韓国の各自治体が相次いで出していた各種「バラマキ政策」、いわゆる「現金福祉事業」が、これといった効果なしに、財政的な問題で一つまた一つ、終了しています。合計出生率関連でもそうですが、お金はずいぶん使うものの、これといった効果も無いからです。手元に詳しいデータが無いのでそう長くは書けませんが、韓国は政府支援(自治体の事業でも政府が一定部分支援することが多いです)に頼る部分が他国より大きいと言われています。その中でもっとも体感しやすいのが、『年中、道路工事ばかり』だという話も聞きますが、さて、どうでしょうか。
最近、各メディアが税収や予算関連で記事を増やしています。本ブログでもそれぞれエントリーしたことがあります。1~7月の累計国税収入は217兆6000億ウォンで、前年(261兆ウォン)より43兆4000億ウォンも減少しました。マイナス16.6%です。特に、法人税が去年より26.1%も減少しています。このように税収が予想より大いに少なく、来年の予算が2%台の増加になりました。これは、物価上昇率を考えると事実上マイナスです。いままでは、毎年約7%も予算を増やしてきました。各種現金福祉事業の終了にも、その影響が大きいのでしょう。
最近出番が増えた共に民主党代表の李在明(イジェミョン)氏ですが、彼は首都圏である京畿道(キョンギド)の城南(ソンナム)という市の市長で、後で京畿道の道知事になりました。彼が市長だった頃に始め、「(いまは城南市だけだが)私が大統領になれば基本政策の一つにする」という趣旨で話していた「青年基本所得」という政策があります。実際、彼が京畿道知事になってからは、京畿道全域で実施されました。これは、「イジェミョンの『基本シリーズ』」とされる各種政策の一つで、満24歳になれば100万ウォン(10万円)をローカル通貨(商品券、ポイントなど)で支給するという分かりやすいものです。一時は、福祉事業の代表格とされ、左側の人たちから厚い支持を受けました。ですが、この制度の名分は「青年が、自分の力量開発のために使うこと」でしたが・・
調べてみたら7割以上が食料品購入に使い、ネットに安い価格で出品されたり、基礎生活保護受給者(日本で言う生活保護のようなもの)になる青年は急増しました。仕方なく、「発祥地」である城南市は、この制度の廃止を決めました。朝鮮日報が報じています。記事によると、いま韓国の各自治体が行っている似たような事業は2000個を超えているそうです。文在寅政権・・というか、『そっち側』の人たちがなによりの『理想的な政策』とする形です。それは、『政府が一人一人の人生全てを保障すること』。何もせず現金をもらう形の福祉事業そのものはどこの国にもある程度ありますが、いま韓国全域で2000以上行われている福祉事業の拡張は、前の文政権の考え方そのものでもあります。今回の件で、他の自治体からも廃止が相次ぐでしょう。見方にもよりますが、各種「文政権」政策のエンディングの一つだと言えるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明共に民主党代表が城南市で始めた青年基本所得が、7年ぶりに中断された。満24歳になると所得に関係なく100万ウォンを地域通貨で支給する同事業は、李代表が城南市場時代に導入し、道知事になった後は京畿道全域に拡大した・・・・7月、城南市議会は来年から青年基本所得を廃止する条例案を通過させた。青年基本所得は施行初期から青年の就職や能力開発のための政策にはならないという批判を受けてきた。それが、初めて始まった城南市で真っ先に中断されたわけだ・・・・「李在名の基本シリーズ」のスタートでもあった青年基本所得は、支給されたお金が自己啓発(11%)より食料品購入(73%)などに主に消費され、制度の趣旨から逸脱するという指摘を受けてきた。城南市が支給した商品券がインターネットサイトで2~3割引で取引されたりする。2019年から京畿道の31の地域に拡大し、4年間予算6800億ウォンが割り当てたが、これにより青年たちの就職能力が強化されたという証拠は現れなかった。制度が導入された2017年以降5年間、京畿道青年基礎生活受給者が2万人以上増えた(朝鮮日報)・・>>
合計出生率関連でもそうですが、「必要なものは、現金をばらまくことではない」ではないでしょう。それらの政策全てが間違っているとは言えませんが、システムの改善無しには、時間稼ぎにもならないでしょう。いつか、文在寅氏が「人が生まれて亡くなるまで、国家が全ての責任を取る」と話したことがあります。経済関連の話をしながら出てきた話だったと記憶しています。いわば、『大きな政府』を理想とするわけです。ある主義に似ているとよく言われる所以でもあります。
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