9月のもので恐縮ですが、いわゆる「陣営論理」関連で面白い(曇る)話があったので、紹介します。陣営論理とは、主に政治関連で、「自陣営だけが無条件でただしい」とする現象のことです。韓国社会を「あらゆる側面から『二分』されている」と書いてきた本ブログとしてはいまさらな話ですが・・その陣営論理は、各メディアで大きな社会問題として取り上げられています。前にも紹介したデータですが、10月5日の新東亜の記事によると、韓国は「党員」が不思議なほど多い国で、共に民主党が約485万人、国民の力が約407万人と言われています。全体政党の党員数は1042万人だ、とも。イギリス・ドイツなどは全体党員約100万人。日本の場合は自民党が100万~110万人。
記事は、これを韓国的な処世術としながら、「本物か偽物かはともかく特定政党の党員になるのは保険として価値がある。全国のほとんどの地域で、自営業者や建設業者が政治的カルテルのネットワークに入らなければ、随意契約などできないというのが、もはや常識だ」ともしています。単なる「支持政党」だけでも説明できない現象であるわけですが・・なんと、ネットメディア「デイリアン」の記者の体験談によると、子どもの家(子供の保育施設の総称)の保育園児たちも、親の政党で友だちが決まる(入るグループが決まる)、とのことでして。しかも、支持政党が異なる家とは、婚姻もしない、とも。珍しく、記事はこの現象を昔の「朋黨(朋党、党派によってすべてを区別する考え方)」と同じものだと書いています。的確な見方でしょう。党派争い(ダンパサウム)など、ずっと前から同じことがありましたから。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・私が出入できる処(※韓国の政府機関には「部」、「処」、「庁」があります)の内には、子どもの家が3箇所ある。職員と議員会館で働く人たちの子供のための、職場内の施設だ。最近、議員会館で驚くべき話を一つ聞いた。子供が、同じ党色(※同じ支持政党)同士で自然に集まるという話だ。子供たちの間でも親友グループが形成されるのは当然だが、同じグループの子の親は、同じ政党に所属している人たちだというのだ。偶然だろうか。まだ一般化するものではない。しかし、このような話を聞くと、いつもの韓国社会の「一つの国、二つの国民」現象を見出してしまう・・
・・我が国で、互いに政治的性向が同じ人々同士で交わり、政治に関する対話を交わし、相手陣営に向けて激しく・・(※意味深な中略)・・な話をするのは、なにも目新しいことではない。オンライン上では「○○○を一体誰が支持するのか。私の周りには誰もいないのに」という形で表現されたりする。朝鮮中・後期の、朋党政治のときは、互いに会話しなくても、挨拶しなくても、街ですれ違うだけでもどの党派かがわかった・・(※自分や家族の帽子、服、着方、付け方、巻き方、飾りや髪の揃え方など全てを『自陣営』の規定通りに行うことで、自分の党派支持の人だけわかるようにした、という話のあとに)・・すべてが党派によって異なっていた。
まだそこまでは行ってないと思うが、支持政党が異なると、婚姻しない現象はすでに現れている。朝鮮日報が今年初めの新年企画世論調査結果、国民の40.7%が「政治的に異なる人と食事や酒席を一緒にするのは不便だ(※都合が悪い)」と答えた。本人または子が政治的に異なる人と結婚することについても、43.6%が「不便だ」と答えた。 特に結婚適齢期の20代以下では、この割合が過半数に迫る49.4%まで上がった。このように、まるで朝鮮時代の党争のようになる姿から考えてみれば、なにも不思議なことでもあるまい(デイリアン)・・>>
この後、記事は「これは文在寅政権によるものだ」という神展開になりますが、それもまた陣営論理ではないでしょうか。ムンたんのずっと前から同じだったとしか言いようがありません。本ブログでは今まで、子どもたちが、住んでいる家(価格、階数、広さ、マンションなのかどうかなど)や着ている服などで「上下」の階級が決まるという話を何度もエントリーしてきました。しかし、こうして、「左右」にもまた、立場が分かれていたとすると・・なんというか、心が曇る話です。ソース記事の記者さんは「一般的な現象だとは思えない」としていますが、なぜでしょうか。私は、そこまでマイナーな話だとも思えません。実は記者さんもそう思っているから、この内容を書いたのではないでしょうか。
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