ローンが組めなくなった韓国社会、自転車操業(※対還ローン)が去年比48%増加

去年10月あたりから本格化された基準金利引き上げなどで、韓国の家計債務問題は一気に『高信用グループ』にまで及ぶようになりました。韓国は家計債務があまりにも『日常システム』化していて、各個人にも信用スコアというものが与えられています。前は10のランクにわけていましたが、最近は1000点満点で人の信用度を決めます。大まかに、1等級から3等級まで、1000点から700点あたりまでを高信用グループとします。彼らが、韓国では金融取引、というかローンにおいて、もっとも有利な立場のグループになります。ですが、第1金融圏(普通の銀行)では、もう3等級(700点あたり)には新規ローンや満期延長に応じなくなりました。

去年、4等級や5等級がきりすてられたとき、3等級たちは笑っていたかもしれません。しかし、残った顧客のなかでは3等級がもっとも信用スコアが低くなるため、それから約1年後の今、調整の対象は3等級になったわけです。今回のソース記事ニュース1によると、もう第2金融圏(ノンバンク)である貯蓄銀行(※銀行となっていますが詳しくは銀行ではありません)でも、信用スコアが600点(中信用者の中ではもっとも信用が高いグループ)にならないとローンを組むのは難しくなっている、とのことでして。ニュース1は記事で「貸出ハシゴ」が機能しなくなったという表現を使っています。こんな状況だから、違法金融業者に流れる人が増え、自転車操業が増えています。特定条件内でのことではありますが、自転車操業は去年に比べて48%増えた、とのことです。

 

自転車操業といっても、人がお金を借りて、その金で自転車操業(前の金融機関から借りた分を返済する)に使うかどうかを見定めるのは容易ではありません。だからこの場合は、カードローンの『対還ローン(対還貸出)』だけのデータになります。これは、自転車操業専用の貸出システムで、金融機関からの融資で、前のローンや延滞金を返済する制度を意味します。信用スコアが下がるなど相応のデメリットはありますが、着実に返済するなら、最終的には利率に多少のメリットが与えられる場合もあります。あくまでこの対還貸出に限ってのデータではありますが、YTNの報道によると、その利用金額が、1兆5000億ウォン。去年に比べて48%も増加しています。1800兆ウォンがどうとかのデータに比べるとパッとしませんが、対還貸出に限ったデータで(実際の自転車操業はこれだけではない)、もともとデメリット付きなのでそう一般的な制度ではなく、利用者1人の金額が大きくないことまで考えると、48%増加はとんでもない数値だ、と言われています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・カードローンは、クレジットカード会社が会員の信用度とカードの実績を見てから貸し出す長期カード貸出です。無担保ローンで、手続きも簡素で、中・低信用者の急銭(※急に必要になった少額の資金)のために利用されます。10月、クレジットカード9社のカードローン残高は38兆7,405億ウォン。ところが高金利・高物価で、カードローンを返済する余力がなくなり、借金を返済しようと再び融資を受ける人々が、1年の間に大きく増えました。先月のカードローンの『対還貸出』残高は1兆4,903億ウォンで、1か月前より6.3%、1年前と比較すると48%近く増加しました・・

・・その場しのぎにはなるかもしれませんが、信用スコアが下がり、従来よりも高い金利が適用されます。【イ・ジョンファン/ハンヤン大学経済金融学部教授:「脆弱な階層がカードローンを多く使い、生活費ローンでたくさん使うと見られますが、結局は信用リスクが発生するし、対還ローン、カードローンがこんなに多いことは、思わしい状況ではありません」】。調達費用が上がり、カードローン金利自体も上がり、先月平均金利は14.42%、1ヶ月前より0.35%pも上昇しました(YTN)・・>>

 

記事は「庶民の生活に必要」としていますし、それは確かにそうかもしれませんが、問題になっている分が必ずしも「生活に必要」なわけではありません。関連したいくつかの記事を読んでみると、問題になっているカードローン、またはカードの分割払い(割賦)利用の中には、『事実上所得が減っているのに、消費を減らそうとしない』分が影響している、とのことでして。ほとんどの記事で、「海外旅行商品を分割払いで購入して、その分が問題になるケース」は例がなく指摘されています。去年の末あたり、『金利上昇の影響が現れるのは、早くても2023年以降』としていた一部の専門家たちの予測が、おおまかに当たっているとも言えるでしょう。

 

 

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