最近、中国経済がパッとしない・・というか、恒大集団など不動産・金融関連で大きなニュースが相次ぎ、韓国メディアからも「ひょっとして、韓国にも何か影響があるのではないか」という記事が増えてきました。「大した影響はない」というのが衆論ですが、いわゆる「最大交易相手国」である中国の経済、景気が、韓国経済に影響しないはずがありません。というか、世界経済そのものに影響するでしょう。いまだ多くのメディアの記事は「いや、まさか」なニュアンスのものが多く目につきますが、はてさて。
「内」の民間債務(特に家計債務)、「外」の対中貿易。この2つが、韓国の経済発展をリードしてきた2つの原動力です。この2つに構造的な変化が現れていることは、本ブログも無数に取り上げてきました。そういえば、最近ユン政権が今までの「韓中日」ではなく、「韓日中」という表現を使っています。このことで、左側の政治家ジョンドンヨン氏が「最大交易国に対してこんな表現でいいのか」と批判したりしましたが、なぜかその最大交易国である中国の経済・金融問題においては、「大した影響はない」としているわけです。今回も東亜日報(8月31日)が、チャイナブーム(中国好況)が終了し、韓国企業の実績が大いに低下しつつある、という記事を載せましたが、その記事によると、一部からは脱中国ではなく、韓中FTAの強化などを主張する声が上がっている、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・最大貿易相手国である中国経済の不確実性が大きくなり、韓国経済にもどんどん影をおとしつつある。8月30日、大韓商工会議所によると、今年1~7月韓国の主要輸出品目である半導体の対中輸出は前年より40.4%減少した。ディスプレイの減少幅は45.7%とさらに大きかったし、化粧品(マイナス25.3%)石油化学(マイナス22.5%)も20%を超える減少傾向を見せた。月間全体の対中輸出額は14ヶ月連続マイナス行進を続けており、対中貿易収支は昨年10月から10ヶ月目の赤字を見せている。ヒョンオソク元副首相兼企画財政部長官は、「米国でさえ中国を相手に繰り広げる経済、外交政策をデカップリングではなくデリスキングで説明している」とし「世界2位の経済大国である中国との経済関係をやめることなどできない状況で、韓中自由貿易協定(FTA)をさらに一層強化するように新しい対中関係を設定することが必要だ」と指摘した(東亜日報)・・>>
半導体だけ注目されていますが、実は石油化学関連での対中輸出も結構おおきかった(おいしかった)ものの、中国経済そのものが弱くなっていて、しかも中国の自国生産能力が高くなったなどで、DLケミカル、ロッテケミカルなど代表的な企業も実績が大幅に下がり、特にロッテケミカルの場合は1年3ヶ月で赤字総額が1兆ウォンを超えている、とのことです。この前、SKグループの財務健全性に問題が指摘されているという記事を紹介したことがありますが、その際、記事がもっとも取り上げたのがSK、ロッテ、CJグループでした。ロッテの場合、去年は建設関連(ロッテ建設)で似たような話がありましたが、最近はロッテケミカルなども含めて、グループ全体で大丈夫かという話が出ています。
こんな流れの記事を読むたび、「『離れる(脱中国)』という選択を最初から考えていない」ことがよくわかります。政府レベルなら立場があるから言えることも言えないこともあるでしょうけど、民間の専門家とされる人たちの中に、積極的に脱中国を主張する人は・・そうですね、たまにそういう寄稿文が載ったりもしますが、すくなくとも各メディアの記事を読むかぎりでは、一握りにすぎません。なにせ、SKグループの会長自ら「中国から離れると回復できなくなる」と言ってますから。もし次の大統領選挙で政権交代でもあったら、この流れ、どうなるのでしょうか。「対中」だけの話でもありませんが。
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