最近、北朝鮮の南北統一関連政策が方向転換しています。北朝鮮は委員長1人でなんでもできるイメージがありますが、先代たちの方針を変えることは容易ではありません。今回の方向転換は、そもそも南北関係を『国家と国家』とする趣旨のもので、いままで主張されてきた連邦制統一なども成立しなくなります。そんな中、韓国と結んできた経済協力関連(たとえば金剛山観光関連など)合意及び関連法案を、北朝鮮の「法的」に廃止したことが明らかになりました。
韓国政府、ユン政権としてもこれは望ましいことではありません。「私たちは協力したいけど、向こうが応じてくれない」とするのがもっともいいと思っているからです。国民に対しても、日米に対しても、です。ユン政権は『合意内容は、片方だけで廃止できるものではない』としています(日本関連でも同じことを言ってほしいものですが)し、もともと機能している南北合意内容がないので、いますぐやることはないとしています。いままでも似たような動きは何度もありましたので、たしかにそれはそうですが・・ソース記事の京郷新聞などによると、北朝鮮が関連案件を「法的に廃止」したのは異例です(情報が少ないこともあってか、多くのメディアは『異例』と、一部の専門家たちは『初めて』としています)。
これが、ただの圧迫なのか、それとも本当に「もう『特殊な関係』ではなく、別の国」として既存の関係を変えるつもりでいるのか。まだわかりません。米国などでは大きな安保リスクを指摘する声も上がっていますが、逆に、北朝鮮はロシアへ武器を輸出しているので、朝鮮半島でそんなことができる物量は確保できないとしながら、『関わらないでくれという意味だ』とする見解も出ています。個人的に、もし次か次の次あたりの韓国大統領選挙で政権交代があって、また左派政権になったら、そのときに北朝鮮がどんな反応を示すのか・・それを見てみないとなんとも言えないのでは、と思っています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・北朝鮮が南北経済協力に関する法案と南北間の経協関連合意書を一方的に廃棄した。金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が南北関係を「特殊な関係」ではなく「二つの国家の関係」に転換すると宣言したことに対する後続措置だ。北朝鮮が南北合意の白紙化の可能性を言及したり、無効化を宣言したことは多いが、法的な手続きを経て正式に廃棄したのは異例だ。北朝鮮公式メディアの朝鮮中央通信は去る7日に行われた最高人民会議常任委員会第14期第30次全員会議で、「常任委員会政令《北南経済協力法、金剛山国際観光特区法とその施行規定、北南経済協力関連合意書を廃止することについてを全員一致で採択した」と8日報道した。北南経済協力法は南北経済協力に対する一種の基本法である。関税や決済方式、事業方法などの経協手続きと適用対象が含まれている・・
・・金剛山国際観光特区法は、韓国や外国の企業あるいは個人が金剛山地区に投資できるという内容のものだ(※2002年には韓国の当時現代グループだけ投資が認められましたが、あとで内容が変わり、他の国や個人も投資できるようになりました)。ただし、経協関連合意書は、具体的にどのようなことを意味するかを明らかにしなかった。今回の措置は、北朝鮮が南北関係を既存の特殊関係ではなく、二国家関係として規定したことに関する後続措置とされる・・韓国政府は北朝鮮の今回の措置は予見されいたとして、すぐに韓国にこれといった影響を与えることはないだろうという立場を明らかにした。統一部当局者はこの日記者たちと会い、「北朝鮮の一方的な廃止宣言だけで合意書の効力が廃止されるとは見なさない」とし、「現在南北間の経協が進行する状況ではない。政府がすぐに取る予定の措置はない」と話した(京郷新聞)・・>>
はてさて、本当になにかやるための前措置か、そこまではしないけど根本的な関係見直しか、それともいつもの宣言だけか。引用部分にはありませんが、統一部関係者は「指導者の意志だけで法が簡単に作れるシステムなので、結局は委員長の意志の問題」としながら、これからまた路線が変わる可能性も十分にあると話しました。なんだかんだで、これが正解かもしれません。先も書きましたが、もし韓国で政権交代などがあったら、そのときにはっきりわかることでしょう。というか、つい数年前にあれほど盛り上がっていた、文在寅政権の平和ムードはなんだったのか・・なんか、数十年前のことのように思えます。一部、日本メディアにも「乗り遅れてはならない」という論調がありましたが。
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