2~3回短くお伝えしましたが、釜山で、韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表への襲撃事件がありました。釜山にも病院があるのにヘリでソウルに移送、いまは入院中のイ代表ですが、クッキーニュースなどによると、関連した裁判も全て延期されました。4月の総選挙前に1審宣告が予定されていた裁判も日程変更、総選挙前に裁判結果が出る可能性はほぼなくなり、すくなくとも総選挙前の司法リスクは回避できたことになります。もし総選挙前の裁判結果で100万ウォン以上の罰金になると、総選挙には出馬できなくなります。
去年、国会逮捕同意案まで通過したのに、裁判所が起訴を棄却したことで、逆転勝利(?)できたイ代表。しかし、その中には「証拠などが足りない」という理由で認められなかった案件もあり、検察はそういう部分を強化、今度こそはと準備してきました。しかし、来週に予定されていたイ代表の裁判2件は延期。イ代表のいわゆる司法リスクは、3つの裁判とされています。もともとは、来週から1週間に2~3回は裁判所に出席する予定でした。刑事裁判なので、イ代表が出席しなければ裁判を進めることができません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・1月に予定された裁判が延期され、4月の総選挙前に結論が出ない可能性が高くなった。イ代表側が回復治療などを理由に裁判の延期を要請すれば、日程がさらに遅れることもある・・(※総選挙前に1審結果は出る可能性が高いとされていた案件も)・・も4月前に結論を下すことができない可能性がある。イ代表が罰金100万ウォン以上となると、被選挙権をうしなう可能性があり、注目されてきた。専門家は、今回の事件の余波で総選挙前の変数とされていたイ代表司法リスクが大いに弱まると予想した。チェヨハン政治評論家は5日、クッキーニュースとの通話で、「健康問題で、総選挙前まで裁判結果が出ない可能性が大きい」と見通した。 それとともに「もともとは、イ代表は週に2、3回ずつ裁判を受ける予定だった」とし「裁判が延期され続ければ、当然、司法リスクの話も聞かなくなる」と説明した(クッキーニュース)・・>>
他に、野党支持層からはかなりの同情論がでており、共に民主党内部の非明派(イ代表と対立する派)はしばらく強く出ることができなくなりました。年末に離党、新党を設立するとしたイ・ナギョン元国務総理も、関連記事などが急減、話題を集めることができなくなりました。これは与党で同じく新党設立を宣言したイ・ジュンソク前代表も同じで、完全にマイナー案件となりました。
すでに左・右の支持勢力は決まっているので、総選挙の結果そのものには大した影響がないだろう、という意見も出ています。しかし、関連した記事をいくつか読んでみても、司法リスク関連では大きな効果があったというのが衆論です。今年になって、法務部長官出身のハンドンフン氏を非常対策委員長とする新しいシステムで支持率を回復していた与党・ユン政権ですが・・逆に、大統領夫人であるキムゴンヒ女史関連の特別検事捜査法案が国会で成立、大統領が拒否権発動したことで、むしろ司法リスクはユン政権に向けられることになったとも言えます。
キムゴンヒ女史と関連していた(とされる)会社の株価操作にキム女史が関わっていたかどうかを特別検事が捜査するこの法案。本ブログでも去年12月27日に取り上げたことがありますが・・実は、大統領も受け入れるべきだ(拒否権発動に反対)とする世論が優勢でした。中央日報によると、中央日報と韓国ギャロップ調査で65%、 朝鮮日報・テレビ朝鮮・ケースタットリサーチの調査で63%、京郷新聞。エンブレインパブリック調査で62 %が拒否権に反対していました。他の世論調査でも60~70%が特検を受け入れるべきだとした、とも。中央日報はこの件で「実際の世論と大統領室・与党の状況認識にギャップがある」としています。実際の調査内容よりも、案件と拒否権発動そのものが話題になっていただけに(大統領は、女史を守るためにやっているだけではないのか、という流れ)、ユン政権としては望ましくない展開になっています。
とはいえ、先も書きましたが「すでに支持層は固まっている」のも事実で、逆に、新党設立などで分かれていた支持層が結集する効果も期待できます。いまのところ、「与党が巻き返すだろうけど、勝利(過半数)は難しいのでは」とする個人的な予想はそのままです。保守メディアすら「まけたらユン大統領は早期退任すべきだ」としてきた、4月の総選挙。ユンたん復活でしょうか、レームダック確定でしょうか。それとも、現状維持でしょうか。
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