ちょうど去年この頃から本ブログで集中的に取り上げてきた、PF(プロジェクト・ファイナンシング)問題。いくつか動きが見えたので、お伝えします。PFとは、プロジェクトを担保にして金融機関から資金の融資を受けることです。何も作っていない状態で、自己資本比率もとても低い状態での融資になるので、金融機関からしても施行会社(プロジェクト総括会社)・施工会社(建設社)からしても、ハイリスク・ハイリターンの事業になります。マンション団地などは多くがこのやり方で資金作りが行われており、その規模は130兆ウォンとも160兆ウォンとも言われています。
やっと、本当にやっと、金融当局レベルでの『整理』がスタートします。各金融機関が、可能性の低いプロジェクトに、満期延長を繰り返しているからです。言い換えれば、いままでは回収可能性がないのに満期延長を繰り返してきたと当局が認めたわけです。マネートゥデイ(14日)によると、当局は、まず187箇所のPFに対して満期延長を行わず、整理手続きに入ることにしました。「まだやってなかったのか」のほうが驚きです。いままでは、PFリスクといっても、地方都市だけの問題のような雰囲気でしたが、すでにPFリスクはソウルでも起きており、複数の建設が止まったままです。特に、本ブログでも19日にお伝えしましたが、ソウルでも特に高価住宅が多い清潭洞という地域の50階住居・商業複合型の超高層ビルプロジェクトの工事が止まったことは、その象徴とも言えましょう。
また、そんな中、韓国で16位とされる泰栄(TAEYOUNG)建設の流動性リスクが話題になっています。どうやら、現金で支給すると約束した(下請け)工事代金を手形で支給、1ヶ月前からはそれすら支給できないでいる、とのことでして。ニュース1など複数のメディアが、結構大きく取り上げています。泰栄建設は、地上波放送「SBS」を所有している財閥「泰栄グループ」の主力の一つですが、4兆5000億ウォン規模のPFで問題が発生しているとのことです。13日に流動性リスクが報じられてから、3営業日で株価は20%近く下落しています。さて、これでもまだ「はじまってもいない」段階ですが・・果たして、耐え抜くことができるのか。以下、<<~>>で引用してみます。オチなしで恐縮ですが引用してそのまま終わりにしたいと思います。
<<・・泰栄建設の流動性リスクが噂されている中、マンション内部工事の下請けを受けた業者に現金を支給すると契約していたにもかかわらず、手形で代金を払ったことが確認された。これさえも一ヶ月前から発行が延期され、一部下請け業者は建設を中断する動きも起きている。15日取材を総合すれば、泰栄建設の建設現場で下請けを担当したB企業に9月から60日満期手形を支給した。このような措置は一つの現場ではなく複数の現場で行われている・・・・これさえも先月からは手形支払いすら延期されている。下請け業者は工事をやめることも検討している。泰栄建設は下請け入札当時代金は現金支給としていた(ニュース1)・・>>
<<・・満期延長中心に管理してきた金融当局が、187箇所の不動産プロジェクトファイナンシング(PF)事業場の「玉か石か」選別すると公式化した。敷地購入段階のブリッジローン(※PFローンの前段階で、普通はPFローンに転換します)の満期延長周期は、6ヶ月以上だったものが、最近は3ヶ月以下に短くなっている。来年からは、本PFに乗り換えできなかった事業場がオークションなどで大挙整理されるものと見られる・・・・この過程で、ブリッジローンを急激に増やしてきた貯蓄銀行、証券会社など第2金融圏の構造調整も避けられない見通しだ・・
・・来年2月頃に満期延長関連で、そして清潭洞PF満期時点の5~6月頃にまたピンチが来ると思われる。リスクが大きいブリッジローン中心だった貯蓄銀行、キャピタル、証券会社が特に問題だ。貯蓄銀行事態が起きた2011年、貯蓄業権PFローン延滞率は13%だった。9月末基準で貯蓄銀行PF延滞率は5.56%でまだ余裕があるが、PFローンと事実上同じとされる土地担保ローンは、大株団協約開始前の基準延滞率が10%台を記録したと伝えられる(マネートゥデイ)・・>>
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