最近、不動産市場、少子高齢化、そして中国経済問題などなどで、韓国では経済低成長期とか、ピーク論とか、そんな話が増えてきました。それでもまだ多くのメディアは『まだまだ』という論調ですが、一時よりは関連した話が増えているのは間違いありません。そんな中、すでに20年前から経済停滞が始まっていたのに、中国特需景気、いわゆるチャイナ・ブームによってそれを体感できないでいるだけだ、という記事がありました。マネートゥデイ、クァクノソン教授の寄稿文です。ちょっと調べてみたら2014~2015年に国家科学技術関連で大統領諮問委員だったとのことです。
教授は、もし日本のようにバブル基準で考えると「いまから始まったばかり」だが、実は20年前から成長鈍化、いわば『失われた20年』が始まっていて、いまも通過中だと主張しています。記事は、まず、政権毎に掲げる方向性が異なって、反対意見をそのまま対立する勢力としてしまうので、政策が長く続かないことを原因とします。そして、その各政権は改革を主張してきたけど、結果的に変わったことはなにもない、と。そんな中、改革そのものへの意志がなくなってしまった、とも。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・出生率は世界で最も低い。企業と家計債務はもちろん、年金債務を含む政府債務も世界最高水準だ。産業競争力はますます弱くなる。半導体はメモリーだけのまま、自動車は中国というコスパの高い新しい競争相手に会った・・・・過去20年間、数え切れないほど指摘されてきた。2007年「サンドイッチ論」、2013年「茹でガエル現象」などがそうだった。いままで各政権が改革を強調した。でも、よくなったことはない。なぜこのようになったのか。国家戦略推進体系が機能しなくなったからだ。その背景には民主化のパラドックスがある。5年ごとに大統領選挙で政権が変わった。彼らは国を作り直す勢いで、すべてを変えようとした。きちんと議論すらせず、公約を『国民との約束』とし、そのまま押し通した・・
・・他の意見を出せば、そういう意見が問題の原因だとされた・・・・(※そんな流れの中)下がり続ける経済指標よりも大きなリスクは、改革需要と意志がなくなった点だ。5年前、化学物質安全規制の問題を指摘する記事がメディアにあふれだ。今は静かだ。改善されたからではない。企業が仕事をやめたか、業種を転換したからだ。各種規制を改革すべきだという話ももう出ない。改善されたためではない。改革を要求していたスタートアップ企業がなくなったからだ。できるスタートアップは、本社を海外に移す。
私たちが知らないうちに、すでに私たちは失われた20年を過ぎている。日本のようにバブルが弾けたときを基準にすれば、もう始まったばかりだ。しかし、戦略を持って問題が解決されるまで着実に政策を推進する政府システムは、すでに20年前から機能しなくなった。ただ中国という巨大な特需のおかげで、体感が遅れていただけのことだ(マネートゥデイ)・・>>
記事は、「このままではい失われた30年に入る」「ちゃんと問題に答えを出すことができる政策を」としていますが、具体的にどうすればそんな政策ができるのかについては言及していません。ただ、いわゆる現金バラマキ政策は政府だけでなく企業の財政にも関わる問題なので、やめたほうがいいとは指摘しています。記事には書いてませんが、個人的に、家計債務も同じものではないのか、と思っています。29日にエントリーしたばかりですが、韓国ではマンションは「値上がりし続けにきまっている」ものであり、ローンでそれを購入すると、その時点から消費が増えます。もうお金持ちになれたと思っているのでしょう。国家GDPよりも多い家計債務の53%以上が満期一括償還方式なのも、その考えのあらわれだと見ていいでしょう(2022年9月時点53.7%)。その消費もまた、体感を遅らせた理由なのでは。
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