韓国最大野党代表、ライブ放送中に「ウリ(我らが)北朝鮮」と発言

共に民主党の李在明(イジェミョン)代表が、北朝鮮を『ウリ(我らが)北朝鮮』と表現して、話題(?)になっています。ついいつもの口ぐせがでたのか、それとも意図的な発言かはわかりませんが、ちょっと笑ってしまいました。韓国語で「ウリ」の表現は、ものすごい親しみを表現します。たとえ1人子でも、「私のお父さん(またはお母さん)」とは言いません。かならず「ウリ(私たちの)お父さん/お母さん」と言います。最近は見られなくなりましたが、一時はこれを「ウリイズム」とし、人間関係でいいこともあるが、社会的に見ると社会問題の一つだとして研究する人たちもいました。

最近の『陣営論理』などもそうですが、このウリの範囲が問題でして。自分の陣営以外は、ウリではないわけですから。だから、いままで多くのニュースを見てきた私でも、政治家が『ウリ北朝鮮』と言うのは初めて聞きました。しかも、一応国会での発言です。国会、共に民主党最高委員会議でのことで、発言そのものは北朝鮮のミサイル発射などを批判する趣旨でした。ではありますが、そのミサイル発射などをやめるべき理由が、『先代、ウリ北朝鮮の金正日、金日成主席の努力が評価下げされないようにしないといけない』でした。

 

最近、北朝鮮が韓国を「国」とする表現を使うようになって、一部の南北関係専門家たちが『これより対立路線がさらに強化されるだろう』という見解を出しています。北朝鮮も韓国も、お互いを政府(国)と見ないのは同じです。これは相手側を認めないという強固なスタンスではありますが、逆に考えると、「両方が南北関係を維持する必要に同意している」という意味でもあります。なぜなら、お互いを『一部』と見ているので、統一を前提にする(現実味においてはともかくして)からです。

 

すでに1960年には金日成自ら連邦制統一を言い出したし(いまの連邦制統一案とは内容がちょっと異なるものでしたが)、朴正煕大統領も1973年には『平和統一』を強調する宣言を行いました。これらは、もはや武力衝突で一気に統一できる可能性は無いと、お互いが認めたようなものです。じゃ、どうするのか。統一のための南北関係を一定水準で維持する必要があります。なんか、言ってることは『相手を認めない』ですが、実際の行動ではそうはいかない、そんなカオスが結果になっているわけです。一気に統一できる方法があるわけでもないし、米国も旧ソ連も(いまは中国?)それを望んでいなかった、でもいまさら統一という前提をやめるわけにもいかない、ということで。

 

そんな中、金正恩委員長(呼称が多すぎでこれで合ってるのかよくわかりませんが)が、韓国を「国」と表現するようになり、南北関係そのものをなくす、すなわちもう関わらないというスタンスを示すようになりました。韓国の『統一部』のカウンターパートである祖国平和統一委員会そのものを解体してしまった、とのことでして。本当に南北関係関連を中止するのか、それとも、かまってほしいのか、それはわかりませんが、私が知っているかぎりだと、金日成時代の中期以降、韓国を「政府」や「国」などを表現するのは聞いたことがないので、路線そのものを変更したのは事実かもしれません。一応、先代(金日成・金正日)の路線を変えるのは、北朝鮮では相応のリスクがあることですから。とはいえ、なにか大きなことを起こすつもりならともかく、路線変更を変えるだけなら別に今とさほど変わらないのでは・・な気もします。

 

ミサイルというか、このような動きを牽制するための(イジェミョン代表なりに)発言だったわけですが・・多分(これは個人的な見解ですが)、いつもの口ぐせで、つい「ウリ~」と言ってしまったのではないでしょうか。与党「国民の力」は、安保観にかかわるものだとし、イジェミョン代表の発言を問題視しています。それは、そうもなるでしょう。中には『もはや親北思想が無意識を支配している』『いったい、イ代表はどこの星から来たのか』というのもあります。朝鮮日報によると、会議の速記録には『ウリ』は書いてない(消した)とのことです。会議はKBSライブ放送されていたので、そんなもので隠せるとは思えませんが。

 

 

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