企業の46%が「営業利益で利子が払えない」状態・・なぜか「国営銀行」が融資を大幅に増やす

以下、「利子補償倍率1未満の企業」関連データと「利子補償倍率1未満状態が『3年間続いた』企業」関連データが出てきます。間違えやすいので気をつけてください。利子補償倍率(ICR)が1にならないというのは、営業利益で債務の利子が返せないという意味です。そう、読者の方々はもうお気づきでしょうけど、この状態が『3年間連続』の企業を、限界企業と言います。去年から今年にかけて本ブログでも無数に取り上げました。わかりやすくまとめているのは2022年11月14日の時事ジャーナルで、産業銀行KDB未来戦略研究所の「限界企業現況と示唆点報告書」によると、2021年末基準で、限界企業(ICR1未満3年連続)は4478社。5年間で106%増加し、全体企業の18.3%が限界企業でした。

他に、機関によって数値が異なりますが、外部監査が可能な企業に限って韓国銀行が出したデータでは、全体企業の14.9%が限界企業でした。韓国の企業100社のうち、中小企業は16社、大企業でも12社が限界企業だった、とも。さらに、韓国経済人連合会の調査では、「2022年、上場会社全体の17.5%が限界企業」でした。大企業だろうが上場企業だろうが、状況は似ているとも言えるでしょう。関連記事をいろいろ読んでみると、10年連続で利子補償倍率1未満の企業も多いとのことでして・・前にもこの件を取り上げながら、「どうやって存続できているのだろう」と思ったりしましたが、どうやら、韓国の国営銀行である「輸出入銀行」が、彼らにお金を貸しているようです。返してもらえるのでしょうか、これ。

 

輸出入銀行は、政府(企画財政部)傘下の銀行で、輸入・輸出・海外投資などを支援します。毎日経済などの報道によると、その輸出入銀行が、2022年、限界企業に10兆ウォン以上を支援した、とのことでして。この金額は2021年の約2倍。輸出入銀行の自己資本は18兆7000億ウォンです。しかも、貸し出した金額の86%は大企業(大企業でも限界企業状態のところは多いです)へのものだそうで・・詳しくどの大企業なのかは書いてありません。これだけで言いきることはできないでしょうけど、これ、経済への影響を考えて、政府が大企業への延命措置をしているのではないでしょうか。さらに、民間企業はもう限界企業には貸出をしなく(できなく)なって、ある種の支持率対策として仕方なく国営銀行が貸しているのではないか、そんな見方もできなくはないでしょう。ゾンビになるまでに借りたい10兆のこと、以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓国輸出入銀行が昨年に金融支援した企業のうち、営業利益で利子も返せない企業に投入された資金が10兆ウォンを超えたことが分かった。これは2021年に比べて2倍ほど増えた規模だ。特に大企業の財務状況に問題が発生しているという分析もできる。10月2日、国会企画財政委員会所属のハンビョンド共に民主党議員が輸出入銀行から受け取った資料によると、昨年限界企業(※1未満3年連続)に支援された金額は総10兆816億ウォンに達した。限界企業とは、3年連続で営業利益より利子費用が多く発生し、潜在的リスクを持つ企業のことだ・・・・特に、昨年、全体10兆ウォン台の限界企業に支援された資金のうち、大企業が8兆6819億ウォンで86.1%だった。2021年、限界企業状態の大企業への与信残額(4兆3725億ウォン)と比較して2倍近く増えた(毎日経済)・・>>

 

韓国銀行が9月26日に発表した金融安定状況報告書によると、今年1~3月期の利子補償倍率1未満企業(※こちらは1年以上のことなので、『限界企業』ではありません)の割合は46%。2022年末には36.4%でした。ちなみにこの限界(3年連続)の急増には、文在寅政権の「素部装(素材・部品・装備)の国産化」政策も一因でした。2021年の韓国経済の記事によると、素部装の売上高が50%以上を超える「素部装専門企業」のうち、限界企業が「4年間で2倍近く増加」しました。記事は、文政権が2019年から素部装産業の重要性を強調し、大規模政府予算を投資してきたが、素部装企業に対する支援の手続き、支援事業の成果、支援対象の検証がうまくできず、「競争力強化ではなく、政府の予算に依存する企業だけを量産しているのではないか」と疑問を提起しています。どうせ営業利益があまり出せないなら、売上高の50%を素材部品装備関連にするのは、そう難しくもないでよう。むごい話ですが。

 

 

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