最近、また家計債務関連記事が増えました。去年に比べると、各メディアもさすがに「またか」なニュアンスだったりします。なにせ、状況がよくなったわけでもないのに、『借りればいい』という風潮が何も変わっていないからです。若い世代はヨンクルするため、40代は高価な住宅を買うため、50代は自営業創業のため、などが主な理由だそうです。もはやノンバンクの方、すなわち第2金融圏、第3金融圏は、記事にも出てきません。プロジェクト・ファイナンスなど不動産関連記事で出てくるだけです。
普通の銀行、しかも『5大銀行(国民銀行、ハナ銀行など大手)』だけが範囲ですが、それでも住宅担保ローンの金利は7%に進入、月収300万ウォン、約30万円以上の中産層(中産階級)の債務調整が急増したというニュースもありました。債務調整申請者5人の1人は、中産層だそうです。債務調整というか、個人の破産関連だと、韓国では「個人回生」制度がもっとも多く取り上げられます。制度そのものがまったく同じなのか不確かなので日本の個人再生制度との単純比較はどうかなと思いますが、よく「韓国版個人再生制度」とされます。CNB系列のネットメディアCNBジャーナルによると、その個人回生が、去年同期比で40%急増、8月まで8万件を超えました。ちなみに、とっさにネット検索しただけですが、2022年基準で日本の個人再生は12864件(申請数)でした。
もう一つ気になるのは、「信用スコア」です。旧ブログの頃にはよく書いていましたが、韓国では、全員が信用等級というものを持っています。数年前までは1等級から10等級まで分けましたが、最近は1000点満点でもっと細かく分けるようになり、「信用スコア」と呼ばれるようになりました。このスコアによって、銀行の取り引きが可能なのか、ローンの際に利率はどれくらいになるのか、などが決まります。普通、1000点~942点までは1等級、940点~891点まで2等級、890点~832点までは3等級で、ここまでを『高信用者』とします。韓国ではもっとも金融機関での取り引きが自由な人たちです。
まだ韓国にいた頃、定期預金派だったので(当時は利子が結構付きました)銀行の人たちともそこそこ仲が良かったですが、いつだったか、別の件で窓口で待ちながら、「私はローンを全然組んでないから、1等級なのでしょうか」と聞いてみたら、銀行の方が「いいえw、先生は2等級です。借りてはちゃんと返済し、また借りてちゃんと返済し、それを繰り返さないと1等級にはなれません」 と教えてくれました。もう結構前のことなので、最近はまた状況が異なるかもしれませんが。
で、ソース記事によると、その3等級の人たちも、銀行(第1金融圏)からローンを組むのが難しくなった、とのことでして。表向きの理由は、いままでリスク管理(信用が低い人にはローンを出さない)をしてきたので、取り引き相手の平均信用スコアが高くなったからです。というか、3等級に貸し出さなくなったのもリスク管理でしょう。もう、3等級では『信用』できなくなったのです。第2金融圏は金利が二桁は普通、担保無しは20%超えてるし(場合によります)、第3金融圏、いわゆる貸付業者(貸金業者)はほぼ新規貸出を行っていません。さて、3等級以下は、どこへ行くのでしょうか。以下、<<~>>で記事を引用してみます。というか、この話、いつまで続くのでしょうか・・
<<・・「融資の崖(※ローンが組めない)」現象が、高信用者まで拡大している。 信用点数が900点を超える高信用者でも、市中銀行(※第1金融圏、普通の銀行)から融資を得るのは難しくなっている。このため中・低信用者は第2金融権を訪れているが、それも難しい状況だ。貯蓄銀行中央会によると、去る8月基準で家計信用ローンを扱った貯蓄銀行31行のうち16行は、信用スコア600点以下の借主を対象にローンを組まなかったことが分かった・・・・裁判所行政処によると、「倒産手続き全体のタイプのうち免責事件を除いた個人回生、個人破産、法人回生、法人破産事件がすべて増加した」で、特に個人回生は8月までに合計8万748件が受付され、昨年受付された全体個人回生事件(8万9966件)の約90%に達した(CNBジャーナル)・・>>
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