実は2022年にも私見を書いたことがありますが、韓国メディアの記事には「陣営論理」という言葉がよく出てきます。私はブログを始めてからずっと、韓国社会の特徴を「社会各分野が、対立する2つの集団に分かれていて、自分が属している側か、そうでないかの二分法で物事が決まる」という趣旨を書いてきました。それが、数年前から、陣営論理という言葉として、韓国内でも指摘されるようになったわけです。ただ、私は「社会全般」がそういう状態で、むしろ『対立している状況』に依存している、すなわち自分のアイデンティティーを対立から見出す人が多いと見ていますが、韓国内部からの主張は、まだ「政治に限っての現象」という見方をしています。
さて、その陣営論理について、「もはや国民というより陣民である」とまで書いた寄稿文があったので、今日、エントリーしてみたいと思います。10月5日新東亜（東亜日報系列のネットメディア）、全北大学校新聞放送学科のカンジュンマン教授の見解です。記事の最初のいくつか「まとめ」が書いてありますが、陣営論理において、『正義より上に事実を立てる道理など無い』と書いてあるのが印象的でした。客観的事実（真実）を、自陣営の正義より上位のものとするわけにはいかない、そんなものは道理ではないというのが、陣営論理の基本だというのです。以下、＜＜～＞＞で引用してみます。
＜＜・・誰もが認めるだろうが、私たちの政治は典型的な「勝者がすべてをもらう」タイプだ。なぜ典型と書いたのかというと、他の国々よりずっとそうだからだ。選挙で勝った陣営は、我が国特有の『縁故中心の私的ネットワーク』と結合し、全国民の半分以上を陣営の渦に引き寄せていく。韓国社会の最大の問題は、まさにこのような「自分が得をするため」の分裂がデフォルトである点だ。どんな陣営が勝利するかなど、二の次だ。いっそのこと、ある陣営が相手陣営を完全に圧倒してしまうならば、分裂は社会的コストからしてそれほどでもないかもしれない。しかし、そうではないので、いかなる政治や改革でも分裂をカバーできなくなる（※韓国の場合は社会が5：5状態に分裂するので、政治や改革でなんとかするのがほぼ不可能）・・
・・陣営論理の中心にあるのが政党だ・・・・彼らは、政党の力を育てるため、全社会を政治に巻き込む。韓国にも中道は多いにもかかわらず、中道が持続的な政治勢力になれないでいる最大の理由は、2つの巨大政党のうちの1つを選択しなければ、影響力・地位が保障されない現実を半世紀以上も見てきた集団的学習効果のためだ。どれだけ美しい言葉で飾っても、巨大政党が暗黙的に社会に投げるメッセージはいつも単純明瞭だ。「私たち側にならないと、何ももらえなくなりますよ」。 韓国はまさに「政治過剰」な国であり、このメッセージはまさに鉄則になってしまう・・
・・党員の数は、共に民主党485万人余り、国民の力が407万人余りなど、韓国の全体政党の党員数は1042万人余りに達した（※日本の場合、自民党党員が約110万人とされています）。 大衆政党とされるものが100年前からあったイギリス・ドイツなどは党員が100万人にならず減少傾向なのに、韓国は1000万党員、国民5人のうちの1人が党員の国になった。なんというか、驚くことでもない。国会未来研究院が公開した報告書によると、1000万党員の80％は「自分が党員だと知らないでいる人」、各種公職候補者によって買収された人、大統領候補者など特定ファンダムリーダーのため、「党を支配しようとする党員」の３種類だった。
この3つのタイプのうち、2番目と3番目は、韓国的な処世術にとても優れた人たちだ。本物か偽物かはともかく特定政党の党員になり、政党の権力掌握に励むのは、「保険」として価値がある。全国のほとんどの地域で、自営業者や建設業者が政治的カルテルのネットワークに入らなければ、随意契約などできないというのが、常識であるからだ（新東亜）・・＞＞
さて、これが本当に政治だけなのか、と。引用部分にはありませんが、陣営論理が大事だから「正義（自分側の論理）が真実より大事とされる」、「外交関連事案も陣営論理で決まる」という内容もありました。後者の場合、たとえば日本関連の案件でも、自分が属した側の政権になると、無条件でその政権の政策に同調するというのです。「文在寅政権で、文大統領の日本関連政策を批判する人たちが増えたと言われていすが、それは『日本の見解について同意する』わけではなく、単に『政策（政権）を批判しているだけ』にすぎない」という持論を展開してきただけに、私もこういう部分には同意しています（私とまったく同じ趣旨の見解だとは思えませんが、おおまかに）。今日、もう一日だけ、更新1回だけと致します。次の更新は、明日の朝11時頃になります。
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