韓国の専門家たちが考えている、今年韓国経済の最大のリスク要因は何でしょうか。世界的に話題になっている合計出生率や家計債務でしょうか。建設会社だけでなく、大企業グループを事実上の解体においこむPF(プロジェクト・ファイナンス)でしょうか。政治が安定しないことでしょうか。それとも、米国と中国の対立による「安米経中」の揺れでしょうか。いろいろありますが、朝鮮日報(朝鮮BIZ)が国内専門家40人に聞いてみた結果、ダントツ1位は「中国経済の低成長(72%、複数回答可能)」でした。2位は「少子高齢化など社会構造(55%)」、3位は家計債務(47.5%)などです。
多くのメディアはいままで問題を米中対立やウクライナ事態などとしてきましたが、米中関係は22.5%、ウクライナや中東などは17.5%。総選挙など政治の不安が32.5%、自国産業や輸出競争力の問題は37.5%。1位の72%が「中国経済の低成長」を選んだこの結果は、ある意味、とても率直な意見ではないでしょうか。そう、ずっと「なぜKOSPIの動きが、日米ではなく中国と連動しているのか」という記事が複数出ていますが、実は誰もが知っているわけです。実は経済そのものが中国経済と連動するようになっている、ということを。
個人的に、2000年代になってからの韓国の経済成長は「中国経済(いわゆるチャイナ・ブーム)」と「家計債務(による不動産ブーム)」によるものだと見ているので、前者が1位、後者が3位なのは、十分納得です。2位の社会構造(少子高齢化)は、2024年に急に影響が出ることはないでしょうけど、確かに長期的に見ると1位になってもおかしくない案件でしょう。4位は米国など先進国の金利(金利差)、5位は企業の資金流動性問題でした。金利の問題は家計債務関連で、資金流動性は利子補償比率1未満がどうとかの話で何度も取り上げたので、こちらも納得です。でも、外交路線・・というか、米中によるサプライチェーン再編でもっとはっきりした態度を示さないでいることが、まったく言及されていないのは、納得できません。これは専門家たちの問題というより、設問に選択肢そのものがなかったのでしょう。
で、その中国さんの経済が、ちょっと。北京、上海など大都市とされる地域の家の価格が14%下がって、証券市場では6兆ドルがきえたとか、そんなニュースばかりです。ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナルが関連記事を出し、不動産価格50%下落の可能性、いまのような浮揚策では効果が薄い、などなどの見解を紹介しました。韓国日報がまとめているので、そちらを紹介します。19日、青年層に関する問題で「中国は巨大な韓国になりつつある」とする北京大学ルフェン(盧鋒)経済学教授の見解を紹介したことがあります。今回のブルームバーグやWSJの記事を読んでいると、本件についても、2年前にブログや本の原稿に書いた内容とあまりにも似ていてビックリです。異なる点といえば・・影響力でしょうか。中国になにかあれば世界中が影響を受け、先も書きましたがもっとも影響を受けるのは韓国経済でしょう。その逆は、そこまで大きな影響にならないでしょうけど。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・23日(現地時間)米国ウォールストリートジャーナル(WSJ)とブルームバーグ通信などによると、中国不動産不況は長期化する兆しを見せている。中国統計局の調査結果、昨年中国の新規住宅販売量は前年比6%減少し、7年ぶりに最低水準を記録した。特に北京と上海、広州、深センなどいわゆる「1線都市」では住宅価格が1年前より最大14%も低くなった。売り上げ累積量増加→価格下落→取引量急減という典型的な取引減少現象に、市場は活気を失った・・(※ゴールドバーをプレゼントするなど妙な売り方をするマンションが増えたなどで)・・WSJは「奇妙なマーケティング出現は、中国の不動産不況がどんどん深くなりつつあるという意味」と述べた・・・・香港不動産エージェンシー「センターラインプロパティー」のリュ・ユアン研究員はWSJに、「中国政府の助けがないと、新規住宅価格が現在より50%下がるだろう」と見通した。
景気低迷の懸念に下がり続けている中国証券市場も、展望はおもわしくない。23日、当局が2兆元(約327兆ウォン)規模で大々的に証券市場を浮上するというニュースが伝えられると、証券市場は2日連続で上昇したが、市場からは「持続するのは難しいだろう」という評価が多い。2015年にも中国政府が300兆元以上の証券安定基金を動員したが、翌年、株価は再び下落したとブルームバーグは伝えた・・・・ブルームバーグによると、中国・香港の株式市場価値は新型コロナ特需で2021年頂点をとった後、これまで6兆ドル(約8,000兆ウォン)以上の損失を記録している(韓国日報)・・>>
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