韓国の青年(20代・30代)の42%が、費用や時間などの理由で、体に問題があっても病院に行けないでいるというニュースがありました。昨日の午後あたりから韓国経済など経済メディアから、東亜日報、朝鮮日報、SBSなど大手まで、多くのメディアが報じています。4000人対象にしたサンプル調査結果ではありますが、41.6%が病院に行けない、とのことでして。理由は「忙しい」47.1%、「費用が負担になる(もったいない)」33.7%などです。東亜日報など一部のメディアは「行かない」と、また朝鮮日報など一部メディアは「行けない」としています。似たようなものですが、ニュアンスの強弱の差とでも言いましょうか。
他にも、半数は健康検診を受けたことがなく、(以下、家族も含めて)「体がくるしいときに頼れる人がいない」が15.2%、「1ヶ月間、私的に人に会ったことがない」と答えた人が16.4%でした。ゆうつだと答えた人は57.8%、じ◯□について考えたことがある人は37.1%、などなどと・・なんというか、社会問題としての側面が強くなっています。ちょうど去年の1月、アジア経済など複数のメディアに「孤立隠遁青年」という言葉が大いに報じられました。韓国の「19~39歳」、「情緒的・物理的孤立状態が6ヶ月以上」、「ほとんど外出しない状態が6ヶ月以上」を基準にした場合、約61万人(19~39歳、ソウル市のデータによる全国推定値)がその状態だと推定される、とのことでして。
去年、この記事をエントリーしながら、さっとネットで検索してみたところ、日本の場合は同様の状態を調べるにもいくつかの基準があって、「ふだんは家にいるが、自分の趣味のときには外出する」まですべて含めて「69万6000人(15~39歳、5000人調査)と推定される」、というデータがヒットしました。基準が違うので単純比較は出来ませんが、似たような基準で、韓国は人口比で日本の約2倍、という推定もできます。今回の病院の話で、「忙しいから」と答えた人たちはこういうデータとはあまり関係がないでしょうけど、それ以外、「人と会ったことがない」などは、延長線上にある話だと見てもいいじゃないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・青年10人のうち4人以上は、忙しく、お金がもったいないなどの理由で病気でも病院に行けなかったことが分かった。韓国青少年政策研究院は13日、「青年実態と自立安全システム構築方策研究」報告書で、これらの結果を発表した。満19~34歳の青年4000人対象にアンケートした結果によると、41.6%が「最近1年間病気になっても病院に行けなかった」と答えた。病院に訪れなかった理由としては「病院に行く時間がなくて(忙しくて)」が47.1%で最も多かった。 続いて「病院費(診療費)を使うのがもったいなくて(医療費負担)」が33.7%、「薬局で普通に買える薬を飲んだから(9.3%)」の順だった。最近1年間の月生活費で医療費平均支出の割合は「5%以下」が54.0%で最も多かった。 続いて「6%~10%」が18.2%、「全くなし」が13.2%などの順だ。全体の生活費から医療費用が負担に感じられると答えた割合は40.0%だった・・
・・特に青年の半分以上は最近1年間、病院、健康検診センター、保健所などで健康検診を受けたことがないと調査された。主要健康支援政策の中で最優先順位は、50.6%が「20代、30代の無料健康検診拡大」を挙げた。最も緊急な政府の青年健康政策としては、「青年医療費支援拡大」(32.8%)が挙げられた。 「青年心理相談支援拡大」は28.9%、「青年健康検診拡大」は24.4%だった・・・・青年たちが友人や家族など周辺の人に助けを受けることも、容易ではないことが分かった。15.2%は「病気の時に助けてと言える人はいない」と明らかにした・・・・「情緒的に頼れるほどの人がいない」と明らかにした割合は13.2%、「最近1カ月間、私的に人に会ったことがない」とした割合は16.4%だった(韓国経済)・・>>
いつもの、あのパターンではないでしょうか。「日本には~な問題がある」という記事が増えて、でもしばらくしたら韓国にも同じ問題があるというデータが発表され、またしばらくするとデータがどんどんおもわしくない方向へ進む、といういつものパターンです。そもそも、韓国メディアで青年関連問題についての記事がここまで増えたのも、つい数年前からです。それまでは「ベンチャー企業で」「新しい発想で」そんな話ばかりで、問題と指摘されていたのは40代でした。
早期退職による自営業者問題(50~60代)関連の記事が増え、それから経済のミッドフィルダーとかの表現で40代の経済環境が~という記事が増え、青年の番が来たのは数年前からです。青年層によるマンション投資関連の話も、数年前まではあまり話題になりませんでした。なんか、最近数年間で、青年問題関連記事が一気に増えましたが・・それって、社会的な関心があまりなかったという意味ではないでしょうか。
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