韓国金融監督院が分析した、「青年世代が投資に熱中する理由(2021年)」

本ブログでも何度も取り上げましたが、若い世代が無理をしてマンションを購入したり、株価に投資したりすることがよくニュースになります。投資なのか、投機なのか、まずそこからが問題ですが、ソース記事の表記に合わせて投資としました。まだ関連ニュースがそこまで多くなかった2021年、「20代・30代青年たちが投資に集中しているのは、『それでも』投資は公正だとする認識があるからだ」という報告書がありました。金融監督院という機関の報告書です(ソース記事は毎日経済、2021年5月28日)。韓国では、銀行など各金融機関の監査監督は金融監督院が担当します。記事の題でもある『それでも』という言葉が印象的です。日本でもNISAなどで個人投資が人気だと聞きますが、そういうものとは方向性が異なる、そんな雰囲気の報告書です。

記事(報告書)でいう投資とは、主に株式やコイン(暗号通貨)などですが、結局はそれらは不動産を買うための資金作りのためである、とのことでして。なんというか、公正と言うか「『それでも』公正な手段」で、不動産を求めるということですが・・彼らより前の世代が不動産で資産を増やしたことを、いまの青年たちは公正ではないと主張していたはずです。なんで同じ道を求めるのか、そしてそのための手段が「『それでも』公正だ」と思っているとは、他のことについてはいったいどう考えているのか。いままでブログや拙著などに書いてきた内容と似ている側面も多いのでは・・そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・金融監督院は、MZ世代(※ミレニアル世代とZ世代、主に20代・30代ということで2030とも表記します)が株式と暗号通貨投資に熱中する理由は、これらの投資を最も公正なゲームとして認識しているからだと分析した。不動産は取引単位が大きく、各種情報も遅く、スムーズでもなく、MZ世代としてはアクセスしづらい。だが、株式と暗号通貨投資は『金スプーン』でなくてもできるしデジタル機器を利用して誰でも富を蓄積することができ、だから「公正だ」と見るわけだ。しかし金監院はMZ世代の投資に懸念の声を出した。彼らは客観的な分析情報ではなく、社会関係網サービス(SNS)を通じて、知人間で交流された情報に基づく「即時、かつ同調」的に、投機に近い傾向を示しており、これはガラスのようにもろいと指摘している。

 

金監院はMZ世代の株式・仮想通貨など資産投資に対する見方を、大きく「最も公正なゲーム」、「他の人がやるから私もやる」、「不動産購入のための踏み台」の3つに分析した。まず、ある世代より公正を重視する20代・30代の立場では、社会的背景に関係なく、誰もが同じ投資条件とリスクを持つという点で、投資が「それでも」最も公正なゲームだと評価しているという説明だ。特に暗号通貨や株式は少ない資本でも投資が可能で、デジタル機器を通じた投資が普遍化し、2030世代が容易に飛び込んだという分析だ。また、MZ世代は「他の人がやるなら私もやる」という考えが強く、投資においてもデジタル技術を活用して集団的に拡大・再生産すると金監院は分析した。 例えば、SNSやメッセージアプリなどで知り合いのコミュニティーが暗号通貨関連情報を交流していると、そのコミュニティー全体の参加者が同時に投資をして、それがまた他のコミュニティーの人たちにも広がっていく方式だ。

 

MZ世代のこのような投資への見方について、金監院は「透明に見えるかもしれないが、ガラスのようによわい」と診断した。MZ世代の投資はSNSを通じて情報を共有して少額でいつでも直接できる投機的なゲームだという説明だ。金監院はまた報告書で、MZ世代のキーワードとして「公正」「価心比(※)」「デジタル」「不動産」の4つを挙げた。金監院は「住宅価格の急騰など資産の格差拡大で、階層移動のためのはしごが消えるにつれ、MZ世代は公正をとても気にするようになった」としながらも、「ただし、彼らの公正の概念は、配慮を含まれた「衡平」というよりは、機械的な平等に近い」 分析した・・・・共有経済に慣れたMZ世代だが、目標は不動産(マイホーム)であることも調査された。金監院報告書が引用した青少年政策研究院の資料によると、MZ世代10人のうち7人は「マイホーム必ずもっていなければならない」と考えた。また、未来アセット研究所によると、MZ世代の61%は、投資の理由として「住宅購入財源を用意するため」を挙げた(毎日経済)・・>>

ちなみに(※)の価心比とは、コストパフォーマンスを意味する『価性比(価格対比性能)』からきた言葉で、価格に比べて心理的に満足できるという意味です。その投資の結果が、その心に比しておもわしくなかったばあい、それでも『公正だから』と言うのか。この件の評価は、それによって大きく変わることでしょう。

 

 

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