ネクスティンという名の半導体装備(詳しくは装備の検査に使われる機器)企業が、中国のハイテク産業団地に2億ドルを投資、新しい機器の研究、及び生産まで視野に入れるという記事がありました。サムスン電子やSKハイニックスに比べるとパッとしない規模ですが、この時期にこんな選択をする企業があって、またニュースになるという流れ、なんとういか、これでいいのか、としか思えません。いままでも本ブログでは、中国にある某半導体企業関係者の「同盟の義理だけで、中国から離れることはもうできなくなっている」という話、SKグループ会長が直接話した「中国から離れると、回復できない」などの発言を取り上げてきました。すべて、同じ流れのものだと見て間違いないでしょう。
時を同じくして、グローバルタイムズ(中国の官営メディア環球時報の英文版)が、韓国半導体企業は、結局は中国での実績拡大に向けて投資するしかないだろう、という記事を載せました。韓国では、これも大手メディアではスルーされていますが、ビジネスポストというネットメディアが報じています。長々と書いてありますが、結局は、先に紹介した「同盟としての義理だけでは、どうにもならない」とほぼ同じ内容です。ある種の続報(?)として、今日エントリーしてみます。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・中国官営メディアグローバルタイムズは28日、「米国の同盟国に所属する半導体企業は、米中対立の状況でも、中国市場で実績を増やす方法を着実に探っている」と報道した。グローバルタイムズは韓国半導体装備企業ネクスティンが、中国無錫で現地当局と協力して半導体検査装備製造工場を新設することにした点を、代表的な事例として挙げた。米国政府が韓国半導体企業と関連企業を対象に、中国への投資及び取引について圧迫しているが、依然として大中国投資が進行中であるということだ。
グローバルタイムズは、韓国半導体企業が中国に多数の生産工場を保有し、中国を半導体最大輸出国としているため、米国の圧迫では大きなダメージを受けるしかないと伝えた。サムスン電子とSKハイニックスをはじめとする半導体企業が、すでに中国に莫大な投資を行っただけに、米国の要求に合わせて中国市場で徐々に手を離すのは難しい、とのことだ。中国西安で運営されているサムスン電子メモリ半導体工場には、現在まで150億ドルに達する金額が投資された。SKハイニックスも中国に多数の生産工場を運営する。グローバルタイムズはこのような内容を伝え、韓国の対中半導体輸出の割合が60%に達するという集計結果も伝えた・・
・・このように韓国半導体産業が中国市場に大きく依存しており、中国と取引縮小を圧迫する米国政府の要求は、容易に受け入れられだろう、ということだ。グローバルタイムズは匿名の専門家分析を引用して「韓国をはじめとする米国同盟国所属企業は、米国に正面から反論はできないでいるが、水面下では反発している」と診断した。彼は「韓国半導体企業は、これまで中国市場に相当な投資を続けてきたため、中国から事業を撤収することは難しい」という分析も出した。韓国半導体業界で勤務したと明らかにした他の関係者は、グローバルタイムズを通じて、韓国企業が中国と取引を継続しようとしているが、米国の圧迫を感じているという観測を伝えた。中国が韓国半導体企業にはなくてはならない市場であるだけに、むしろ中国に輸出を拡大する案を積極的に模索するしかない、ということだ(ビジネスポスト)・・>>
SK会長も、この前、現在中国に建設中の新工場について、一部から「さすがにできないのでは」という話が出たとき、かならず成し遂げると話しました。一部のメディアは、そのための資金を用意するため、SKグループがグループ内で核心とは言えない系列会社を売却している、とも報じたりしました。ちなみに、この話になると、10月で期限が来るサムスン電子・SKハイニックスの中国工場への輸出(装備搬入など)関連措置の1年猶予がどうしても気になります。ただ、それの場合、TSMCも同じ1年猶予を得ているので、サムスン電子やSKハイニックスのことももちろんありますが、米国側がTSMCについてどうするのか、がポイントになるでしょう。TSMC「だけ」延長、というわけにはいかないでしょうし。
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