ソウル中心部の大規模建設事業、相次いで工事中断

ソウル市、しかも中心部、韓国で言う「ノルンジャ(またはノルンジャウィ、卵の黄身のことで、良い立地の土地という意味)」地域で、建設・再開発などの工事が相次いで止まっています。11月19日にも、ソウルでもっともお金持ちが暮らしているとされる江南の中でももっとも高級エリアとされる「清潭洞」という地域で大規模マンション団地工事が中断されたことをお伝えしましたが、MBCによると、今回は江南エリアの瑞草区でも住居・商業複合マンションビルの工事が中断されました。他にもマネートゥデイによると、江南ではありませんがソウル恩平区の大規模再開発工事も、建設会社側が工事中断を公表しました。

本ブログで紹介した泰栄建設もそうですが、大手とされる建設会社関連で資金流動性リスク関連のニュースも複数出ています。たとえばデパート大手新世界グループの新世界建設もPF(プロジェクト・ファイナンス)関連で信用評価等級が下がるという話が出て、株価が急落しました。これらは、建設会社としても結構大きいけど、ここになにかあったら財閥グループそのものが大いに揺れることになります。ネットメディア「ザ・スクープ」の記事によると、未収金、すなわち工事を完了したにも関わらず建設会社がもらえなかった代金も増えるばかりです。以下、各紙<<~>>で引用してみます(今回はオチはありません)。

 

<<・・ソウル瑞草区バンペドンの「シンイルハッピーツリー」住商複合マンション工事現場です。フェンスで囲まれ、建物は鉄骨が見えるままです。未分譲急増で工事代金を回収できない状況で、プロジェクトファイナンシング市場まで機能せず、資金難に耐えられなかったのです。結局、その敷地と工事中の建物が公売で出されましたが、ソウルの真ん中、それも瑞草区の駅周辺の黄身の地なのに6回流札され、価格も半分になりました(MBC)・・>>

<<・・事業費5807億ウォン規模のソウル市恩平区デジョドン1区域住宅再開発整備事業の工事が中断される。施工会社である現代建設が、まだ工事費を全く受けられず、もはや工事を進めることができないと判断したからだ。20日、建設業界によると、現代建設は来月1日からデジョ1区域工事を止めて誘致権を行使するという内容の公文をこの日午後、再開発組合側に発送したことが分かった。現代建設は昨年10月着工以後、該当現場に未請求工事費約1800億ウォンを投入し、3000億ウォン規模の信用供与(連帯)を提供したが、1年が過ぎたのに工事費を全く受けられなかった(マネートゥデイ)・・>>

 

<<・・泰栄建設は「資金の流れに問題がない」という立場を固守し、持株会社のTYホールディングスは資金のために物流事業会社である泰栄インダストリーを売却する計画を発表した。未着工事業の場合には施行持分の一部を売って流動性を確保するというプランを明らかにした・・・・不動産事業をするために確保した不動産プロジェクトファイナンシング(PF)ローンの満期が近づいているからだ。満期時にお金を返済できなければ、そのまま財務負担として残る。

問題は、「財務負担の沼」状態なのが泰栄建設だけではないという点だ。建設業市場の雰囲気が暗いためか、お金を「稼げない」建設会社が増えた。これを確認できる代表的指標は「未収金」だ。未収金とは、建設会社が工事を完了したにもかかわらず、もらえなかった工事費などをいう。韓国企業評価によると、2022年当時、信用格付け「AA」建設会社の未収金は6兆9000億ウォンだったが、9月には10兆1000億ウォンで46.3%増えた。信用等級A建設会社の場合、未収金は2022年15兆9000億ウォンから、2023年9月18兆700億ウォンに増加した。信用等級BBB以下の建設会社の未収金は、同期間、2兆2000億ウォンから2兆6000億ウォンに増えた(ザ・スクープ)・・>>

 

 

おかげさまで、新刊「韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)」が発売中です(2023年12月21日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>です。若い人たちと高齢の人たち、女性と男性、「私たち」と「それ以外」、こっちとあっち、私と他人、豊かな人たちとそうでない人たち、様々な形で出来上がった社会の壁、「分断」に関する話で、特に合計出生率関連の話が多めになっています。・新刊<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・刊<韓国の借金経済(扶桑社新書)>、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。