今朝から、また多重債務者関連の記事が増えました。地上波放送SBSや聯合ニュースなど大手が集中的に報じています。前の発表で448万人とされ、話題になりましたが、新しい発表では、450万人になったそうです。日本とは定義が異なりますが、ここでいう多重債務者とは3箇所以上の金融機関からローンを組んでいる人たちのことです。余裕があるから多数の金融機関と取り引きをする場合もあるでしょうけど、一般的には『ローンを組んで、それで前のローンを返す』人たちをあらわす一つの指標とされます。
実際、彼らのDSR(年所得のうち、どれくらいを返済に使っているのか)は、集計期間にもよりますが約60%で、所得の6割を返済に使っているということになります。韓国の経済活動参加人口は2800万人で、その中の1978万人(自営業者ローンは別カウント)が家計債務をかかえていて、その金額は約1875兆ウォン。その中の450万人が多重債務者で、約570兆ウォン。初めてこのデータに接する方は驚かれるでしょうけど、本ブログとしては何度も取り上げたデータでもあります。そんな中、ネットメディア「ザ・スクープ」が、珍しい『範囲』のデータを出してきたので、今日はそちらを紹介したいと思います。『範囲』とは、いわゆる脆弱借主とされる人たちのことです。
「所得は下位30%であること、信用スコアが664点以下(一般的に信用度『低』とされるスコア)、多重債務者であること」がその範囲で、韓国銀行もこのデータを集計しています。記事は、これが家計債務でもっとも弱い部分だとし、そのデータを集計しました。去年4~6月期のデータですが、その数は127万人。家計債務世帯1978万人からすると、約6.4%とされます。同じく自営業者ローンの人はカウントされず、あくまで合法的な制度内でのデータなので、これよりさらに困っている人たちもいるでしょうけど、『『『確認できる範囲内では』』』、この127万人が家計債務システムにおいてもっとも『弱い環』になります。彼らの延滞率は、8.6%。2021年の同データでは、5.8%でした。最近、一部のメディアが「実際の延滞率が表向きにされないでいる(たとえば、カード会社がリボ払いを勧めて、それでカード延滞率を低くしている、など)と指摘してはいますが、それでも5.8から8.6なら、急増と言えるでしょう。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・多重債務者であり、低所得(下位30%)または低信用(信用点数664点以下)である借り主の割合は、2023年4~6月期基準6.4%だった。家計債務者数が1978万人ということを勘案すれば、127万人となる。延滞率も高く、8.6%だった。2021年の5.8%から2.8%ポイント上昇した。このような借主の数はさらに増える可能性が高い。多重債務者が増えつつあるからだ・・・・彼らの債務を帳消しするような政策ではなく、貸出需要を抑制しなければならないという主張も出ています。 低所得借主のための金融安全システムと社会的安全装置を強化しなければならないということだ。彼らがお金を借りる目的は、主に生活費、住居費、債務返済などに使用する費用であるという理由からだ。
キム・サンベ金融経済研究所研究委員は「『脆弱借主問題』を解決するためには、非金融的なアプローチが必要だ」とし「彼らがお金を借りる目的と用途を綿密に分析する必要がある」と話した。彼は「社会保障制度を強化するのが望ましい」とし「これを通じて、彼らの融資需要を減らさなければならない」と話した。これに、彼らのための根本対策を設けなければならないという主張も出ている。 イ・ユンス西江大(経済学)教授は「これは、家計債務ではなく所得の問題」とし「ローンでローンを解決するようにするのではなく、財政的支援を優先しなければならない」と説明した(ザ・スクープ)・・>>
相変わらず、解決策っぽいことを「言うのは簡単」ですが・・どうでしょうか。結局はすべて税金ですが。いつもとはちょっと趣旨が異なり、マンション投資とかではなく、一般的には「生計費のためにお金を借りる」とされる人たちの話ですし、ELS商品を投資しておいて「銀行の販売に問題があった」とする人たちを助けるよりはずっといい気もしますが。それでもやはり、ELSだろうとマンション投資だろうと生活費だろうと、『自己責任』というものをもっと強化してからの支援でないと、意味を成さないのでは。もう家計債務というシステムそのものがそうなっていますから。しかし、いつも思いますが、本当によく借りますね・・こんなに借りて何をどうするのでしょうか。日本旅行にでも行くのかな。
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