この前、住宅を買うためのローンの利子などを、「広い範囲で、人の収入として考えたらどうなるのだろうか」という話をエントリーしたことがあります。韓国経済というメディアの記事でしたが、5000万円の家を買うためにローンを組むとして、その利子を単純計算してみると、日本では約2万円、韓国では約18万円がかかる、というものでした。似たような趣旨の記事ですが・・今回はヘラルド経済が、「韓国で家を買うには、何年分の年収が必要なのか」という記事を載せました。これは韓国の不動産関連記事でもよく出てくる表現で、家計債務とかそんなものを論ずる前に、まず家の価格が高すぎないか。給料何年分だ、これは。そんな趣旨です。
なんと、この「家を買うには何年分の給料が必要なのか」れを公式に調べているサイトがある、とのことでして。Numbeoという各種比較サイトで、世帯所得対比住宅価格比率、Price to Income Ratio(PIR)と言います。個人基準ではなく世帯基準で、PIRが10なら、住宅を買うには10年分の年収が必要だ、という意味です。記事によると韓国は26。すなわち家を買うには26年分の年収が必要だ、とされています。一般的に先進国とされる国の中で、これより高いのは香港だけだ、とのことでして。ちなみに、私がNumbeoで探してみたら都市別のデータが出てきましたが、ソウル基準で27.7(年分)、東京は12.4(年分)でした。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国の所得に比べての家の価格が、世界主要国のうち11番目に高いと把握された。過度なレベルの家計債務を減らさなければならないという指摘が多いが、家計債務の多くが住宅担保ローンから始まるだけに、住宅価格がいまのようでは、家計債務の縮小は難しいと思われる。15日、世界都市・国家比較統計サイトであるNUMBEOによると、今年基準、韓国の世帯所得に対する住宅価格比率(Price to Income Ratio)は26.0倍で、調査対象世界107カ国のうち11位を記録した。1位シリア(86.7倍)、2位ガーナ(78.6倍)など発展途上国を除いて、先進国の中では香港(44.9倍)に次いで2番目に高い。PIRは世帯の可処分所得に対する家の価格を示した指標で、26年間年収を全額集めてこそ家を買うことができるという意味だ。
家賃に対する住宅価格を表す住宅収益比率(Price to Rent Ratio、PRR)は、都心基準115.1倍で世界主要国の1位だった。家賃に比べて住宅売買価格にどれだけバブルが出来ているのかを示す指標で、高いほど、住宅価格が過大に評価されているものと解釈される。都心以外のPRRも98.6%で世界2位だった。世帯が稼ぐお金に比べて、住宅価格が数十倍も高いので、マイホームのためにはローンを組むしかない状況だ。世帯所得に対する住宅担保ローン比率(Mortgage as Percentage of Income、MPI)は182.2%で、所得のほぼ2倍に達している。世界31位だが、先進国だけを見ると香港(286.8%)に次いで2位だ。MPIに100をかけた住宅担保ローン返済能力指数(Loan Affordability Index, LAI)は0.5で、非常に低い水準を記録した(ヘラルド経済)・・>>
韓国関連記事を読んでいると、よく初任給が高い~という話が出てきます。生涯ではなく「初任給」だけ出てくるのがまた妙ではありますが・・それはともかく。先のローンの利子もそうですが、こういう家の価格も、事実上、人が生きるにおいて「収入」の概念として考えてみるのはどうでしょうか。給料が高い国でも、それ以上に物価が高いと、意味がありません。それを、果たして「高収入」と言えるのか。家も同じで、当たり前のように存在する家計債務の返済費用もそうです。ただ手に取る給料だけでなく、こういうことまで含めて「収入」という言葉の範囲を広げてみると、家計債務、不動産バブルというものが、どれだけ人をくるしめているのか、その中に『勝者』はいるのか、と。あらためて、ちょっとこわいなと思いました。最後に、ソース記事には書いてませんが、1位~10位の中に中国の都市が5つもありました。香港を入れると6つ。1位の上海は50.1倍。
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