米国、中国工場への装備搬入関連 猶予措置を無期限延長か・・韓国複数のメディアが報じる

サムスン電子、SKハイニックス、TSMCなどに適用されていた「中国工場への装備搬入関連措置」の1年猶予が、そろそろ来月11日に期限を迎えます。昨日から韓国の複数のメディアの報道によると、装備のリストを事前に報告する形で、この猶予措置が無期限延長される、とのことです。基本的には、いままでと同じくVEU(検証されたエンドユーザー)方式です。特定の範囲内で、VEU向けの輸出(この場合は自社工場への装備搬入)において個別ではなく一括で認められる方式のことです。ただ、なんでもリストに書けばいいというわけではないので、米国商務省と協議してリストを作成済み、とも。各記事は国内取材によるもので、TSMCの話は出ていませんが、同じ措置がTSMCにも適用されていたので、同じ方式になると思われます。

この報道が事実だとすると、米国の政策は、『民間企業の既存の生産力にかかわる政策より、補助金などを利用して脱中国を誘導する』ものに見えます。23日に本ブログでもお伝えしましたが、米国はTSMC、サムスン電子、SKハイニックスなど半導体企業の中国工場での生産能力拡大に関する、いわゆる『ガードレール条項』が最終決定しました。米国の補助金を受け取る企業なら、中国内での半導体生産能力を、年5%以上(先端半導体でない場合は10%)上昇させてはならない、という条項です。サムスン電子、SKハイニックスが中国工場で生産する半導体は先端とされ、5%までとなります。韓国政府はこれを「10%まで」と要請したものの、受け入れられなかった、とされています。

 

米国としては、韓国や台湾企業の『すでに存在する自社工場への装備搬入』には負担を感じ、自国の補助金を利用して『生産能力、すなわち新しい工場設立などの投資を制限し、中期・長期的に脱中国させる』路線を取ったのでしょう。この場合は米国が米国の補助金についての条件を出すわけだから、負担はずっと軽くなります。ドン・グレイブズ米国商務省副長官が訪韓した際、関連した質問に『企業の合法的な事業を許容するということを確実にしておきたい』と答えたことがありますが、これも、『既存の自社工場への装備搬入』に関する負担を意識したコメントだったのではないか、そんな気もします。ハンギョレ新聞などは今回の猶予延長について、(先にガードレール条項が発表されているかぎり)「どちらかというと、延命措置ではないだろうか」と冷静に指摘しています。ユン大統領の手柄にしらくない、という意図もあるでしょうけど。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・米国商務省は猶予延長に「検証されたエンドユーザー」(VEU)方式を適用すると発表された。メーカーが使用する半導体機器のリストを提出し、これについては別途許可無しで機器を持ち込むことができる方式だ。サムスン電子とSKハイニックスは米国側と装備リストを議論してきた。米国政府が中国に進出した韓国半導体メーカーの装備需要を制限しないなら、事業の不確実さはかなり改善されると思われる。しかし、米国商務省は「Chipと科学法(※半導体法)」に基づいて、投資補助金を受けた企業は、中国内の生産能力を5%以上拡張できないようにする「ガードレール」規定を最近確定した。こうした点を総合すれば、猶予措置にもかかわらず、企業の中国事業は、質的にも量的に「延命」にとどまるしかないようだ。半導体業界の内・外からは、米国の猶予延長には、韓国企業の生産に支障が生じれば、中国に進出した米国企業の半導体需給にも影響があるという判断も作用したという分析が出ている。米国半導体産業協会は去る7月、中国に対する半導体輸出関連措置を追加しないよう米国政府に要求する声明を出した(ハンギョレ新聞)・・>>

 

 

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