固い話ですが、良いオチもあったので、エントリーしてみます。また信用赦免が話題になっています。これは、韓国ならではの金融(?)政策で、ローンの延滞記録などをすべて帳消しにすることです。ソース記事の「ヘラルド経済」によると、返済において延滞金額が2000万ウォン以下の自営業者に限って、5月まで「全額返済」を済ませるという条件のもと、いままでの延滞記録などを無かったことにする、というのが今回の信用赦免の大まかな内容です。債務そのものを無しにするわけではありませんが、延滞など、金融取引において思わしくない影響を与える記録だけ、無しにする・・これがどういうことなのか、お気づきでしょうか。というか、延滞している人がどうやって5月まで返済を済ませるというのでしょうか。
当然のことですが、ローン返済の延滞などがあると、金融機関との取り引きはどんどん不利になります。言い換えれば、新しくローンを組むことが難しくなります。そこで、延滞記録などをなかったことにして、新規ローンが組めるようにする、というのです。新しく借りた分で、いままでの分を返せばいいわけですから、結局は『自転車操業を延長させる』政策です。1回だけならともかく、いままであった信用赦免を振り返ってみると、最初は2000年32万人、2001年102万人、2021年228万人でした。今回は290万人で、3年ぶりにまた同じことが始まりました。金融機関からすると、リスクが高い、貸出金が回収できそうにない人に『また』お金を貸すことになるので、リスクはどんどん膨れ上がることになります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・政府が、最大290万人の小商工人(※自営業者など)の融資延滞記録をなくす、いわゆる「信用斜面」をすることにし、懸念の声が出ている。何より、景気鈍化で自営業資金の需要が相変わらずの状況で、むしろ自営業ローンの規模を大きくするだけだという指摘だ。12日、共に民主党のキムソンジュ議員室が韓国信用データ(KCB)から受け取った資料によると、昨年上半期末基準の自営業(企業融資を保有した個人) 債務額は723兆4744億ウォンで、新型コロナが拡散する以前の2019年末(486兆1622億ウォン)と比較して約3年半ぶりに241兆8525億ウォン(50.21%)増えた。これは自営業ローン基準、最大規模である。
このような状況で政府と国民の力は自営業者・小商工人及び脆弱階層庶民を対象に信用赦免を推進する方針だ・・・・しかし金融期間側では、懸念の声が少なくない。何より、信用赦免をきっかけに、最大規模までふくれあがって金融リスクの原因になる可能性があ高い自営業債務が、さらに増えるだろうという指摘が出ている。自営業者の資金需要は、新型コロナ関連措置が解除されて2年が経ったいまでも相変わらずだからだ。金融機関関係者は・・・・「結局、金融期間側が、未回収の可能性が高い需要を抱え込むしかなくなるわけだ」と話した(ヘラルド経済)・・>>
機械翻訳だと赦免が「斜面」になりますが、ある意味、かなり的確な翻訳かもしれません。さて、この信用赦免に関して、韓国日報がある種の「オチ」を書いているので、こちらを引用して終わりにしたいと思います。信用赦免について「モラルハザード」を指摘する声も強くなっていますが、そこで、金融監督院は、妙なデータを持ち出して反論しています。前に信用赦免を受けた人たちをサンプル調査してみたら、30%が長期延滞になっていました。で、赦免が受けられなかった人たちはどうなのかというと、再延滞した人が31%でした。これで金融監督院は「ほら、モラルハザードではない!」としていますが・・それだと、赦免をしてもしなくても大して変わらないのではないか、信用赦免の意味がないのではないか、と。
<<・・前回の信用赦免(2020年1月~2021年8月対象)以降発生したすべての少額延滞記録が今回の対象だ。相次ぐ信用赦免で、救済期間が2020年1月からなんと4年を超えることになった。難しい状況でも誠実にローンを返済してきた人たちとしては、むなしいだけであろう・・・・金融監督院が、2021年に赦免を受けた24万6000人を調べたところ、30%を超える7万4000人が、再び長期延滞(90日以上)になっていた。2021年に続き、今回も赦免を受ける人々が少なくないだろう。金監院は、「赦免を受けられなかった延滞償還者は、再延滞率が31%だった」という統計を持ち出して『モラルハザードではない』としているが、それだと、信用赦免を受けた人も大して変わらないと解釈すべきではないだろうか(韓国日報)・・>>
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