この前、中国が「しばらく、青年失業率は発表しない」と公言して、大きな話題になりました。不動産など経済関連で、最近「中国と韓国の状況が似ている」という話をよく耳にしますが、実はこの青年失業率でも同じです。韓国の青年失業率は、時期にもよりますが5%~6%とされています。ですが、もう結構前から、「少なくても4人の1人は白手(仕事しない人)」という話が聞こえてきました。「3人の1人」バージョンもあります。実際、失業者にカウントされるにもいくつか条件があるので(『積極的に求職していること』など)、それらの側面から考えてみると、失業率は25%を超えている、という話が一部専門家から出ていました。あまり話題にはなりませんでしたが。
で、この件で、「『高校や大学を卒業・中退した人』のうち、就職できた人を調べてみればいいのでは」という指摘がありました。これから引用する記事の本文にもありますがここでいう『高校や大学を卒業・中退した人』というのは、『学生じゃない人』という意味です。なぜなら、休学中・在学中の人は、そもそも失業率統計に含めないからです。先週のものですが、東亜日報、朝鮮日報など複数の大手メディアが、この件を取り上げたので、紹介します。ちなみに朝鮮日報は、前からこの件で「公式失業率とは異なるものの、ある程度は実際の状況を把握できるのではないか」という趣旨で、前からこの件を取り上げてきました。
自分の意志で求職をしないでいる人もいるでしょうし、何かの資格を取るために勉強している人もいるでしょうし、入院中の人のいるかもしれません。もう結婚して、専業主婦になった人もいるでしょう。このデータは失業率とは異なりますが、『学生じゃない青年(29歳まで)』の27.9%、126万人が未就業でした。就職した人でも、1年7ヶ月で仕事を辞めるそうです。また、その126万人の約53%が大学卒業者です。発表されている失業率では、青年失業者は20~30万人とされています。本ブログで集中的に紹介してきた、ヨンクル、家計債務、そして「私にはもっと良い仕事が似合う」という心理など、青年層の動きとも決して無関係ではない本件。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・卒業後も未就職の状態である「青年白手」が100万人を軽く越えたことが分かりました。27日、統計庁は15~29歳の青年層人口841万6000人のうち、最終学校の卒業者(中退を含む)は452万1000人で、その中の126万1000人が未就職状態だと明らかにしました。彼らの半分以上は最終学歴が大卒でした・・初就職にかかる平均期間は10.4ヶ月でした。卒業後も約1年は就職準備をするという意味です。2年以上かかった場合は59万1000人(15.3%)で、3年以上は32万4000人(8.4%)に達しました・・・・未就業者のうち、家などでただ時間を過ごすだけだとする人が25%に達しました。
会社に苦労して入っても、青年層の最初の職場平均勤続期間は1年7ヶ月に過ぎません。労働条件不満足(45.9%)が最も多く、一時的・季節的な仕事の完了や契約期間終了(14.7%)などです。少ない報酬を受け取ったり、勤労期間が決まっているなど、現実的な問題にぶつかっていたわけです。就職市場はますます難しくなっており、社会初年生になった後の現実はさらに大変です。126万未就業者4人のうち1人が卒業以来、自宅で時間を過ごしているという統計に、胸が苦しくなります(朝鮮日報)・・>>
韓国の経済活動参加人口は、約2800万人です。大人しく家でゲームでもしているならまだいいですが、問題は、彼らが「なにを『目指して』いるのか」です。韓国の場合、3箇所以上の金融機関からお金を借りている人たちを「多重債務者」としますが、2022年9月時点で多重債務者452万8000人もいます。もちろん、十分な余力を持つ人もいるでしょうけど、経済活動参加人口が2800万人なのに452万8000人というのは大きいし、彼らのローン金額は約62兆円です。確認できる国内家計債務(家計ローン)統計のうち、多重債務者の割合は人数で22.7%、金額で33.0%。資料上で確認できる、金融機関を利用する全体債務者のうち、5人の1人です。
20代~30代に範囲をしぼってみると、2022年末基準で30代以下の多重債務者数は141万9000人で、彼らの融資残高は157兆4000億ウォンです。未就業の人たち、そして「1年7ヶ月で辞める人たち」は、家で何をしているのでしょうか。これらのデータから、いろいろ見えてくる気がします。ただ、本エントリーで紹介した126万人は、これでも結構減少した数で、一時は140万人超えていました。これについて、『政府が運用する少額ローン制度を利用するには、何かの形で就職しないといけないから』という背景がある・・というせつない指摘もありますが。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・準新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。