「日米への安全な供給先」キオクシアとウェスタン・デジタルの合併、中国とSKハイニックスが反対

前から話はありましたが、キオクシア(東芝メモリ)とウェスタン・デジタルが合併に合意した、というニュースがありました。本エントリーではブルームバーグを引用します。見方にもよりますが、日米半導体協力の波もあるし、両社が日本の三重県・岩手県に工場設備投資をしていることなど、グローバルサプライチェーン再編とも関係していると思われます。というか、この時期に半導体市場関連でここまで大きな動きが、無関係だと思うことなどできないでしょう。時期にもよりますが、両社が合併すると、メモリー分野でシェア1位になります。実際、朝鮮日報は日本メディアの報道を引用する形で、「日米にとって安全な供給先を確保できる」と報じています。以下、両紙から、必要な部分だけ<<~>>で引用してみます。

<<・・キオクシアホールディングスと米ウエスタンデジタル(WD)が月内にも合意する見通しであることが分かったと、共同通信が報じた。実現すれば、半導体メモリーで世界最大規模となる。14日付の朝日新聞によると、統合後は両社でつくる持ち株会社「KIOXIA Holdings」の下に両社がぶら下がる形になる。統合比率はキオクシア側が49.9%、WD側が50.1%だが、実質的な経営権はキオクシア側が握る見通しで、持ち株会社の社長にはキオクシアの早坂伸夫社長が就任する方向だ。また、同日付の日本経済新聞によると、登記上の本社は米国で、本社所在地は日本となる(ブルームバーグ)・・>>

 

米ナスダック、東京証券取引所への上場を目指し、3つの日本のメガバンクと日本政策投資銀行などが1兆5000億〜1兆9000億円程度の融資を検討している、とも。ですが、2つの問題・・実際はもっと多くの問題があるでしょうけど、複数の記事で言及されているのは、中国当局の承認と、SKハイニックスの反対です。朝鮮日報によると、4~6月期基準で、キオクシアのシェアは19.6%、WDのシェアは14.7%で、なかなかのシェアを持っている2つの会社の合併だけあって、各国当局の承認が必要です。特に『日米』という理由だけでも、中国は承認しない可能性が高いと言われています。そして、中国はともかく、SKハイニックスの場合、2017年東芝メモリの売却の際、コンソシアムを構成したベーンキャピタルコンソーシアムに4兆ウォンを投資した間接出資者で、いまもキオクシアの持ち分5兆ウォン近くを持っている、と言われています。ここからは引用してみます(※「5兆ウォン」の部分だけ、14日ヘラルド経済の記事の情報です)。

<<・・日経、朝日新聞などによると、ウェスタンデジタルが半導体メモリ事業を分離し、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)と持株会社を設立して経営統合する方向で最終調律している。市場調査会社トレンドフォースによると、今年4~6月期基準キオクシアの市場シェアは19.6%、ウェスタンデジタルが14.7%だ。単純合算すると1位のサムスン電子(31.1%)を超える・・・・朝日は「両社が今月内(統合)合意を目指している」とし「ただし、合意後に各国規制当局の承認が必要だ」と伝えた。特に市場シェア3位のSKハイニックスが両社の合併に反発していることが分かった。

 

SKハイニックスは、キオクシアの主要株主の一つでもある。キオクシアの前身である東芝メモリ事業部が去る2017年に売却される当時、米国の私募ファンドのベーン・キャピタルが主導した日米韓コンソーシアムが49.9%の持分を持って行った。SKハイニックスは当時ベーンキャピタルコンソーシアムに4兆ウォンを投資した間接出資者だ。朝日は「SKハイニックスの反発で最終合併には不透明な部分がある」と伝えた。中国の反発も問題だ。両社統合契約後2年以内に中国当局の承認も得なければならない。

統合持株会社の最終出資比率はキオクシアが49.9%、ウェスタンデジタルが50.1%だが、社長をはじめとする役員の半分以上はキオクシアが担当し、実質的な経営権はキオクシアが持つことが予想される。日経は「両社はメモリー市況がおもわしくない中、統合で規模を育て、投資競争に備えようとする目的がある」とし「米国と日本は、半導体の安定的な供給先も確保できるようになる」と分析した(朝鮮日報)・・>>

 

 

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