数ヶ月前までよく取り上げた内容ですが、2023年(年間)で、ついに韓国の対中貿易がマイナスとなりました。まだ発表されていない分もありますが、黒字になる可能性はないとのことです。31年ぶりのことで、東亜日報など一部のメディアがちゃんと報じているものの、全体的には、不思議なほど話題になっていません。個人的に、2000年代になってからの韓国の経済発展は、「家計債務」と「中国経済(いわゆるチャイナブーム)」によるものだったと見ています。そして、その二つにおいて、構造的な変化が現れています。
家計債務は一言でもう限界に来ているし、その中心にあった不動産関連は、すでに金融リスクに広がる可能性が高いとされています。中国は、技術発展や国家政策などで、いままで韓国から輸入していたものを自分で用意できるようになりました。一部の専門家は、これを「中国を、『ものを出せば売れる場所』としか見ていない」と指摘します。もう競争相手として見なければならない、と。ユン政権も、今年1年中、中国がリオープニング(新型コロナ措置の解除による経済活動の再開)すれば貿易収支もすぐ改善されるとしてきましたが、予想はすべて外れました。東亜日報もこの件で、『1人に1個だけ売っても14億個は売れる』という幻想から目覚めるときがきた、と社説を載せました。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・今年、韓国の対中貿易収支が31年ぶりに初めてマイナスになる見通しだ。中国に売る代表商品の半導体輸出は減少し、ほとんどを中国に依存する二次電池部品・素材などの輸入は多くなったためだ。しかし、これまで半導体などに隠されていただけで、中国の産業競争力が急速に追いついてきて、中国で売れる商品が減ったのがもっと根本的な原因だという分析が出ている。中国を相手に貿易赤字を出すのは、修交初年の1992年10億ドル以来、初めてだ。中国は2003年から2018年までほぼ毎年韓国が貿易で最大の黒字を出す国だった。しかし今年は11月までの累積赤字が180億ドルに増えた。輸出が多少改善された12月を含めても、年間赤字は避けられない状況だ・・
・・最近の対中貿易赤字は、高金利による先進国の消費萎縮と中国の内需低迷が重なり、中国が半導体をはじめとする韓国産製品あまり買わなかった影響もある。しかし、中国産中間財が、韓国産を急速に置き換えているというのがより大きな理由だ。2025年までに核心部品、材料の大部分を自国産に変えるという「中国製造2025」計画、内需中心に経済構造を再編する「双循環戦略」を中国が推進した結果であるのだ・・
・・韓国を代表する耐久消費財も、中国市場でパッとしなくなった。10年前までに20%の市場シェアで1位を占めたサムスン電子携帯電話は、中国企業に押され、今はシェアが1%内外だ。2016年に178万台だった現代車・起亜の中国市場販売台数はTHAAD事態以後急減し、昨年は35万台水準まで減った。一方、韓国二次電池産業は核心素材・鉱物供給の大部分を中国に依存しており、比重もなかなか下がらない。対中輸出と関連して「1人当たり1個だけ売っても14億個売れる」としていた期待は、もう古い幻想に過ぎないのだ(東亜日報)・・>>
こういう『構造的な変化』を取り上げる記事は、3月時点からありました。3月、対中貿易赤字が、対日貿易赤字を超えたからです。3月28日聯合ニュースは「年間基準で、31年ぶりに赤字を記録するのではないかという懸念が出ている」としながら、1・2月の累積収支が50億7400万ドルのマイナスになったと報じました。これは、最大の天然ガス輸入国であるオーストラリア(マイナス48億1千500万ドル・2位)と、最大原油輸入国であるサウジアラビア(マイナス46億6千900万ドル・3位)より多く、いつも貿易赤字額が問題とされてきた日本(マイナス35億2900万ドル)よりも大きい、と。それからも一部の専門家が「リオープニングがどうとかの問題ではない」と指摘しましたし、結構大手のメディアも関連記事を載せましたが・・あまり話題になりません。「幻想」の中にいる人が多いのでしょうか。
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