発表する機関によって異なりますが、国際金融機関(IIF)が集計・発表するデータでは、集計対象国が比較的少ないこともあって、「家計債務がGDPより大きい国」は韓国だけになります。他の機関のデータでも3位~4位にはなりますが、IIFのデータでは2020年から不動の1位で、韓国の家計債務が世界的に話題になったきっかけの一つでもあります。昨日(19日)、IIFがまた最新の2023年7~9月期データを発表し、多くの韓国メディアが記事を載せました。
聯合ニュースが「家計債務」及び「企業債務」(主にこの2つを民間債務とも言いますが)順位をわかりやすくまとめてくれましたが、家計債務で1位、企業債務で3位でした。まず、各国の順位(上位10カ国)を見てみましょう。まず家計債務では、韓国(100.2%)、香港、タイ、イギリス、米国、マレーシア、日本(64.7%)、中国、EU、シンガポール。企業債務では、香港、中国、韓国(126.1%)、マレーシア、タイ、ロシア、米国、イスラエル、イギリス、サウジアラビアの順でした。金融企業は含まれません。
まず、105%までいっていた韓国のGDP比家計債務が減少しつつありますが、国内では家計ローンなどが大幅に増加しているというニュースが相次いでいます。これについて個人的な推測となりますが、データがまだIIF側にちゃんと届いていない可能性があります。今年春~夏までは、余裕のある人たちが(高金利なので)家計債務を返済し、家計債務総額が減少していました。企業債務は、前回発表では4位だったので、3位にランクアップしたことになります。他の国の場合、家計債務はGDP比で60~70%が普通ということになっています。
債務というのは、経済において肯定的な影響を及ぼすこともありますが、80%を超えるとそうとも言えなくなるので、80%を上限と見るのが一般的です(東亜日報)。IIFデータで80%を超えているのは、韓国以外だとタイ(91.5%)と香港(95.2%)各記事の中で特に気になるのは、企業の倒産増加率(今年1月~10月、去年同期比)です。これは17カ国のデータですが、韓国の企業倒産増加率は40%。こちらは世界2位で、1位は60%のオランダでした。ちなみに企業債務の(こちらは3ヶ月前と比べての)増加幅も2位でした。1位はマレーシア。
政府債務の場合、48.9%(22位)でかなり良好な方ですが、見方によって評価が変わります。増加スピード、すなわち去年同期データから%pがどれだけ増えたかを見てみると、香港、アルゼンチン、中国に次ぐ4位だそうです。また、こちらはIMFのデータなのでIIFとは異なりますが、「非基軸通貨先進国」では、政府債務が50%を超えないようにするのが普通なのに、韓国は54.1%です。非基軸通貨先進国とは、IMFが先進国に分類した35カ国のうち、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、豪ドル、カナダ・ドル、スイスフランを使用しない国のことです(韓国ではハードカレンシーも基軸通貨と言います)。韓国、チェコ、デンマーク、香港 、アイスランド、イスラエル、マルタ共和国、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スウェーデンの11カ国です。この11ヶ国の政府債務は平均は53.5%。新型コロナの影響で増えたけど、普通は50%を超えないようにする、と。韓国がこれらの国の平均を超えたのは、2023年が初めてです。
このように、債務無双状態が続く韓国でありますが・・いよいよ家計債務関連で緊縮政策を出すという話もあります。でも、総選挙前にそんなことが出来るのでしょうか。IIFだけでなくIMFなど複数の国際機関から家計債務関連の指摘が相次いでおり、IMFの場合は「かなり長い期間、高金利が必要だ」というアドバイス(?)まであったとのことですが・・はてさて。今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(21日)の11時頃になります。「全部出来た」と思っていても、意外な形で意外な書類が必要になるものですね・・今日は公共機関ツアー(?)になりそうです。
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