昨日は黄色い封筒法についてお伝えしましたが、今回は橫財税、すなわち「超過利潤税法」について、です。こちらはまだ国会を通過していませんが、文在寅政権の最低賃金、いまの黄色い封筒法と同じく、韓国社会の「冨」への見方がよくわかる案件でもあります。オチは最後にありますので、まぁゆっくりお読みください。超過利潤税法は、思わぬ収益が大きかった際、その分について追加で課税するものです。外国では、主に石油関連会社などエネルギー企業を相手に、同じ趣旨の議論が行われていますが、それらは「自分で油田を所有している企業が相手」であり、韓国のエネルギー企業のように『買ってくる』立場の会社に向けられたものではない、という反論もあります。
韓国では、野党だけでなく、与党一部からも、この超過利潤税法が議論されています。エネルギー企業にも同じ話が出ていますが、韓国の場合は基本的に金融機`関、銀行(第1金融圏)に対してのものです。金利が上がり、家計債務問題が一気に表面化した韓国。そして、いつものことではありますが、「銀行のせいだ」という主張も出てくるようになりました。野党だけでなく、ソース記事国民日報によると、ユン大統領は「銀行が『甲っぷり(上の立場からのパワ◯ラ)』をしている」と話しています。前にも、銀行が「ドンジャンチ(お金 パーティー)をやっている」と話したこともあるし、政府は持続的に銀行側を圧迫してきました。事実上の、金利調整だとも言われています。それでも結局、ローン金利は上がりましたが。文政権が最低賃金を急激に上げたのも、結局は「雇用側(企業側)が一方的に得をしている」という考えによるものでした。今回の議論もまた、右も左もなく、根幹は同じだと言えるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・高金利時期に大きな儲けをした銀行を対象に「横財税(超過利潤税)」を賦課しなければならないという声が大きくなっている・・・・ユン大統領は先月末、「甲っぷり」などの強硬発言で銀行側にを批判した。続いて野党代表まで横財税導入を推進すると言っている。ただし、政府は新しい税金を課すのことは難しいとも言う。イ・ジェミョン共に民主党代表は10日国会で最高委員会議を開き、「高金利に銀行側が史上最大利益を収めている。横財税を導入したり、銀行に社会寄付金を助成させ、高金利に苦しむ国民の生活を改善しなければならない」と話した。続いて「すでにイギリス、ルーマニア、ギリシャ、イタリアなど多くの国がエネルギー産業を対象に横材税を導入した。米国も石油会社の超過利益に消費税をかける法案を発議した」と付け加えた。
最近、政策・金融当局の首長たちも攻勢を高めている。チュギョンホ副首相兼企画財政部長官は去る8日国会企画財政委員会全体会議で「銀行が利子利益を中心に莫大なお金を稼いでいる。このような状況を厳重に認識しなければならない」と述べた。 イ・ボクヒョン金融監督院長は6日、ソウル西大門区韓国公認会計社会で開かれた会計法人CEO懇談会以後取材陣と会って、「今年7~9月期の営業利益だけ見ると、銀行はサムスン電子、LG電子、現代自動車を合わせた分より大きい。 こうした利益規模がイノベーションで創出されたのかどうか、銀行が現実的に判断しなければならないだろう」と指摘した(国民日報)・・>>
イタリアなど一部の国が、同じく金融機関に超過利潤税法を賦課していて(1年限定などいろいろあります)、それが賛成派の論拠になっていますが、反論もあります。先、石油会社関連の議論を紹介しましたが、金融機関も同じで、外部環境、すなわち米国金利による影響などがEUと韓国は立場が異なる、というのです。また、同じ理屈で、超過損失が発生したときには税金を返すのか、という指摘もあります。それに、遅くなりましたが、ここからがオチです。ファイナンシャルニュースによると、実は「全ての企業」が対象になっている、とのことでして。これはもう、超過利潤でもなんでもない気もします。まだ国会を通過していないのでなんともいえませんが、金利高くて銀行をせめていたら、いつのまにか全ての企業が対象になったでござる・・といったところでしょうか。記事によると、各企業からは「いくらなんでも」という声が出ている、とも。あと、引用してそのまま終わりに致しますが、今日と明日は1日1回更新になります。次の更新は、明日の朝11時頃になります。申し訳ございません。
<<・・業種区分なしに横財税賦課対象が拡大する可能性もある。共に民主党のヤン・ギョンスク議員が発議した法人税法改正案を見ると、課税標準3000億ウォンを超える大企業の総所得額が、3年間の平均所得額の20%以上を超えると、超過分に対して20%の法人税を追加賦課する内容が含まれている。この条項が盛り込まれた法案が国会本会議を通過すれば、サムスン電子、現代自動車を含む主要大企業にすべて横財税を課すことができる法的根拠が出来上がるのだ(ファイナンシャルニュース)・・>>
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