4月に総選挙を控え、旧正月(10日)連休はもっとも重要な時期になります。家族が集っていろいろ話すことになりますが、党員1000万人とされる韓国のことですから政治関連の話は特に盛り上がります。その旧正月を前に、自営業者約188万人に、平均約8万円(人によって金額が異なります)が支給されることになりました。政府ではなく、銀行が出します。本ブログでも2~3回取り上げましたが、高金利が問題になってから、ユン大統領は『銀行が、お金パーティーをやっている』としながら、金融機関を圧迫しました。基準金利は上げるけど金利を上げないように、回収が難しそうな人にも貸し出すように、などなどの内容です。
そして、去年秋あたりから、銀行が『『『自発的に』』』一部の自営業者にキャッシュバックするという話が聞こえてくるようになりました。4%以上の金利でローンを組んだ自営業者に、銀行側が一部の金額を返すというのです。福祉は金融機関の領域ではありません。普通は、銀行だろうと企業だろうと、稼いだ分の税金を払い、その税金で政府がやるものでしょう。でも、税収不足のユン政権は何もせず、『旧正月直前のタイミング』に効果の高い総選挙対策が発表できたと言えます(支給は3月から)。韓国経済など複数のメディアが、バラマキ政策は今までもあったけど、政府が金を使わずに同じ政策をするのは初めて見たとし、選挙がなかったら、ありえない政策だったとしています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・政府と銀行が、金融圏の借主を対象に、1人当たり平均75万ウォン水準で融資利子分を払い戻すことにしました。高金利物価で苦労している小商工人・自営業者の負担を和らげるためです。道徳的問題について、そして根本的な対策ではない、などの指摘もあります。来月(※3月)5日から銀行券個人事業者ローンを保有している借主は平均80万ウォン水準で利子支払額を一時還付することができます。国内20の銀行が少なくは500億ウォンから多くは3000億ウォン以上分担し、財源を設けた結果です。これは、銀行側の全体の当期純利益の約10%に相当するもので、いままでで最大規模です。ただし、一部では総選挙を控えた政策だとし、大規模の利息払い戻しは債務者のモラルハザードを誘発する可能性があるという懸念の声が出てきます・・
・・【ホン・ソンギル国民大学行政学科教授「もし選挙がなければ、このような案が出たでしょうか?ポピュリズムです。もう一つは道徳的な問題が発生する可能性があります」】。公平性の問題とともに、根本的な問題解決のためのアプローチではないという指摘もあります。【ソク・ビョンフン梨花女子大学経済学科教授「これまで信用スコアを高く管理して、低い金利を適用された借主の立場はどうなるのでしょうか。公平性問題が提起されるのです。小商工自営業者を支援するならば、別の方法で支援することもできたでしょうに、なぜこのような政策を使うのかわかりません」】。信用体系の根幹を揺らすのではなく、借主の経済的自立を引き出すことができる制度について考えてみる必要がある、という意味です(韓国経済)・・>>
ちなみに、第2金融圏に対しても似たようなことを行うけど、さすがにここは(第2金融圏の財政事情もあって)政府が約300億円を出して行うとのことです。この前のELSのこともあるので、銀行としてはどうしようもなかったでしょう。韓国個人投資家たちの間で大人気だった香港ハンセン指数連動のELS(株価連係証券、Equity-Linked Security)商品で、多くの損失が予想されています。ですが、投資家及び金融当局は不完全販売(銀行の販売に問題があった)とし、銀行が元金を保障するようにする構えです。数千億円規模だと言われています。
金融当局がどんな結論が出すかはまだわかりませんが、とりあえず政権寄りのスタンスを取っておかないといけないわけです。あと、最近、一部の経済メディアに「金融の根幹は『信用』にあるが、それが機能しなくなっている」「福祉は金融機関がやることではない(政府がやることだ)」という文章がよく見られます。まさにそのとおりですが、『なにをいまさら』でもあります。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>です。若い人たちと高齢の人たち、女性と男性、「私たち」と「それ以外」、こっちとあっち、私と他人、豊かな人たちとそうでない人たち、様々な形で出来上がった社会の壁、「分断」に関する話で、特に合計出生率関連の話が多めになっています。・準新刊<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・既刊<韓国の借金経済(扶桑社新書)>、<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。