自営業者債務を別にしても、韓国の家計債務は1820兆ウォン。家計債務がGDPより大きく、この分野においてはG3,集計期間によってはG1ともされ、まさに『大国』です。本ブログで紹介してきた第1~第3金融圏というシステムだけでは、違法金融業者に流される人が多すぎるため、政府は「政策庶民金融商品」というものを運用しています。いくつかの種類がありますが(青年用、など)、基本的には『これ以上借りられそうにない人たちに、政府が比較的低い金利でローンを出す』というもので、ほとんどの商品に「日差しローン」という表現が付きます。日差しローン、日差しローン・ユース、勤労者日差しローン、などなど。
ですが、これを、いや「これすらも」ちゃんと返さない人が増えて、仕方なく政府が代位弁済(政府政策といっても金融機関が貸すことになっていますので、代位弁済になります)する金額が増えてきました。関連記事について、ネットでは「ほら見ろ、返さなくても問題ないだろう?」という意見が目立っています。ソウル経済の報道によると、野党国会議員が金融監督院、庶民金融振興院などから受け取った資料を分析して、政策庶民金融商品8つを分析したところ、延滞が多くて政府が代位弁済した金額が、6月末時点で6252億ウォンでした。これは、去年1年分と同じ数値である、とも。人数は記事に書いてありませんが、もともとこういう商品は大金を貸すものではないので、かなりの数になると思われます。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・低所得・低信用者のための政策庶民金融商品の代位弁済率が一斉に高まっている。借主が3カ月以上延滞をするなど問題が発生し、政府が代わりに返済した割合が増えたという意味だ。少額生計費ローンなど「生存」のために融資を受けたものの、持続した高金利及び高物価にこれ以上耐えられない限界借主が続出する姿だ・・・・(※代位弁済は)今年上半期末基準で6252億ウォンと集計された。去年一年の代位弁済総額6259億ウォンだったが、今年は6ヶ月で同じ規模になった・・・・この流れだと、今年末に政策庶民金融商品代位弁済額は1兆ウォンを超えると見込まれる・・・・特に今年上半期の間、庶民金融振興院と中小企業ベンチャー支援部がそれぞれ代位返済した日差しローンバンク、事業者日差しローンなどの規模は、昨年総計の約4倍に達するなど、急増した(ソウル経済)・・>>
もちろん、本当にどうしようもない方々もいるでしょうから、ひとくくりにすることはできないでしょうけど・・そもそも返す必要があると思ってない人が多いのではないか、そこが気になります。記事で取り上げている範囲は異なりますが、6月に紹介した「個人回生(韓国版個人再生)」関連の国民日報の記事を思い出さずにはいられません。 <<・・一部の債務者(※個人再生を申請した人たち)は、免責を得るために、最初は「高級品」の購入や、複数回の整形手術などを述べない。しかし、支出内訳はその後の調査でバレたりする。本人と配偶者の収入を超えたショッピングを続ける事例、クレジットカードだけを信じて海外旅行を続けていく事例、輸入車を何度も買い替える事例などがそうだ・・
・・債務者たちは消費習慣が間違っていると『懺悔』の陳述書を書き出すが、一部は裁判所手続きの進行中にもショッピングとオンラインギ◯ンブルを続けて摘発されたりもする・・・・稀ではあるが、債務者が個人回生と認められた後、「お祝い」としながら追加でお金を借りる事例も見られる。「限界が感じられる」というのが、裁判所関係者の経験談だ・・「簡単なローン」広告はあらゆる手段で人々に向かう。容易に多くを削減できるノウハウがありますとささやく回生(※個人再生)ブローカーもあり、法律事務所は弁済率を下げた事例を実績のように提示する。青年たちはもう「返済できないなら回生すればいいじゃん」と話している(国民日報)・・>>
他にも、実際に債務者の財産、所得、弁済計画案などを検討する「回生委員」たちによると、「収入に比べ過剰な支出をする事例」、「株式およびコイン投資による事例」、「高価な塾に金を使いすぎる人(過ぎた私教育)」、「債務が多いのに頻繁なタクシー利用」、「インターネット放送への数百万ウォン台の『投げ銭』後援」、「繰り返しグッ(シャーマニズム儀式)を行う」など、普通とは思えない消費パターンも多い、とのことです。国民日報の記事は個人再生、特に青年層の個人再生が多いという内容ですが、似たような心理が、先の日差しシリーズにもあるのではないか、と。
明日(7日)は、1日休みを頂きます。次の更新は、8日(日曜)の11時頃になります。良き3連休をお過ごしください。あと、サブエントリーのほうに、伊勢神宮で撮った写真を少し載せてみました。レナの写真も1枚だけあります。よろしければ、ぜひ御覧ください。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・準新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。