし、この場合「有事の際、自衛隊は朝鮮半島に進入できない」という韓国政府公式立場があるので、ユン政権は慎重になっている、または反対している、と報じられています。
海洋放流についても、バイデン大統領は放流開始前の最終的確認として、今まで通り支持する発言をするだろう、という報道が出ています。また、日本は米国、韓国ともにこの件を支持するという内容を共同声明に入れようとしているとも報じられましたが、韓国政府は応じないでいる、とも。そして今回、韓国日報など複数のメディアによると、「日米韓軍事演習の定例化」についても、ユン大統領は慎重になっています。個人的に、ユン政権としては、これは別にいいのでは・・と思いましたが、どうやらそうでもない、とのことでして。
いままで日米韓軍事演習といっても、北朝鮮のミサイルを前提にしての訓練でした。そういえば、ユン政権になって米韓、日米韓軍事演習が再開されたとき、文政権のときにちゃんと機能してなかったこともあって「ユン大統領が新しい何かを始めた」ようなニュアンスの報道もありましたが、実は前にあったものを『再開』するようになっただけだ、という指摘があって、本ブログでも紹介した記憶があります。また、文政権のときも、あまり大規模なもの以外はそこそこやっていて、ただ、北朝鮮や中国を意識して、非公開にしていただけだ、とも。今回米国が中心になって進めている「定例化」のものは、北朝鮮だけに特化されたものではなく、表面的にどんな形を取るにせよ、実は中国まで含めた概念のものになる、というのが各記事の指摘です。よって、ユン政権としてはすぐOKするわけにもいかない、と。
米国も『飴』を用意しています。北朝鮮関連です。共同声明に初めて、韓国人の拉北問題(北朝鮮拉致問題)が明記される、という噂も出ています。ちなみに、北朝鮮は「全員『越北(自分の意志によるもの)』だ」ということにしています。この件、確か日本のはほぼ例外なく言及がありましたが、韓国の場合は各政権がそこまで力を入れてないこともあって、もし実現するなら初めてのことです。保守側への、かなり有効なアピールになるでしょう。以下、ここからは韓国日報の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・今回の共同声明の核心は、日米韓の軍事演習定例化になるという見通しも出ている。日米韓は昨年9月、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に備えて、公海上で連合対潜水艦訓練を行うなど、3国合同訓練を数回行ったことがある。しかし、これを定例化したことはない。大統領室と政府は、北朝鮮の核対応能力強化のための韓米日軍事演習定例化の議論自体は認めている。ただ、その内容については慎重になる雰囲気だ。日米韓軍事演習定例化を通じて、北朝鮮の核挑発に対する抑止力増加という効果を得ることはできるが、中国の反発などで対中外交が困難になるからだ。
また、日本との関係の特殊さを勘案すると、作戦計画まで共有する軍事演習の形で進めるのは難しいという観測も出ている。特に・・・・放流を開始する予定であり、自衛隊との軍事訓練が国内世論に与える影響もある。ある政府高位関係者は「今回の首脳会議をきっかけに北朝鮮問題への共同対応能力を向上させたい、という意味だ」、「すでに推進中のミサイル情報交流の水準になるのか、正式の作戦訓練になるかについては、まだ議論中だ」と言った(韓国日報)・・>>
前にも「日米韓首脳会談」ではなく、まるで「日米間首脳会談のようだ」と書いた記憶がありますが・・いまのところ、北朝鮮関連以外では、すべてがこのパターンです。日米は同調、またはこれといった異論無し。でも、韓国政府が慎重、または反対。米国が「台湾有事の際に在韓米軍を動かす」という話をしてきた、日本が「共同声明で放流支持」を公式に要請してきた、とか・・いろいろありますが、大統領室の反応は「そんな話は無かった」だけ。今回の軍事演習定例化はどうなるのか。『定例化』という言葉だけ強調され、その内容はまた北朝鮮前提のものになるのか。その場合、日米は何を思うのか。などなど。いろいろ気になるところです。特に海洋放流関連で、『その場で日米が賛成すれば、果たして反対できるのか』という指摘も出ているので、また取り上げることになるかもしれません(未定です)。
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