昨日、韓国の最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表の逮捕同意案が可決されました。野党がまだ過半数の議席を取っていますが、いわゆる「非明派」、すなわちイ代表を支持しない党内勢力が、離脱したからです。しかし、同日、ハンドクス国務総理の解任、北朝鮮のスパイ疑惑に関わる問題(イ代表の送金とは別の件です)で野党側と対立していた現役検事の弾劾も可決されました。3つ共に、『いろいろあった』韓国国会でも、初めてのことだと言われています。検事のことはともかく、国務総理の解任はユン大統領は認めないと思われるので、実現は難しいでしょう。
しかし、それはそれで野党は「国会の声が届かない」とか言いながらさらに政治案件化するはずで、ただでさえ騒がしかった国会が、完全に機能停止になるのでは、と思われます。やはりもっとも話題になっているのは、イ代表の逮捕同意案、具体的には「共に民主党の離脱票」の存在です。同じ左側政党の正義党を含め、共に民主党以外のすべての政党が同意案を支持していました。初めてイ代表の関連疑惑が出てきたときには、他の政党からもイ代表支持が結構ありましたが、いまは雰囲気がずいぶん変わっています。まず、関連疑惑が具体的になってきたこともありますが(下手に援護できなくなった)、イ代表が言葉を変えたことが、もっとも大きな理由だとされています。
票決の前日、「案を可決させないでほしい」というメッセージを出しましたが、いままで「それでも、自分で調査に応じると言ってるし」と思っていた議員たちが、離脱したというのです。しかし、実はもう一つ、公薦権に関する問題がありました。公薦というのは、選挙においての「政党の公式推薦」のことで、簡単に言えば「選挙でその政党の候補になれる」という意味です。基本的には党代表が権限を持っていますが、全員を一人で管理することはできないので、党代表に公薦に関わる情報、すなわち「誰を公薦すればいいのか」を管理する人たちがいます。広い範囲での「公薦権」とも言えるでしょう。来年4月に総選挙があるので、いまこの公薦が得られるかどうかは、共に民主党の人たちにとって国会議員を続けることができるかどうかの問題でもあります。
ですが、一部のメディアの報道によると、この公薦に関することを、すべて「イジェミョン系(親・イジェミョン派)」が握っていて、非・イジェミョン系は公薦権に関わることができなくなっていた、とのことでして。これについての反発があったのではないか、とも言われています。今回の国会での大騒ぎ、各メディアから多くの記事が出ていますが、ノーカットニュースと デイリアンは「共に民主党の、事実上の分党状態」をメインに記事を載せています。以下、該当部分を<<~>>で引用してみます。
<<・・共に民主党は大混沌です。推定される離脱票は30~40票。事実上、イジェミョン代表をこれ以上指導者として認めないという気流が表出された結果です。特に、イ代表が票決前日発表したメッセージが大きな理由とされています。総選挙を約7ヶ月控えて、非・李在明系の公薦権要求が受け入れられなかったためだ、という分析も出ています。 イ代表を強く支持する人たちは、すでに今回の逮捕同意案に賛成した議員を特定する動きを見せています。今後、分党レベルの混乱を懸念する議員も少なくありません。院内代表をはじめとする指導部が総辞退しました(ノーカットニュース)・・>>
<<・・民主党議員室の関係者は、「今、我が党の議席170席のうち、確実な親明(※親・李在明をこう書くこともあります)は50席、確実な非明が40席であり、80席は中道」、「今までは党権が李在明代表にあり、公薦権もイ代表が行使するから親明の列に並んでいた人たちも、イ代表が逮捕されれば、意味がなくなるから、非明側にまわる人も増えるだろう」と予想した。問題は、今回の可決で、今すぐは親明と非明の間に感情の溝があまりにも深くなっていることだ。この日の夜、議員総会で議員たちが自由発言をするときにも、大きな声が相次いで聞こえてきたという。本会議場で他の党の議員が発言をする時に大声を出すのはよくあるが、同じ党の議員同士でこのようなことをするのは異例である(デイリアン)・・>>
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・準新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。