韓国、また始まった「女性兵役制度」議論・・実は「男性の支持率上げ」が目的?

韓国社会で長い間 議論されてきた、女性兵役制度について、です。そんな中、兵役制度関連の話が出てきました。マイナーな政治家二人が立ち上げた新党からの主張ですが、いまは男性だけになっている兵役制度の範囲に女性も含めることこそが、制度の平等化に繋がるというのです。議論すること自体は別にいいですが、私はこういう話を聞くたび、「支持率上げるための発言だな」としか思えません。兵役制度がある国では、たしかに女性も兵役服務する国がありますが、韓国の世論は、伝統的に女性の兵役には反対してきました。ちなみに、韓国も自分で入隊して軍人になることができるため、女軍もちゃんと存在します(募兵制の形になります)。

総選挙が近づき、各政党で主流派になれなかった人たちが、新しい政党を立ち上げています(予定も含めて)。一時は若きスターとされていた「国民の力」のイジュンソク前代表の新党設立がもっとも話題ですが、共に民主党からも、いわゆる非明(李在明代表と対立する派)から離党する人たちが出ています。一時は大統領候補とまで言われていたイ・ナギョン元総理も新しい政党を立ち上げるとしており、与党からしても野党からしても、気になる動きが続いています。特にイジュンソク前代表の新党は、保守系の集結にかなりの影響を及ぼすのではないか、とも言われています。年末頃に動くとしていますが、さて、どうなるのでしょうか・・はともかく。

 

本題に戻しますと、いまの若い世代は、男女間においての『陣営論理(自陣営だけがただしいとすること)』が強くなっており、些細なことでも大きな騒ぎになったりします。その一環として、男性側は、「私たちが兵役に服務する間、女性に仕事をもっていかれる」という認識も強くなっています。こういう側面を利用した、いわゆる支持率上げのための発言が政治家から出てくるのも、珍しいことではありません。今回もそういう類のものでしょう。現状として、実現可能性はかなり低いです。男性だけの兵役制度については、男性側から何度も問題提起があり、ついに、今年には憲法裁判所で審議まで行われましたが、結果、合憲である、と判断されました。

 

女性兵役制度には世論も反対が多く(54.9%)、賛成は36.3%です。実際に兵役に服務した人は反対する事も多いですが、これは、ソース記事ニュース1に載っている経験者の話によると、『女性軍人と一緒に勤務したことがあるが、彼女の安全確保のため、むしろ必要な人員が増えてしまった』とのことでして。やはり女性が勤務するにはインフラ的に(色んな意味で)問題があり、軍人なのにむしろその安全対策のために必要な人員が増えてしまう、というのです。

それでも、ネットなどでは兵役はもっと平等であるべきだとする意見が多いのもまた事実。今回の件も、そういう人たちを意識しての支持率上げ政策ではないのか、と。一応、女性の兵役を『もっと広い範囲』で行う、という主張も出ています。安保教育や社会奉仕活動などを行って、まずは個人や社会の意識の変化を促し、それから兵役義務について議論したほうがいいという主張です。こういうのがもっと現実的ではありますが、これやると、まず政権交代は間違いないでしょう(笑)。

 

こういう男女間の陣営論理は、いままでも政治的に利用されてきました。最近の事例だと、ユン大統領がまだ候補だった頃、女性家族部の廃止を公約したことです。これで20代男性の支持率がかなり動いたという話もあります(実際にどれくらい役に立ったかは不確かですが)。ただ、それからユン政権は手のひらを返しました。女性家族部はまだ健在です。この件ではユン大統領がいろいろ言われましたが、一般的には、男性側は共に民主党など左派側を、「女性の味方」と見ています。

ネットの一角の話だという主張もありますが、実際の選挙で票に繋がっているという主張もあります。今回女性兵役をいい出したのは、もと正義党(左派)の人で、かなりマイナーな政治家たちのことなので、そこまで大きな動きがあるとは思えません。しかし、こういう話まで政治的に出てくるというのが、いかにも今の韓国らしいことだな・・と思って、エントリーしていました。この男女間の陣営論理については、21日発売予定の新刊でも取り上げています。興味をお持ちの方は、ぜひご一読を。 ※明日は、1日休みを頂きます。次の更新は、15日(金曜日)の朝11時頃になります。

 

 

おかげさまで、新刊「韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)」2023年12月21日に発売されます(アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>です。若い人たちと高齢の人たち、女性と男性、「私たち」と「それ以外」、こっちとあっち、私と他人、豊かな人たちとそうでない人たち、様々な形で出来上がった社会の壁、「分断」に関する話で、特に合計出生率関連の話が多めになっています。・新刊<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・刊<韓国の借金経済(扶桑社新書)>、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。