一つ前のエントリーで野党「共に民主党」の反応をお伝えしましたが、今回は与党・政府側はどうしているのか、取り上げてみます。一言で、大統領及び大統領室はあまり前に出ていません。ただ、今日(23日)、国務調整室次長による関連発言がありました。「賛成、支持するわけではない」としながらも、「技術的・科学的問題は何もない」、と。国務調整室というのは、国務総理補佐機関で、大統領室ではありません。ただ、政府機関である行政部所属で、ここの次長となると次官(副大臣)クラスになるので、「大統領室が直接言えないことを、代わりに言った」形になると言えます。
余談ですが、韓国では、国務総理関連はいつも大統領の代理で、何か大統領が直接言いづらいことを代わりに言う、やりづらいことをやるというイメージが強いです。この前、ジャンボリーで国務総理がトイレ掃除し、与党が「ほら、やることはやった」とアピールしたりしましたが、そういうのも似たような流れです。そのためか、国務総理というのがパッとせず、「国務総理出身は大統領にはなれない」という話もあります。とはいえ、副大臣クラスが与党のタスクフォース会議で発言した内容には間違いなく、一部のメディアが「事実上、ユン政権は放流に同意している」と報じています。
そして、その次長さんの昨日~今日の関連発言の中に、前からユン政権が要求していた「韓国専門家の常駐」についても内容もありました。KBSによると、日本政府が応じなかった、とのことです。本ブログでも何度も取り上げましたが、ユン大統領は大まかに3つを要求していました。情報の共有、問題発生時の放流中断、そして韓国専門家の常駐です。ただ、一部のメディアは、「情報とトラブル時の対応は、前から日本政府がそうすると言っいたもの」とし、目新しいことは常駐だけだと指摘してきました。日本側は、専門家の常駐はIAEAが権限を持っているので、IAEAが決める問題である、と。で、今回、常駐は「無し」になりました。韓国政府は、何かの形(具体的発表無し)で参加できるので、常駐じゃないけど、要求は全て受け入れてもらえた・・ようなものだ、としています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・7月、ユン大統領は岸田総理に韓国側専門家がIAEA現地事務所に滞在するよう要請しました。放流の透明性と信頼性を直接確認するためです。しかし、要求は受け入れられませんでした。【パク・クヨン国務調整室1次長「他国との公平性とか関係問題、これから及ぼす影響、こういうことを考慮した時、私たち側だけ現地に行くとか、そういう部分は容易ではないことでして」】 代わりに、情報共有が代替案として提案されました。定期的な訪問、オンライン会議などを通じて最新情報を共有しようということです。ただし、どのくらいの頻度で訪問するのか、どの専門家が参加するかは具体的に決まっていません。
基準値超えなどの発生した場合、即時放流を中断することと、リアルタイム情報提供は受け入れられたものの、これは内部放流計画に既に含まれていた内容でもあります。視察団派遣後、韓国政府が日本に伝達した技術的勧告も、半分だけ合意されました。4つの勧告のうち2つは受け入れられ、多核種浄化設備であるALPSフィルター点検サイクル短縮と濃度測定対象核種5つの追加についての要求は、設備改善中という理由で留保されました(KBS)・・>>
しかし、与党や野党の動きよりももっと話題になっているのが、「風評被害対策としての支援金を、周辺国には支給しない」とする日本側の関係者の発言です。22日、東京の外国特派員たちを相手に関連ブリーフィングがあったとのことですが、そこで『誰か』が、「中国や韓国の漁民に対しては、支援しないのか」と質問しました。どのメディアの人が質問したのかは、いくつかの記事をチェックしましたが載っていませんでした。その際、「周辺国までの影響は無い」「支援する理由はない」という趣旨で答えた、とのこでして。言うまでもなく、多くのメディアが「なぜ支援してくれないのか」とわけのわからない批判を載せています。ただ、韓国政府も韓国漁民に対してこれといった支援を用意していません。検査を強化するという宣言だけです。こういうことで批判したいなら、韓国政府がなぜ韓国漁民に支援しないのか、を批判すべきではないでしょうか。
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