いわゆる「日米韓」な事案について、中国の反応は、いつも決まっています。日米韓共助の動きにいろいろと問題提起をした後、韓国にだけは多少柔らかいスタンスを示し、対話や協力の『趣旨(具体的には言わない)』を言います。それから実際に何かの会談、たとえば外相会談などが成立しても、何一つ具体的な話は出てきません。見方はいろいろありますが、個人的に、「韓国が中国側の言う通りの言動をすること、すなわち外相会談などに応じた時点で、すでに中国としては日米韓協力の対外的な意味を弱体化できたので、会談で実際に何かのメリットを提供する必要は無いから」だと思っています。弱い環に揺さぶりをかけてみる、といったところですね。
今回、金正恩委員長が、ロシアを訪問、プーチン大統領と首脳会談を行います。今日とのことですが、もうしたのでしょうか。武器の取り引きが議題になっただろうと予想されています。確かに大きな事案ではあるが、他にも、「ロシアとしては失うものが多い」、「逆に北朝鮮としては大きなチャンス」、「中国がロシアをあまり支援しないでいるのが分かる(外交的にもそうですが、内部的にも)」、などなどの見方も出ています。さて、この首脳会談の内容、ロシア側によると非公開にするそうですが・・マネートゥデイなど複数のメディアの記事によると、ロシアの外相が、「韓国は私たちの貿易パートナーだから、韓国には会談関連情報を提供してもいい」と話しました。
実際にユン政権が何かの情報を要請するかどうかは分かりませんが、この期に及んで貿易パートナーという言葉が出てきただけでも、これもまた中国と同じく、「弱い環」をターゲットにしたアプローチではないでしょうか。なぜなら、これは「追加で行われるであろう西側の関連措置に、同調しないように」というメッセージだからです。米国時間で11日、パクジン外交部長官(外相)は北朝鮮とロシアの間の武器取引が現実化する可能性と関連、「政府としての対応方案」について話しましたが、各メディアによると、これは韓国独自の措置を取る可能性を示唆したものです。安保理などいろいろあって、国連では追加措置を期待するのが難しいからです。この各国による独自措置は、もちろんこれからの展開にもよりますが、日米韓ともに何かを出すのではないか、と予想されています。もしやるなら、米国主導で日米韓3国共同になる可能性が高いでしょう。ロシアとしては、「うちら、パートナーだよね」と、先にこれを牽制しておいたわけです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ウラジーミル・プーチン ロシア大統領が、東方経済フォーラム(EEF、10~13日)以後、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と単独会談するとクレムリン宮が明らかにした。 ロシア外交部側は、会談を非公開にする予定だが、韓国が要請すれば内容を提供できると明らかにした。ロイターによると、ドミトリー・ペスコフ・クレムリン宮の広報担当者は12日(現地時間)のメディアブリーフィングで、「ウラジオストクで進行中のEEF以後、数日以内にプーチン大統領が金委員長と会談するだろう」と話した・・
・・会談内容と関連しては、マスコミブリーフィングを開催する予定はないという。しかし、ロイターによると、アンドレイ・ルデンコロシア外交部次官は同日、ロシアメディア「インテルパックス」とのインタビューで、「モスクワ駐在韓国大使館が要請するなら、可能な範囲内で(会談に関する)情報を提供できる」と述べた。彼は「ロシアと韓国は貿易パートナー関係だ。韓国と接触し続けるだろう」とし「両国は北東アジアと朝鮮半島情勢を安定化する上で利益を共有する立場にある」とした(マネートゥデイ)・・>>
この広報担当者は「必要ならば、北朝鮮同志たちに対する措置(※軍事技術提供など)を解除する準備ができている」とも話した、とのことでして。「プーチン大統領が西側の指導者と会う計画はない」、とも。6月、韓国の国務総理が中国を「核心パートナー」と呼んで、一部から「なんで今そんな表現を使ったのか」と指摘されたことがあります。今回は、ロシアが韓国に貿易パートナー、と。言葉の表面的な意味だけなら、別に間違ってもいませんが・・どうもそう簡単ではない気がする、今日この頃です。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・準新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。