違法金融業者、再び急増・・約『3兆ウォン』分の需要が、金利414%の世界へ?

家計債務関連で、本ブログも本当にいろいろ書いてきましたし、韓国の各メディアも無数の記事を出しました。ですが、最近は、プロジェクトファイナンスなど不動産関連でもない限り、なぜか『5大銀行』だけを範囲にする記事が多くなった気がします。『気がします』レベルの話で恐縮ですが、本件、個人的に強い関心を持っている分野でもあり、ブログに書く以外にも結構な数の記事や資料を読んでみますが、最近はほとんどの記事が、5大銀行の話ばかりです。このテーマについてよく分からないという方のために簡略に説明しますと、韓国は家計債務事情は、『所得の4~5割を返済に使う(ローンで家を買った人の場合6~7割)』状態が長く続いています。

その結果できあがったシステムが、普通の銀行を意味する「第1金融圏」、ローンが組みやすいけど金利も高いノンバンク領域を「第2金融圏」、合法的に運用している貸金業を第3金融圏、または貸付業者と言います。言うまでもなく、ここは金利も高く、ローンはさらに受けやすくなっています。もっともリスクが高いのも、貸金業者を利用する、いや「するしかない」人たちです。家計債務の構造はローンを返済するためにまたローンを受ける、いわゆる自転車操業状態で維持されているため、第3で借りることができなくなると、その後に行くところは、平均金利が414%(2022年)とされる、違法金融業者だけです。5000%超えもあったそうですから、もはやどういう世界なのか、と。私的な金融、または私的な債券という意味で、サグミュン、サチェなどと言います。

 

本当にマスコミが注目すべきは、第2、第3金融圏ではないでしょうか。第3で借りることができないと、サグミュンしかないですから、事実上。そんな中、「第3金融圏が出した貸出金額の規模が、2022年4兆ウォンから、今年は1兆ウォン未満になると思われる」という記事(毎日経済)がありました。個人的に、前から知りたかった数値なので、「ああ、ついにこの数値が出たか」と思いました。「国会政務委員会所属のキムヒゴン国民の力議員が庶民金融振興院から受け取った資料によると、今年上半期の貸付業者の新規・一般家計信用融資は、6000億ウォンだった。昨年の場合は4兆1000億ウォンだった点を勘案すれば、今年の供給額は1兆ウォンに満たないだろうというのが貸付業界内外の展望だ」、と。

 

これは、法定上限金利20%では、貸し出しても、収益を残すことができなくなったからです。もともと貸金業者(第3金融圏)を利用する人たちは回収できないリスクが高いし、貸金業者が資金を用意するための調達費用が高くなった結果です。今年の第3金融圏の貸出額が1兆ウォンになるとして、去年に比べて3兆1000億ウォン足りなくなります。この分の人たちは、いったいどこへ行ったのでしょうか。資産を売却してなんとかなったとか、なにかの方法お金が手に入って、それでうまくいった人たちもいるかもしれません。しかし、そんなミラクルなケースが、どれくらいあるのでしょうか。しかも、第2金融圏の代表格であるノンバンク金融機関「貯蓄銀行」と第3金融圏を合わせると、ローン金額が去年の60%になるだろう、とのことでして。YTNなど複数のメディアが、その結果、違法金融業者たちの動きが活発になった、と記事を載せています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・延滞率が増え、と貯蓄銀行と貸付業者が貸出のハードルを高めています。庶民のための急銭(※急に必要な少額の資金)が用意できなくなり、サグミュンも急増し、対策の準備が急がれています・・・・庶民が、貯蓄銀行や貸付業者からローンを受けることが、どんどん難しくなっています。今年上半期、貯蓄銀行が新たに出した家計信用貸付は5兆8000億ウォン、貸付業者は6000億ウォンと集計されました。今年の両業界のローンは、合わせて12兆8千億ウォンにとどまる見込みです。昨年の家計信用ローンの約60%です。高金利により延滞率が伸び、ローンのハードルを高めた影響が大きいです。これでも、収益性の問題、まったくローンを出さない貯蓄銀行も増えています・・・・実際、中・低信用者たちは、サグミュンに追い込まれる事例が急増しています(JTBC)・・>>

今年上半期、金融監督院が受け付けたサグミュン関連件数は6,800件で、2019年には2000件だったそうです。こちらはもう少し前の記事で、人数ですが、2022年10月20日ヘラルド経済によると、第3金融圏を利用する人の数は、資料上確認できる範囲内だと、2017年に247万人でした。このときは、上限金利が27.5%でした。それから、上限金利が24%、20%と相次いで引き下げられ、20%になった2021年には、貸付業者の利用者数は112万人まで減りました。ちなみに、韓国の経済活動人口は2800万人とされています。さて、第2・第3で借りたお金が、去年比で60%しかない。第3金融圏だけだと、4兆1000億ウォンから1兆ウォンに減った。じゃ、3兆1000億ウォン『分』の人たちは、どこへ行ったのでしょうか。どの世界でしょうか。帰ってくることはできるのでしょうか。

 

 

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