ユン大統領が、オランダを国賓訪問しました。もっとも大きな成果とされているのが、オランダとの「半導体同盟」です。同盟という単語が適切なのか疑問ですが、大統領本人がそう言っているのでそのままにします。ユン大統領は日米韓オランダで半導体同盟が完成したと話していますが、日米が今回の件に具体的にどうかかわっているのかはよく分かりません。各メディアも、日米のことはあまり書いていません。オランダは日米「側」ですから、そう表現したのかもしれません。
さて、大統領オランダを訪問してEUV露光装置で強いASMLを訪問、R&Dセンターや各種MOU関連の成果を出したのは、いままで中国工場がどうとかの話ばかりだったことを考えると、「流れに沿った」動きだと言えます。ただ、いつものことですが、この件で、別の話も出ています。まず、中央日報によると、大統領の国賓訪問前の今月1日、オランダ政府は韓国の駐オランダ大使を呼び、抗議しました。ASMLクリーンルームを訪れる人員が規定より多いこと、などなどです。外交部は「オランダ側は何度も謝意を表した」としていますが、外交関係者たちは「ものすごく異例」としています。
韓国側は、エレベーターの面積データなど多くのデータ、ASMLクリーンルームに定員以上の人が入ることなどを要求したとのことですが、記事はこれについて、「大統領室・外交部・大使館などが、情報をお互いに共有して業務成果を増大するより、関連情報を他部署に知らせず、自分たちだけで成果を出そうとしているのが問題」と指摘しています。簡単に言うと、「自分が大統領の側にいるために」という意味です。韓国ではこういうのを「顔ハンコ」とも言います。顔を見せることで、「私はあなたの味方です」をアピールするため、とにかく近くで顔を見せる必要がある、という意味です。
<<・・特に半導体機器企業であるASMLの機密施設「クリーンルーム」訪問日程と関連して韓国側が定められた制限人員以上の訪問を要求したことに対する懸念が大きかった。ある情報筋は、「オランダが相手国首脳の訪問を控えて大使を招致したとは異例だ」と伝えた。首脳の訪問を準備する過程で相互意見を水面下で調整するのはよくあることだ。外交情報筋によると、「オランダ側は外交チャンネルを通じて数回にわたって受け入れられない部分に対する協議と調整を試みたが、状況が改善されなかったから、抗議の意味で大使を招致して懸念を伝えたと聞いている」と話した(中央日報)・・>>、と。
次に、大統領は日米韓オランダで同盟だとしていますが、ここで一つ疑問があります。「台湾はどこへいった」です。チップ4というものをあんなに強調していたのに、1年も経たないうちに、なんでそこにオランダが入っているのか、と。全部合わせて「5」にするなら分かりますが。それに、毎日経済など一部のメディアは今回のオランダ訪問の件で「半導体製造強国である韓国と半導体装備強国であるオランダが次世代半導体人材養成段階から緊密に協力することにし、国内半導体業界は大喜びだ。最先端の装備を扱う人材が足りないなどで工場建設遅延事例を経験している台湾企業や、半導体強国への再跳躍を準備している日本としては、今回の韓国とオランダ半導体同盟が羨ましいことだろう」と報じています。これが、日米韓オランダ同盟を見ている書き方なのか、と。あくまで見方にもよりますが、日米台半導体協力に参加する(チップ4)ことができなかったから、別の道を探ったのではないか、そんな見方はできないのか、と。も。あくまで見方による話ではありますが・・
ちなみに、ASMLといえばEUV露光装置ですが、米国はこのEUV露光装置のサムスン・SKハイニックスの中国工場への搬入を許可しないでいます。10月、中国工場への装備搬入が延長されたとき、チェサンモク大統領室経済首席は「米国政府がサムスン電子・SKハイニックスの中国工場に対して別途許可手続きや期限なしに米国産半導体装備を供給すると最終決定した」と前日明らかにしましたが、野党議員などが確認したところ、EUV露光装置の中国工場への搬入はできない、とのことでして。長官はその際、「現在、中国工場にはEUV機器までは必要なく、それ(EUV)以外にも高度化機器はいろいろある」と答えました(アジア経済、10月10日)。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>です。若い人たちと高齢の人たち、女性と男性、「私たち」と「それ以外」、こっちとあっち、私と他人、豊かな人たちとそうでない人たち、様々な形で出来上がった社会の壁、「分断」に関する話で、特に合計出生率関連の話が多めになっています。・準新刊<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・既刊<韓国の借金経済(扶桑社新書)>、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。