去年打ち上げられ、成功とされてきた韓国の月軌道船(月探査機)「タヌリ(KPLO)」が、カメラの性能問題などで本来の任務を遂行できなくなりました。また、5月に打ち上げ成功とされたヌリ号の搭載衛星4基も、1基はロスト、1基は電力関連(電力量)で問題発生、残りの2基も何かの理由でまだ任務に着手できないでいます。「毎日経済」が報道しています。失敗は成功の母です。しかし、どうも記事の趣旨はそこではない気がして、エントリーしてみました。記事は、「成功とされてきたのに、これでは『世界初』を強調していた任務の遂行は難しい」「これは取材結果で分かたことです」としており、かなり遠回りな表現ではありますが、なんで何の公式発表もないのかと指摘しています。これについては、あとでちょっとオチを書きます。
タヌリのPolCam(ポールカム)というカメラは、2台セットで機能しながら、直下点から45度上にある地域を320、430、750ナノメートルの3つの波長帯域で観測し、月全体の偏光地図を描くのが最終目的です。ヌリ号に搭載されていた衛星、トヨセット(SNIPE)は、ナノ級衛星では世界で初めて、軌道飛行中の衛星間の間隔を制御、一列に縦・横に編隊飛行が可能で、宇宙プラズマ分布の観測が可能とされてきました。しかし、そのカメラ1台が故障で、残りの1台もデータをちゃんと処理できないでいる、とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・月探査機「ダヌリ(KPLO)」に載せられた広視野偏光カメラ「ポルカム(PolCam)」が正常に動作していないことが確認された。天文研究院が開発したポルカムには2台のカメラが付いているが、このうち1台が作動しておらず、残りの1台もデータ処理に問題があると把握された・・・・これにより、ダヌリが月探査任務をきちんと遂行することは難しいと思われる。さらに、天文研はカメラの問題原因さえきちんと把握できずにいる。天文研は去る5月ヌリ号に乗せて発射した衛星トヨセットも4基のうち2基が消失するなど、最近問題が続いている・・ポルカムは昨年8月に打ち上げられたKPLOに6個あった搭載体の一つだ。ポルカムは月面を偏光観測する・・
・・偏光は、特定の方向にのみ振動する光を意味する。偏光を観測すると、月面の粒子の大きさやチタンの分布がわかる。粒径や分布によって異なる偏光が発生するためである。粒子の大きさなどが分かれば、該当粒子がいつ生成されたのかなど、宇宙風化に関する研究が可能である・・・・現在、1台のカメラを活用して運用されている。残りの1台のカメラは低い解像度のため、使用していないことがわかった。運用中のカメラ1台も観測データの算出がうまくできないでいることが確認された・・
・・天文研は5月、韓国型発射体「ヌリ号」にトヨセット衛星4基を載せて宇宙に打ち上げた。直後、1基はヌリ号から出てこなかった。残りの3基は交信に成功したが、3基のうち1基は電力量が弱く、制御が難しい状況だ。残りの2基もまだ任務に着手していない・・・・トヨセットは地球の北極と南極の上を通過する高度500kmの軌道で宇宙の天気を観測する任務を遂行する予定だった。ナノ級衛星では世界で初めて「編隊飛行」を行うのはもちろん、軌道飛行中の衛星間の間隔を制御し、一列に飛行する縦・横の編隊飛行が可能で、宇宙プラズマ分布の時・空間的変化など細かい観測が可能となると期待された。 しかし2基しか残っておらず、編隊飛行の意味はないと指摘されている(毎日経済)・・>>
こんな記事が出る前に、普通に公式発表してもよかったでしょうに・・と思ってもう少し調べてみたら、今月20日・・ちょうど今日から政府(科学技術情報通信部)などの主催で「タヌリ任務1周年記念特別展」が開かれる、とのことです。ニューシースなどの関連記事によると、「成果を見せるためのアート」(どんなもんでしょうか)などをソウルのど真ん中で来年1月31日まで開催する、とのこと。多分、これが原因ではないのか・・な気もします。しかし、毎日経済の記事も今朝のものですが・・すごいタイミングですね。特別展も今日からなのに。 今日の更新はこれだけです。次の更新は明日の11時頃に致します。
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